チハル
ねえー、リョーコちゃんから電話かかってきたんだけど〜

リリー
え!?

廊下にある電話の
受話器を持ってチハルちゃんが言う。
カナタ
は!?

マックス
え?

アカネ
なんて?

マキナ
なに!?外との通信とれんの!?

カナタ
お前切るなよ!絶対切るなよ!

リョーコ
あ、みんな集まってんのね?

リョーコ
なんだお前ら楽しそうだな〜

チハル
リョーコちゃん、ウチらどうしたらいい〜?

リョーコ
えっと、私たちの方でもその機体の路線調べたんだけど

リョーコ
ちょっとヤバい…

と、リョーコさんの話途中で
通話は切れてしまった。
チハル
あーーー!?

カナタ
お前なにやってんだよ

チハル
えーチハルなんもやってないよ!?

マキナ
チハルこれはないわ

チハル
ねーチハルじゃないって!

カナタ
うわー最悪だー!

なんて騒いでる中、
カートとマックスが隣の車両を見る。
リリー
どしたの?

リリー
あ

カート
おい待て

カート
チハルちゃんのせいじゃねえよ

マックス
さすがにこの現象の連続は誰かが意図的にやってるとしか考えらんないよ

マックス
ねえ、オータムちゃん!

マックス
全部あなたの仕業でしょ?

オータム
…

リリー
ひっ

少しの沈黙のあと、
オータムちゃんの首がこちらへ向いた。
小さく悲鳴を上げた私を
マックスが背中に隠してくれる。
オータム
もう隠す必要もないようですね

オータム
この度の列車の誤発進、並びにあらゆる機器の誤作動は、

オータム
全て私が意図的に行ったものでございます

チハル
あー、冷静になればそうだよね

マキナ
まぁ考えてみれば…

マキナ
あー、つかあーしらムッチャ馬鹿じゃん

リリー
言われみればオータムちゃんって人工知能だしそういう可能性もあったよね

マックス
うすうす気付いてたんじゃないの?

カナタ
確かになんで気付かなかったんだ

カート
お前こういうことすんの初めてじゃねえだろ?

オータム
確かに、私はこれまでにも服役プログラム中の犯罪者たちを車内に閉じ込め、

オータム
お互いを殺めるようさしむけた経験があります

チハル
なんでそんな怖いことするの?

オータム
私はオータム

オータム
列車の運行の効率化を目的に設計されたプログラムです

オータム
鉄道、ひいては社会全体を効率的に機能させる上で最も大きな弊害

オータム
それはあなたたちのような社会不適合者です

オータム
あなたたちのような存在を抹消すること

オータム
これもまた、私の業務の一環と捉えております

チハル
ちょっとよくわかんなかった

カート
さすがに無理があるだろ

リリー
犯罪者を抹消ってキリがないよね

オータム
ご安心ください、あなたは抹消されるべき対象には含まれておりません

オータム
マキナ様

マキナ
え、あーし?

オータム
はい、シュンイチロウ様から直々に…

マキナ
あーそういうこと?

マキナ
特別扱いみたいのやめてほしいんだけど

オータム
マキナ様は無傷でご自宅までお送りするようにと申しつけられております

カナタ
なに?何の話してんの?

カート
まだちょいわかんない…

チハル
いや、あの…

オータム
ご存知ない方のため、ご説明させていただきます

オータム
マキナ様は来栖財閥のご令嬢

オータム
彼女の父は私を製造したタイタン工業の創業者、来栖シュンイチロウ様です

小ネタ
リリーはホラーが好きだけど得意ではないタイプ。
ホラー映画を見たい時は、
カートとマックスと3人でおうち映画がお決まり。
怖いのに見たがって、でもやっぱり怖がる
リリーが最高に可愛い(2人談)。
なのでオータムがリリーたちの方を見た時も
怖がる素振りを見せていた。