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第1話 - あ

2023年08月14日

#恋愛

結城真矢

テイダ

昨日なんであんな遅い時間に帰ってきたんだ

リユ

まじか起きてたのかよ

テイダ

たまたま目を覚ましたんだ

テイダ

そしたらお前が帰ってくる音が聞こえてな、お前まさか毎日あんな時間に帰ってきてるんじゃないだろうな

テイダ

18歳の女があんな夜遅くまでどんな用事があったんだ

リユ

うるせーよザナル通りだよ、いちいち詮索してくんな

テイダ

あんな夜遅くに外で歩いてたら危ないだろ

テイダ

最近女子高生を狙った連続通り魔事件だって起きてるだろ

テイダ

心配なんだよ

リユ

うぜーよ

テイダ

え？

リユ

大体お前そんないいお父さんみたいなフリすんなよ

リユ

家族を顧みないただの金稼ぎ虫だろ

テイダ

ちょ

テイダ

親に向かってそれはないだろ

リユ

出世しか能がない禿頭が

テイダ

禿げてはない！

テイダ

消して禿げてなどいない！

リユ

とにかくあんま詮索すんな

リユ

18歳の女子高生にあれこれ聞くとかフツーにデリカシーなさすぎだから

リユ

仕事中だろさっさとスマホしまって働けツル

テイダ

ツルって頭のことか！ツルツルってことかお前！

〜少し後〜

テイダ

リユが最近夜遊びを覚えてしまったらしい

テイダ

今日リユが帰ってきたら母さんからも叱ってやってくれ

ユウナ

自分ですれば？

ユウナ

てか女子高生って別にそんなもんだから

ユウナ

あんまりおじさんが口出さないほうがいいよ

テイダ

自分ですれば？って俺たちの子供だろうが

ユウナ

あんた俺たちって言うほど育ててないじゃない

ユウナ

家族のことは顧みないただの金稼ぎ虫じゃん

テイダ

お前か教えたのは！

ユウナ

今更父親ヅラしてもうざいだけだと思うけど

テイダ

俺だって頑張って仕事してお前たちのために

ユウナ

はいはい

ユウナ

頑張ってるアピールお疲れさん

ユウナ

てか仕事中でしょスマホしまってさっさと仕事すればパゲ

テイダ

パゲってツルッパゲのパゲのことか！

テイダ

おい！そう言うことなのか！

テイダ

禿げてないから！シースルーってやつだから！

〜次の日〜

テイダ

リユ

テイダ

今日母さんが夜用事でいないんだって

テイダ

久しぶりに二人で回転寿司でも行くか？

テイダ

お前好きだったろサラダ軍艦

リユ

いつの話だよそれ

リユ

おじさんと二人で飯とか寿司が不味くなるからパス

リユ

エボン町で友達と食べてくるから一人で行ってていいよ

テイダ

そうかわかった

テイダ

もし予定変わりそうだったら早めに連絡してな

〜次の日〜

リユ

お前勝手に私の部屋のゴミ箱捨てたの！？

テイダ

え？うん今日ゴミの日だったから

リユ

勝手に部屋入んなよカス!はげ！

テイダ

禿げてないしカスじゃない！

〜昼〜

テイダ

最近の回転寿司って新幹線走ってんのな

キマリ

結局一人でいったのかよ

テイダ

行ったよ美味かったよ

キマリ

それにしてもお前の家族はもう完全に氷河期だな

テイダ

いつからこうなっちまったかな

テイダ

あの二人に少しでもいい暮らしをさせてやりたいと思って仕事頑張ってきたのにな

キマリ

その努力が二人の望む形だったのかっていうのはまた違う話になっちゃうからなあ

テイダ

てかさ聞いてくれよ

テイダ

昨日俺夜一人だっただろ

テイダ

それで今日がゴミ出しの日って気づいたからよ俺家中のゴミ袋集めてまとめたわけよ

テイダ

そしたらリユの部屋のゴミ箱にさ

キマリ

ちょっと待って

キマリ

お前かってにリユちゃんの部屋に入ったってわけ？

テイダ

そりゃゴミ捨てなきゃいけないからな

キマリ

お前さ、そうゆうとこだぞ

テイダ

え？

キマリ

年頃の娘の部屋はもう違う家なの

キマリ

勝手に入っていい領域じゃないの

キマリ

少しでも部屋のものに触ってみろよ、すぐブザーがなってお縄よ

テイダ

そんなモンスターズインクみたいな

テイダ

てかそんなのどうでもいいんだよ

テイダ

それでさリユのゴミ箱にさ

テイダ

包丁が袋に包まれて入ってたんだよ

キマリ

包丁？

テイダ

そう、キッチンにあるやつとは全く別の

テイダ

最近若いこの間で「リスカってのが流行ってるんだろ？」

テイダ

もしかしてリユ大きな闇でも抱えてるのかなと思って

キマリ

でもリスカってカッターナイフとかのイメージがあるぜ

キマリ

デカすぎるだろ包丁じゃ

テイダ

そうなのか

キマリ

まあ包丁の使い道といえば

キマリ

料理するか

キマリ

人刺すか？

テイダ

…

キマリ

実は最近起こってる連続通り魔の正体だったりして

テイダ

やめろよそんなわけないだろ！

キマリ

冗談だよw

テイダ

笑えないっつの

キマリ

まあ授業で使ったとかそんなもんだろ考えすぎんなって

〜数時間後〜

テイダ

ちょっとこれからリユのことよく見てやってくれ

テイダ

もしかしたら何か大きな悩み事を抱えてるかもしれないからさ

ユウナ

前にも言ってけどね

ユウナ

女子高生なんてそんなもんだから

ユウナ

何事もうまく行ってて黒い感情を抱えてない女子高生なんていないの

ユウナ

普通のいい子なんて想像上の生き物だからね

テイダ

でも何か話を聞いてやれば少しは力になってやれるかもしれないだろ

ユウナ

だからさこれも前に言ったけど

ユウナ

自分でやれば？

テイダ

女性同士の方が話しやすいこともあるだろ

ユウナ

私も色々と忙しいの、あの子に構ってやれないわよ

テイダ

他の男と会うのがそんなに忙しいのか？

ユウナ

は？

テイダ

俺知ってるんだぞお前が浮気してること

テイダ

昨日の夜もどうせ浮気相手の家に泊まってたんだろ？

ユウナ

昨日はちげーよ！

テイダ

どうだか

ユウナ

なんだよお前うぜーな！

ユウナ

ハゲ！

テイダ

禿げてない！

テイダ

別に俺のことが好きじゃなくなったならしょうがない

テイダ

でもリユのことはちゃんと愛情を持って育ててやってくれよ

テイダ

頼む

ユウナ

いやだね

ユウナ

あいつ生意気なんだよな

ユウナ

女子高生だからって何が特別なんだよ

ユウナ

ただの頭悪いバカガキじゃねーかどいつもこいつも

テイダ

娘にその言種はないだろ！

ユウナ

うるさい！

テイダ

帰ったらちょっと話し合うぞ

〜数時間後〜

テイダ

リユ

テイダ

何か悩み事とかないか？

リユ

別にないけど

リユ

何？急に気持ち悪いんだけど

テイダ

何か悩んでたり一人で抱え込んでいるものがあるなら教えてほしい

テイダ

俺はお前の力になりたいんだ

リユ

あんたにどうにかできるとは思えない

テイダ

そんなこと言わないで話してくれ！悩みがあるんだな！？

リユ

悩みがあってもの話ね

リユ

別にないから

リユ

てかあんたこそちゃんとした方がいいよ

リユ

こう、ぼうっとしてるから

テイダ

え？

〜次の日〜

テイダ

仕事休みました

キマリ

え？

テイダ

これはもう家族の問題の解決を優先した方がいい！

テイダ

明らかにリユは何かを隠している

キマリ

まさか昨日俺が言ったこと信じてるのか？

テイダ

お前が変なこと言ったから夜も眠れなかったわ！

テイダ

それに今朝新しい被害者発見されただろ

キマリ

確かエボン町だったよな、死後二日ってことは昨日は一日中あったってことだろ？怖！

テイダ

その日夜にリユがいたんだよエボン町に

キマリ

え？

テイダ

しかもその前の被害者はザナル通りだったよな

キマリ

まさか

テイダ

その日もいたんだよ！リユは！

キマリ

嘘だろ…

キマリ

でももし本当にリユちゃんだったなら自分からそんな場所なんて言わないだろ！

テイダ

わからない

テイダ

何かを抱えていて、俺に気づいて欲しかったのかもしれない

テイダ

それを確認するために今日一日リユを尾行することにした

キマリ

おいおい

テイダ

とりあえず進展があったらLINEするから

テイダ

お前は課長に俺が休んでも怒られない理由を適当に説明しといてくれ

テイダ

頼んだ

キマリ

連絡してねーのかよ！

〜夜〜

テイダ

こちら張り込み班テイダ

テイダ

暇すぎて推しの子を全話見終わっちまったどーぞ

キマリ

何してんだよ！

キマリ

尾行は！？

テイダ

それがずーっと動かないでカフェに座ってるんだよ

テイダ

学校にも行かないで

キマリ

奇妙っちゃ奇妙だな

テイダ

ただカフェの前に女子高があるんだ

テイダ

それに脇道に目立たない暗い細道もな

キマリ

まさか本当にリユちゃん生徒を狙ってるのか？

テイダ

わかんないけど今部活で遅くまで残ってた生徒が帰り始めてる

テイダ

待ってリユが動いた！追跡する！

〜数時間後〜

テイダ

待て！逃げるな！

テイダ

お前あんなところで包丁なんか持って何してたんだよ！

テイダ

まさかお前が通り魔だったのかよ！

テイダ

ユウナ！

ユウナ

こっちのセリフよ！あんたがなんでリユとあんなところに！？

ユウナ

くそ！まさか最初から気づいてたのか！

ユウナ

埋めた包丁を掘り起こして盗んだのもお前か！

テイダ

違う！

テイダ

けど、なんで！

テイダ

お前がなんでそんなことしてたんだよ！

ユウナ

うるさい！

ユウナ

男はみんな若い女が好きなんだろ！？

ユウナ

女子高生なんて何も考えていないバカ女が！

テイダ

一体なんの話だよ！

ユウナ

急に振られたんだよ！

ユウナ

ワカくんに！

テイダ

ワカくん？

テイダ

お前の浮気相手か！

ユウナ

おばさんはもうお金もあんまり搾り取れないし

ユウナ

もういいやバイバイって急に別れを告げられたの！

ユウナ

それでどうして私じゃダメなのって聞いたら

ユウナ

だっておばさん、おばさんじゃん

ユウナ

若くて可愛い子じゃないと俺興奮できないんだよねって！

テイダ

はあ？

ユウナ

それで目の前で新しい彼女を紹介されたの！

ユウナ

それがどっかの女子高校のバカそうな女だった！

ユウナ

そいつが私のことをなんて言ったと思う！？

ユウナ

あんたはもうただの枯れた人なんだから鏡見てふさわしい人と付き合いなよって！

ユウナ

今でも思い出すだけでムカつく！

テイダ

お前さっきから何を言ってるんだよ

テイダ

そんなんで女子高生を次々に刺したって言うのかよ！

テイダ

そんな馬鹿げた理由で！

ユウナ

馬鹿げた理由なんかじゃない！

ユウナ

私は怒りすぎて頭が真っ白になっちゃった

ユウナ

あの女を殴り飛ばすのも忘れるぐらいね

ユウナ

だから私はここらへんの女子高の生徒を隙を狙って襲ったの

ユウナ

付近の女子高生が狙われてるって知ったらあいつも震えてビビり散らかすでしょ？

テイダ

お前おかしいよ

テイダ

完全に狂ってる

テイダ

今すぐ自首してくれ

テイダ

自首して被害者遺族の方々に頭が擦り切れるまで土下座しろ！

テイダ

罪を償え！

テイダ

お前みたいな馬鹿のせいで幾つの命が奪われたんだ！

ユウナ

自首なんかするわけないでしょ？

ユウナ

私は今からワカくんのところに行く

ユウナ

私の気持ちの本気度が彼にも伝わってるはずだわ

テイダ

やめろ

ユウナ

一緒に逃げるの

ユウナ

これだけ命をかけたんだもの、彼もきっとわかってくれるわ

テイダ

待て！

テイダ

くそ！

〜すぐ後〜

テイダ

リユ！

テイダ

今そっち戻るからな！

テイダ

怪我はないか！？

リユ

あんたなんであんなところにいたのよ

リユ

まさかあんたも気づいてたの…？

リユ

お母さんが連続通り魔だって

テイダ

いやそれは

テイダ

実は俺はお前が

テイダ

いやうん

テイダ

そうだ！元から気づいていた！

リユ

私もこの前夜にザナル通りでお母さんを見かけた時から少し怪しく感じてたの

リユ

あの時のお母さん狂気に迫る顔をしているように見えたから

リユ

それでお母さんの跡をつけながら家に帰ったらお母さんが庭に何かを埋めたが見えたの

リユ

それですぐにそれを掘り起こしてみたら中に

リユ

血のついた包丁が入ってた

テイダ

それでお前の部屋のゴミ箱にあったのか…

リユ

すぐに警察に連絡しようかと思ったけど

リユ

私も何が何だかわからなかったし、

リユ

もし何かの手違いとかでお母さんの恨みをかったらって思うと怖くて

テイダ

そうだよな

テイダ

一人で抱えてたんだな

リユ

それでしばらく一日お母さんを尾行する生活をしてたの

リユ

お母さんが浮気をしてたことは前から知ってたからそのことには驚かなかった

リユ

けど私が尾行して見たのは相手の家の前で口論してるところだけ

リユ

夜遅くにこの学校を毎日うろうろしてたから次のターゲットはこの学校の子だって気づいた

テイダ

だからずっとここで見張ってたんだな

テイダ

ユウナが現れるのを

テイダ

でもなんで俺に相談してくれなかったんだよ！

テイダ

それにあんな包丁を持った相手に突撃するなんて無茶なことしやがって！

リユ

だって！

リユ

それであんたに万が一が起こったら私どうすればいいか…

テイダ

俺を心配してくれてたのか

テイダ

リユ

テイダ

俺はお前が世界で一番大切なんだ

テイダ

お願いだから自分の命を大切にしてくれ

テイダ

俺にお前を守らせてくれよ

リユ

うんありがとう

リユ

お父さん

〜後日談〜

テイダ

その後私とリユは少しずつ会話が増えていき、

テイダ

今ではリユの恋愛相談まで受けるようになりました

テイダ

笑顔まで見せるようになってつい昔の思い出が蘇ってきて泣いてしまう時もあります

テイダ

そして一緒に回転寿司に行った時、

テイダ

まだリユはサラダ軍艦が大好きなんだとゆうことが食べた時の笑顔でわかりました

テイダ

これから親子の時間を再生できたらなと思います

テイダ

ユウナは逃走後、浮気相手に拒絶されたことで大暴れをし

テイダ

浮気相手と揉み合った際に逆に包丁で刺されてしまい亡くなりました

テイダ

とても身勝手な理由で子供を亡くされた被害者遺族に償うこともなく亡くなった彼女は

テイダ

きっと地獄へ落とされたのだろうと思います

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結城真矢

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