彼と別れて、三度目の春が過ぎた。
相変わらず大都市の中心で悪目立ちをする巨大モニターに突如懐かしい顔が写し出される。
忘れる為にもう見ないと決めていたけれど、無機質なモニターが気を利かせてフェードアウトしてくれるなんて事もなくて。
呆気なく写し出された画面越しの彼の顔からはずっと耳に残るあの声が。
私
綺麗なハイトーンボイス。
心までもが震えるような美しいビブラート
私たちが出会うずっと前から私はこの声を知っている。
ずっとずっと貴方のことを見ていたから。
懐かしい気持ちに浸る私を置き去りにして、画面は切り替わりあっという間に別のアーティストの広告が流れ始める。
それから私は、なにかに取りつかれたみたいに自宅へ向かって足を進めた。
いつも通り、靴を丁寧に並べてテーブルの上に作業用のパソコンを広げる。
仕事の資料用ファイルへと向かうカーソルが、ふと動画アプリのアイコンへ吸い込まれるように向かう。
気づけば懐かしい名前を検索していた。
マウスを持つ手が、指先が、表示された検索結果に少しだけ震えている。
沢山の動画が陳列された画面をじっと見つめる目がじとりと熱くなるのがわかる。
私
目に止まった動画をクリックし、再生する
それは、今ではもう当たり前のように使われだしたショート動画の一つだった。
懐かしい声が、私の知らないメロディーを奏でている。
心做しか、画面に映る彼の顔は痩せこけているように見えた。
見ないうちに随分と苦労したのだろう。
心が苦しくて、無意識のうちに私は動画を閉じていた。
私
私
私
誰に問いかけるでもなく、何も無い空間に向かってふとそんな疑問を投げかける。
別に特段気になったわけではない、と思う
けれど、なんだか彼の歌う曲が無性に知りたくなって私はなんとなし記憶に残っていた英単語の歌詞を検索し曲名を見つけ出す
"all of my life"
画面に映るその曲名に見覚えはない。
英語にも滅法弱い私は意味が全く分からずまずは曲名の意味を調べることになる。
検索結果に何か心の引っかかりを覚えた。
私
調べる手は止まらなくて、ハングルで書かれた歌詞の意味の和訳も勢いで調べる。
私
熱くなる目頭からは止めどなく雫が溢れた
後悔やら愛おしさやら怒りやら、どの感情に留まっていいか分からずにただ泣きじゃくった。
きっと戻ることは無いあの関係に名前をつけるならば、それは間違いなく「恋」だったと思う。
閉じたはずの動画からはやっぱり懐かしい声と私へのメッセージ。
何度目かの再生を終えた後、私はずっと消せずにいたあの人の連絡先を全て削除した
もう、本当に忘れてしまおう。
私
泣き腫らした目を擦りベッドに横になる。
これでもう、彼と私を繋ぐものは本当に何も無くなってしまった。
どうか、貴方はあなたらしくいてね。
窓からぼんやりと差し込む月明かりはどこか懐かしく寂しげだった。
さて、お話はこれで完結となります。
いかがだったでしょうか?
いえいえ、わかっていますよ。
ほとんど会話がないじゃないか! ですよね?
文章ばかりの夢小説が嫌いな方には本当に申し訳ありませんでした。
ですが、sonaの作風はこれからもかわらず
このように文章が大半のものになると思います。
今回、私の作風が苦手だった方は
これからの私の作品もきっとあまり好みではないと存じますので
好きな作風の作家さんを是非見つけに行ってくださいね(*^^*)
そして私の作風が好きだという方…
いらっしゃるかどうかは分かりませんが これからもどうぞよろしくお願い致します!
もう、おわかりの方もいらっしゃるとは思いますが…
今回のこのタイトル、
パク・ウォンさんの 『all of my life』 なんです。
2018年、BTSがすごく苦しかった時期に グクがカバーしTwitterに投稿した あの伝説(?)の動画は覚えていますか?
私、あれが何年経っても頭から離れなくて ずっと作品にしたいとは思っていたんです
きっと解釈としては恋人ではなく armyに向けて歌った曲のように思われますが 今回に限り恋人へ向けてという風に 解釈した物語にしました。
そして、、、
次回予告…なんて大層なものではありませんが
次のテーマをちらっとご紹介。
実は主ジョングクペンではありますが
箱推しなんです…(小声)
黄金マンネにつづき、次は…
ツンデレ王子『ミンユンギ』
です!!!
まだ物語構成も全く考えていないので、内容はお楽しみに(*^^*)
ながくなってしまいましたが、 all of my life ━Jungkook━ 完結になります。
ここまでご覧頂きありがとうございました
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コメント
1件
えぇ、こんなに話作るの 上手な人初めて見ました・・・ 凄い、本当に凄い・・・ てことで、フォロー失礼します(ゑ)