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魂魄妖夢

…これが最後の一撃。風よ、私の剣に応えて…!

妖夢が風鳴を構えた瞬間、空気が震える。 風が彼女の周囲に集まり、まるで呼吸するかのように脈打つ

妖刀「風鳴」

その構え、最早迷い無き。

妖刀「風鳴」

成らば、我が力を解き放て。

妖夢が一歩踏み込み、風鳴を振り抜く

ズゥゥゥゥン!!!

風が咆哮を上げる

斬撃と共に風が奔流となって放たれ、修練場の地面を抉り、桜の木々をなぎ倒す。風はただの風ではない。意志を持った刃のように、空間を切り裂いていく

魂魄妖夢

……やっと……やっと、風を纏えた……!

妖刀「風鳴」

見事。お前の剣、風を導いた。これより我が力、真にお前のものとならん。

魂魄妖夢

…ありがとう、風鳴。これが、私の剣だ...ッ

だが、次の瞬間、妖夢の体がふらつく。腕の傷から血が滲み、脚も震えている

ズッシャ!

鈍い音を立てて、傷口から血が噴き出すとともに、 妖夢はその場で気を失った。

妖刀「風鳴」

…見事。だが、肉体が追いつかぬか。

妖刀「風鳴」

…風は、強き者に応える。だが、強さとは、振るう者の命を削るものでもある。

妖夢は膝をつき、風鳴を落とす。そのまま、静かに地面へと倒れ込む

西行寺幽々子

……妖夢……?妖夢っ!!

幽々子が駆け寄る。妖夢は意識を失い、風鳴は静かに横たわっている。彼女の体には無数の傷跡が刻まれ、鮮血が流れている。

西行寺幽々子

…もう、無理しなくていいのよ。あなたは、もう十分強いんだから…

妖刀「風鳴」

風がそっと吹き、妖夢の髪を撫でる。 まるで、風鳴が彼女を労っているかのように

凡そ三日後…白玉楼・客間

障子から差し込む朝の光。妖夢は重たいまぶたを開ける。 体は動かず、全身に包帯が巻かれている

魂魄妖夢

…ここは……白玉楼……?

魂魄妖夢

…うぐっ…

腕を動かそうとするが、激痛が走る。 風鳴を振るった右腕は、特に深く裂けていた。

魂魄妖夢

……っ……動かない……これじゃ……もう、風鳴は……振れない……

その瞬間、妖夢の胸に鋭い感情が走る

魂魄妖夢

っ…私は...ッ!

魂魄妖夢

弱いッ!!

拳を握ろうとするが、力が入らない。 悔しさが込み上げ、目に涙が滲む

魂魄妖夢

あれほどの力を得ても……ッ!

魂魄妖夢

結局、私は…自分の体すら守れない…!

数時間後…

西行寺幽々子

妖夢、目が覚めたのね。よかった…でも、無理しちゃダメよ。

魂魄妖夢

…幽々子様…私は…風鳴を振るう資格なんて、なかったんです…

西行寺幽々子

ふふ、そんなことないわ。あなたは、風鳴に認められた。

西行寺幽々子

でもね、認められることと、扱えることは別なのよ。

魂魄妖夢

…でも、私は…!

西行寺幽々子

焦らなくていいの

西行寺幽々子

風は、急ぐ者には冷たいけど、待つ者には優しいのよ。

西行寺幽々子

…それじゃぁ私は少し出かけてくるわね...

魂魄妖夢

...はい...。

凡そ五分後。

妖夢は包帯に包まれた体を動かせず、天井を見つめている。 心の中には、悔しさと無力感が渦巻いていた

魂魄妖夢

……私は……もう、剣を振るえない……

その時、枕元に置かれた風鳴が微かに震え、風がそっと吹き抜ける

妖刀「風鳴」

…お主は弱くない。少なくとも、我に認められた。

魂魄妖夢

…風鳴…?

妖刀「風鳴」

自信を持て。

妖刀「風鳴」

一度は、成功させた。風を纏い、空を斬った。あれは、真の一撃だった。

妖刀「風鳴」

昔の主を見ているようだった。

魂魄妖夢

でも…その代償に、私は…

妖刀「風鳴」

傷を負ってでも振るった剣こそ、本物。お前が剣を交えたあの剣士も、今のお前のように、自身の弱さに打ちひしがれていた。

魂魄妖夢

…あの影の武士…?

妖刀「風鳴」

そう。

妖刀「風鳴」

かつての主も、幾度となく風に斬られ、血を流した。

妖刀「風鳴」

だが、最後には風を導いた。お前も、同じ道を歩んでいる。

妖夢の目に、少しずつ光が戻る。痛みは消えないが、心に灯がともる

魂魄妖夢

…私は、まだ終わってない。

魂魄妖夢

風鳴、もう一度…私に、剣を振るわせてくれますか?

妖刀「風鳴」

その時が来れば、風は再び応える。

妖刀「風鳴」

お前の剣が、迷いを断ち切る限り。

そうして、一週間が経過した。

妖夢は驚異的な速度で傷を癒し、日々鍛錬に打ち込むようになった。

魂魄妖夢

…今日も、試練をお願いします。風鳴。

妖刀「風鳴」

よかろう。風は、お前の剣に応えるか否か、見極めよう。

魂魄妖夢

...ハァッ!

ズァァァン!

妖夢が一閃。風が巻き起こるが、以前のような暴走はない。 風は彼女の動きに沿って流れ、斬撃を導く

魂魄妖夢

…っ、痛みは…ない…!

風鳴の刃が空を裂く。風が優しく舞い、妖夢の体に傷を残さずに消えていく

妖刀「風鳴」

一歩、前進したな。

妖刀「風鳴」

お前の剣、風を斬るのではなく、風と共にある。

魂魄妖夢

…まだ完璧じゃない。でも、確かに…少しずつ、風が私に応えてくれてる。

そして…初めて風鳴を扱ってから1年以上が経過した。

魂魄妖夢

…風鳴、いきます!

スシャァン!

妖夢が一閃。風が剣に寄り添い、空を裂く。風は優しく、鋭く、そして...

何よりも、彼女を傷つけない。

妖刀「風鳴」

…見事。お前の剣、もはや風と一体。傷は不要。風は、お前を守る。

魂魄妖夢

…ありがとう。もう、痛みはない。でも…

少し言葉を濁してから、妖夢は口を開く。

魂魄妖夢

…でも、あの痛みがあったからこそ、今の私がある。

風鳴は何も言わなかったが、静かに震えた。

まるで、誇らしげに彼女を見守っているように。

西行寺幽々子

…妖夢、最近風がとても穏やかね。あなたの剣が、風を撫でてるみたい。

魂魄妖夢

ええ。風鳴も、もう暴れません。私の剣に、応えてくれるようになりました。

西行寺幽々子

ふふ、じゃあ今日はお祝いね?

魂魄妖夢

…ありがとうございます。

魂魄妖夢

でも、これからが本当の始まりです。風鳴と共に、もっと強くなります。

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コメント

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みょん良かったねぇ…頑張ったね…

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