コメント
2件
いるま→15歳(中学3年) なつ→11歳(小学5年) 3月後半(春休み中)のお話
暇72
俺らはお互い口下手な所があって
素直に何かを伝えるのが苦手で
喧嘩することはきっとどんな兄弟よりも多かった
いるま
いるま
だから俺がどんなに怒っても
どんなに泣いても
明日になれば普通に戻るって
相手にしてくれない
暇72
それがちょっと寂しくて
俺を見てほしいって思ってしまって
暇72
俺は思わず家から飛び出した。
いるま
少し焦った声色の兄に耳も傾けず
暇72
暇72
春が近づき昼間はだんだんと暖かくなってきたが
現在の時刻は21時を回っていて
寒くて冷たい夜の風が容赦なく俺の体に打ち付けた
当たり前だが辺りは真っ暗で
警察の方に見つかってしまえば
あっという間に補導されてしまう
暇72
それでも家から飛び出してしまった以上
直ぐに帰る訳にも行かなくて
行く宛もないまま
一人でとぼとぼと歩いた
暇72
暇72
気付けば
外で遊ぶときは昔からよく世話になった
見慣れた公園に着いていた
公園の中にある
土管に身を小さくして入れば
さっきまで散々突き刺してきた
鋭い風が当たらなくなって
体が体温を上げようと熱を持って
ぽかぽかと少しだけ暖かく感じた
いるま
暇72
いるま
俺が小学校低学年で
いるまもまだ小学生だったとき
暇な度に公園に行きたいってお願いして
よく遊んでもらってたっけ
いるま
同い年くらいの少し怖い子に
意地悪されたときに直ぐに駆けつけてくれたっけ
暇72
いるま
暇72
いるま
暇72
暇72
暇72
あの時は、いるまに遊んでもらうのが当たり前で
いるまに守ってもらえるのが当たり前だった
でもきっとそれは
当たり前なんかじゃなくて
俺が大きくなるにつれて離れてく
俺はずっと小さい頃のまま
なのに気付いたら側にいなくて
当たり前なのに
それがひどく寂しかった
大好きな兄ちゃんを
いつの間にかいるまって呼ぶようになって
やんちゃな事もたくさんしてきた
いつかまた兄ちゃんが
俺を見てくれる事を願って…
暇72
暇72
暇72
暇72
暇72
暇72
LAN
暇72
LAN
LAN
暇72
LAN
LAN
LAN
暇72
LAN
LAN
暇72
LAN
LAN
LAN
LAN
LAN
LAN
LAN
らんは優しく微笑みながら俺の頭を撫でる
その手がやけに温かくて優しくて
ずっと心の奥底で溜めてた氷が溶かされていくようで
溶けた水が瞳から溢れ出て来る
暇72
LAN
LAN
いるま
いるま
いるま
いるま
いるま
いるまは俺の姿を見た途端
大きい声で怒鳴ったかと思えば
力が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ
よく見れば肩で息をしていて
首や額は汗でぐっしょりだった
いるま
そう言って差し出された右手は
いつか俺を意地悪してくるやつから
守ってくれたときのようだった
暇72
いるま
LAN
LAN
いるま
いるま
暇72
LAN
LAN
暇72
いるま
LAN
暇72
土管から出れば
外はやっぱり寒くって
でも
いるまと繋いだ左手だけは
ずっと優しくて
温かかった