TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

私が思うよりずっと

君は最低な人だった。

そしてそんな君に私は、

自分から溺れることを選んだ。

私は、自分が怖くなるほどに

君を好きになりすぎた。

好きになりすぎたから、愛せなかった。

私のために、不幸になってほしかった。

私も君も、

最低で最悪の嘘つきだから。

"運命"なんて、

そんな綺麗な関係じゃいられないでしょ。

出会うはずのない私達が、

偶然出会ってしまったあの日から。

私は君のために、

何もかも捨てようとした。

私は、

私にそうさせた君を、嫌いになりたいよ。

ねぇ、みずき。

私は君を…。

高校2年生の冬

キーンコーンカーンコーン

授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、 私は眠たい目を擦って 椅子から立ち上がった。

今日も面白いことなんて何もなかった。

退屈な授業を受けて、 放課は特に誰とも喋らずスマホを触って。

私は未だに馴染めないクラスで、 友達を作るのにも苦労している。

ゆな

はぁ。

私は、今日何度目かのため息をつくと のろのろと帰る支度を始めた。

ゆうと

ゆな

ふと、背後で私を呼ぶ声がした。

ゆうと

今日、一緒に帰れる?

首を傾げてそう尋ねるのは、 私の彼氏のゆうとだった。

ゆな

あ、うん

ゆな

帰れるよ

私は苦笑いを浮かべて そう答える。

ゆうと

お、やった!

ゆうと

じゃあ、掃除終わったら下駄箱集合で

ゆな

うん、分かった!

笑みを浮かべて走り去っていくその背中に、私はまたため息をついた。

掃除を終え、重たい足で下駄箱に向かう。

ゆうと

あ、ゆな

下駄箱につくと、 ゆうとはこっちに気づいて近寄ってくる。

ゆな

ごめん、遅くなっちゃった

ゆうと

あぁ、全然いいよ!

ゆうと

帰ろっか

ゆな

うん

帰り道、いつもゆうとは 遅い私の速度に合わせて歩いてくれる。

でも、付き合ってまだ2ヶ月の私たちは、 いまだ気まずい雰囲気を拭い切れていなかった。

ゆうと

それでさ、
俺陸上部に入ることにしたんだよね。

ゆな

そうなんだ、すごいね!

ゆうと

ありがと!

ゆうと

………

ゆな

……

ゆうと

ゆなは?
マネージャー戻る気ないの?

ゆな

うーん、ないかな

私とゆうとは、 元々ソフト部のマネージャーだった。

でも私は色々あって、 高一の時に辞めてしまった。

ゆうとも最近辞めることになったらしいけど、詳しい理由はよく分からない。

ゆうと

今日、一緒に帰れてよかった

私の家の前に着くと、 ゆうとは笑顔でそう言った。

ゆうと

また部活ない日LINEするから、
タイミング合えば一緒に帰りたいな

ゆな

うん、そうだね!

ゆうと

じゃあ、また明日学校で!

ゆな

ありがと、ばいばい!

ゆな

ふぅ。

ゆうとが見えなくなると、 一気に肩の力が抜けた。

ゆな

( また、か。)

ゆな

( 正直疲れるなぁ。
一緒にいてもそんなに楽しくないし。)

ゆな

( また適当に予定作って断るか )

そう思ってしまう私は、 ほんとに最低だと思う。

でも、これが私だから仕方ない。 どうしたってこう思ってしまうんだから。

私は大きなため息をつくと、 家の扉を開けた。

布団に横になると、 1日の疲れが一気に襲ってきた。

ゆな

( やっと1人になれた )

目を瞑ると、 色んなことが思い巡らされた。

今までのこと。 今日のこと。 これからのこと。

不満が降り積もってくだけの毎日に、 つまらない日常に、

どうやったら終わりが来るのかを、 私は今まで自分なりに考えてきた。

ゆな

( 何より一番の問題は、)

ゆな

( やっぱり、ゆうとだよね )

私は、今の彼氏が好きじゃない。

向こうから告白してきた時、 いいなって思ってた人だったから とりあえずで付き合った。

ゆな

( やっぱり、返事をする前に
ちゃんと時間をかけるべきだったな )

ゆうとは、 私が思ってたような人とは違っていた。

確かに人柄は完璧で、 優しくて私思いの一途な人だった。

ゆな

( 本当にいい人なんだけど…)

ゆな

( もっとクールで、
静かな人だと思ってたから )

ゆな

( 親父ギャグとか言い始めた時は、
さすがに驚いたな )

元々好きから始まってないせいか、 些細なことでも 気持ちは冷めることしかなかった。

ゆな

( いい人すぎて、
私とは合わないんだよなぁ)

それでも、 嫌悪感を覚えるほど好きになれなくても、私は別れを告げることを躊躇していた。

自分の身勝手さに ゆうとを巻き込みながら、 自分が悪者になるのは嫌だったから。

でも、みんなそうだろう。 誰だって悪者になんてなりたくない。

知らず知らずのうちに、 そうならないように行動してる。

それは私だって例外じゃない。

ゆな

( 他にいい人、いないかな)

ふと、私の中に嫌な願望が芽生えた。

最低だとそう思いながらも、 芽生えてしまえば 止めることなどできない。

そうして気づいたら、 私はあるチャットアプリを入れていた。

いい人がいたらいいなって、 それくらいの軽い気持ちだった。

そう、 最初は本気じゃなかった…。

この作品はいかがでしたか?

43

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚