主
主
主
主
主
主
主
主
いふside
いふ
土曜日の昼下がりにゆったりと街中を歩く
色褪せた木々と冷たい風が冬の到来を感じさせる
しかし、俺はただ散歩をしにきたんやない
まぁ、デートや
ほとけに誘われて、買い物をしに行くんや
何を買うんか聞いてみたけど、当日のお楽しみと言って 何も教えてくれんかった
案外このドキドキ感も嫌いやない
デートを数えきれへんぐらいしてきたが、 かつてこんなドキドキしたことはない
どこに行って何をするかが明確に決まっとることがほとんどやったから、 不思議な感覚や
ほとけが秘密というほどやねんから、大事なものなんやと思う
期待に胸を膨らませながら、待ち合わせ場所に向かった───────
いふ
無事待ち合わせ場所に着くことができた
ほとけはまだ来てへんから、わかりやすい場所で待っとくことにする
ガヤガヤ
休日だけあって人が多い
楽しいそうに歩く若い男女を眺めながら、彼がやってくるのを待つ
スマホをいじってもええが、うるさくて集中できなさそうやからやめておく
ほとけ
いふ
少し遠くから元気な恋人の声が聞こえる
明るい笑みを浮かべながらこちらへ走ってきとる
ほとけ
いふ
ほとけ
安堵の声を漏らすほとけ
普段なら「ごめん、遅れちゃった」だけで終わるため、珍しく思う
服装も何だか気合いが入っとる気がする
いふ
ほとけ
いふ
青組
ほとけの言われるがまま着いていく
おしゃれな洋服店などが立ち並ぶ道を歩いていく
普段あまり来ない雰囲気の場所に戸惑う
いふ
ほとけ
ほとけ
二人で笑いながら歩いていく
お互い忙しくて、頻繁にデートできるわけや無いから こうしてデートできることを嬉しく思う
会うたびに好きが更新されていく
どんどん相手への愛が大きくなる
我ながら恋する乙女みたいやな、なんて自嘲してみる
いふ
ほとけ
ほとけ
いふ
ほとけに少し強めに抱きしめられる
彼の優しい体温が俺を包み込む
久しぶりに感じる彼の暖かさと、ふわっと香る彼の匂い
幸福感で心が満たされていく
頰が緩む感覚がする
いふ
ほとけ
ほとけ
いふ
勢いよく頭を撫でられる
ちゃんと髪型が崩れないように配慮してくれとるんがほとけらしい
ほとけ
いふ
若干ドヤりながら言うほとけが面白くて、吹き出した
可愛かったり、かっこよかったりギャップで風邪ひきそうや
やけど、そのギャップこそがほとけの好きなところや
普段は子供っぽいのに、急に大人っぽくなるんが心臓に悪い
俺はほとけにだけは敵わへん
一生勝てることはないんやと思う
それだけほとけに溺れとるんや
ほとけ
いふ
そこはジュエリーショップやった
白い綺麗な外観と外から見とっても分かるほどの高級感
今までずっと縁がないと思っとったようなお洒落なお店や
ほとけ
いふ
ほとけ
その含みのある言い方に首を傾げる
いふ
ほとけ
そんな俺を見て、微笑むもんやから余計にわからんくなった
しかし、その笑みはいつもの元気な笑顔とはまるで違う
優しく細められた目に弧を描くような口元
いつもより余裕があるその姿に、ますます疑問が深まっていく
ほとけ
ほとけ
優しく手を取られながら、俺らは店内に入っていった
ウィーン
店内にはネックレスや指輪、ブレスレットまで様々なものが揃っていた
値段も手を出しやすいものから高価なものまで色々ある
いふ
ほとけ
いふ
平然を装って返答したが、内心混乱しとった
ペアネックレスには元々憧れがあった
離れていても想いは繋がっとるって気がして、素敵やと思う
ほとけのこの行動に深い意図があるんかはわからんが、素直に嬉しかった
ほとけ
ほとけ
いふ
左手の薬指にそっとキスを落とされる
さっきの言葉も合わせると、いつかはプロポーズしてくれるってことやろう
その事実に体温が上昇していく
心臓の音がうるさいくらいに響いている
ほとけ
いふ
ほとけ
俺が怒ったように言っても動じる様子もないほとけ
俺が本気で怒ってへんこともわかっとるからや
ただの照れ隠しということも見透かされとるんやろう
ほとけの方が一枚上手なことに少々腹が立つ
と、同時にそれだけほとけが俺のことを理解していることに嬉しく思う
ほとけ
いふ
青組
二人で店内を回りながら見ていく
キラキラと輝く色とりどりの宝石が目を惹く
大きな宝石がついたものはもちろん値段が高い
とても俺らには買えそうにない
やけど、そういうものに魅力を感じるのも事実や
ほとけ
いふ
いふ
これは財産的な意味もあるが、高すぎると毎日付けづらいっていうんも理由や
万が一にでも傷をつけてしまったら、俺は立ち直れる気がせぇへん
きっとほとけなら笑って仕方ないよと言ってくれるやろうが、 申し訳なさでそれどころじゃなくなるんが容易に想像できる
ほとけ
ルンルンとしながらショーケースを覗き込むほとけは子供っぽい
かわいいな、なんて思いながら気にいるデザインのものを探す
いふ
俺が目を奪われたのは雫型のモチーフの中に、 宝石が埋め込まれたデザインのもの
シンプルやけど、華やかさもあって綺麗や
ほとけ
いふ
いふ
ほとけ
ほとけ
いふ
ほとけ
二人して目の前のネックレスに見惚れる
なんだか俺には、このネックレスだけ スポットライトを浴びとるように見えた
どんなに大きな宝石が付いた他のものよりも、 このネックレスが一番輝いて見えた
ほとけ
ほとけ
いふ
いふ
ほとけ
ほとけ
自分が顔に出やすいタイプなんて知らんかった
それをほとけに知られとったことが、恥ずかしい
完全にほとけのペースに飲まれとる気がするが、それも悪くないと思った
ほとけ
いふ
いふ
ほとけ
ほとけ
いふ
ほとけ
お互いの色にするなんて思いつきもせんかった
でも、そっちの方がロマンチックでいいと思った
ほとけ
いふ
青組
ウィーン
無事購入を済まし、店を出た
ほとけ
いふ
ネックレスを箱から取り出す
キラキラと輝くアクアマリンは淡い水色で綺麗や
いふ
チェーンを外し、首に付ける
目を惹くような煌めきやないけど、程よく存在感があって華やかや
ほとけ
いふ
いふ
ほとけの胸に輝くのはサファイア
深い青やけど、透き通っとって綺麗や
ほとけ
いふ
ほとけ
力強く、でも優しく手を握られる
俺もそっと握り返す
いふ
ほとけ
俺は恥ずかしくなって目を逸らす
今はほとけの顔をまっすぐ見れそうにない
ほとけ
いふ
いふ
ほとけ
ほとけ
いふ
青組
手を繋ぎながら歩く俺らの胸元で、 お揃いのネックレスが光っていた─────────
〜終〜
コメント
5件
うおぉぉ…っ! めっちゃてぇてぇです……߹ ߹ 安定の神作を ありがとうございます…ッ!! 主さん誕おめですっ!!🎉