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素直になりたい

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素直になりたい

1 - 素直になりたい 1

♥

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2019年07月21日

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文化祭も無事終わり、気付けばもう10月

ふと、切ない記憶を思い出す。

「いつか、絶対に美月に会いに行くから!」

その言葉だけ、今でも鮮明に覚えている。

今頃どうしてるかな...アイツ

一目だけで良いから、

また会いたいな...

そんな事を思いながら私は席に着く。

星野 美月

はぁ、今日もくだらない1日が始まるのか。

私は現実逃避のため、ミステリー小説を読む。

イヤホンで音楽を聴きながら。

成瀬 優馬

星野!

隣の席の成瀬くんに名前を呼ばれ、指の先をたどってみると

木村先生

星野さん、もうとっくにホームルームは始まってますよ

星野 美月

.....すみません

宮野 愛

クスッ。どうせ男のことでも考えてたんじゃないのぉ?

星野 美月

(そんな事、男好きの愛に言われたくないし...)

愛とは、中学からずっと一緒で高校に入ってからも同じクラス。

おまけに席替えしたら、前後同士になっちゃうからため息しか出ない。

星野 美月

(朝からほんとにくだらない。)

星野 美月

(早く休み時間にならないかな...)

木村先生

今日から新しい仲間が増えます。

男子A

え、転校生ってマジ⁉︎男?女?

女子A

私、イケメンが良いんだけどぉー!!

男子B

何言ってんだよ、可愛い女子の方が良いに決まってるだろ⁉︎

星野 美月

(転校生って聞いたら、イケメンや可愛い子しか期待しないわけ?)

星野 美月

(ドラマや漫画の見過ぎ。)

星野 美月

(期待するのは自由だけど、少しは転校生の身にもなってあげたら?)

木村先生

じゃあ、入ってきて〜

一ノ瀬 大地

はい。

女子B

キャーッ!!!

宮野 愛

超カッコイイ〜ッ!!

木村先生

じゃあ、一ノ瀬くん。みんなに自己紹介して。

星野 美月

(えっ?)

“一ノ瀬”という名字に反応した私は転校生の顔を確認した。

小さな顔に、長い手足。

背が高くて、黒髪から覗くのは目力の強い二重の目。

横から見ると、鼻も高い。

形の整った唇が動いたかと思いきや、

一ノ瀬 大地

一ノ瀬 大地です。

星野 美月

...っ⁉︎

星野 美月

(ウソでしょ?)

星野 美月

(ただの同姓同名?)

私は動揺を隠せない。

一ノ瀬 大地

北海道の高校から転校してきました。

一ノ瀬 大地

といっても、小学一年まではこっちに住んでいたので帰ってきたって感じです。

一ノ瀬 大地

それに、こんなに早く再会できると思ってなかったので、

一ノ瀬 大地

マジでビックリしたっつーかなんつーか...

前に立つ大地は戸惑いながら私を見ていた。

女子A

え?なになに?どういう事?

女子B

再会って何の話?

教室がざわつく。

すると、大地は

一ノ瀬 大地

久しぶりだな、美月。

私だけを見つめて、人懐っこい笑顔でそう言う。

男子B

なんだよ、転校生〜!!俺らのマドンナ様と知り合いなのかよ⁉︎

男子はわけのわからない事を言い出すし、

私と、大地が知り合いだと知ったみんなはもっとざわつく。

一ノ瀬 大地

俺と美月の両親はこの学校の卒業生で、親友同士だったから

一ノ瀬 大地

俺たちは幼馴染なんだよな、美月。

星野 美月

...うん

星野 美月

(なにも、みんなの前でその話をしなくても良いのに...)

一ノ瀬 大地

つーか、美月。この学校のマドンナなの?まぁ、その美貌なら納得。

星野 美月

...!!

一ノ瀬 大地

綺麗になったな、美月。

星野 美月

(や、やめてよ)

星野 美月

(なんでそんな事、サラッと言えちゃうわけ?)

星野 美月

(まさか、大地。)

星野 美月

(モテるからって調子に乗ってるとか?)

星野 美月

(ありえない。)

私はムッとしながら窓の方に目をそらす。

男子A

おっ、マドンナ様が照れてる〜

星野 美月

(っていうかその呼び方やめてってば)

一ノ瀬 大地

美月が分かりやすい反応するのも、素直じゃないのも変わってねーんだな

星野 美月

(確かに私は素直じゃない)

星野 美月

(それは認める。)

星野 美月

(認めるけど...)

木村先生

はいはい、これ以上は休み時間にしてね。

先生が話を中断すると、窓側の1番後ろの席に座った。

ホームルームが終わり、先生がいなくなった途端、女子達が大地の机を囲む。

女子A

彼女いるの?

女子B

背、高いよね、何センチ?

女子C

LINE教えて?

星野 美月

(ほんとうるさいんだけど)

私は耳栓がわりにイヤホンをする。

それでも、落ち着かないのは突然大地が現れたからだ。

だから...

一ノ瀬 大地

へぇ、俺もこの人の曲好き。

あれ、なんでだろ。

イヤホンしてるのに、人の声がすぐ近くで聞こえる。

一ノ瀬 大地

音楽の趣味合うね。

誰に話してるんだろう。

近くにカップルでもいるのだろうか。

そう思い、横を向いたその時

星野 美月

え⁉︎

星野 美月

なんで、大地がここにいるの??

星野 美月

(もしかして今私に話しかけてたって事?)

一ノ瀬 大地

美月、元気してた?

星野 美月

べ、別に普通だよ

一ノ瀬 大地

じゃあ、俺に会いたかった?

星野 美月

...っ⁉︎

星野 美月

(よくそんな事聞けるね...)

星野 美月

自惚れないで

私は冷たく言い放った。

自分でも呆れるくらい可愛いくないって思う。

ほんとはいつか大地が会いに来てくれるって待ってたくせに...。

期待してたくせに...。

それでもやっぱり、素直になれなくて...。

星野 美月

大地のことなんて、忘れてたし。

一ノ瀬 大地

は?それマジで言ってんの?だとしたら俺スゲーショックなんだけど

一ノ瀬 大地

会いたいって思ってたのは俺だけだったのかよ

星野 美月

...っ

星野 美月

(大地、それ本当?)

星野 美月

(本当に私に会いたいと思ってたの?)

それを聞いた私は後悔でいっぱいだった。

星野 美月

(どうしていつも、こうなっちゃうかな)

星野 美月

(本当は私だって会いたかったのに)

星野 美月

(大地が会いに来てくれる日をずっとずっと待ってたのに)

星野 美月

(だから、大地が私と同じ気持ちだったの、すごくすごく嬉しいのに)

一ノ瀬 大地

美月は俺が会いに来るのを待っててくれるかもって思ってた自分がハズカシー

一ノ瀬 大地

それでもこうやって、美月に会えたのは嬉しいけどね

星野 美月

...っ

私もそんな風に素直になれたら良いのに...

つづく

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