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あの人を思い出すと、悲しくなる
もう会えないのが寂しくて仕方ない
それと同時にイラつく
あの人を殺した奴が憎い
僕の中で憎悪が増していく
それは「憎い」だけの軽いもんじゃない
嫉妬、憎悪、殺意、色んなものが混ざったものだった
それを隠すためにも今まで笑ってきた
ほんの少しでも気を抜いたら誰かを殺してしまう気がしたから
自分の気持ちを押し殺して必死に我慢して
やっと抑えられたのにまた繰り返す
苦しい、助けて、もうやだ
そんな感情が混じった憎悪は僕の中でまた膨らんだ
そして、あの日を思い出す
兄貴が殺された日を、、、
今でも鮮明に覚えてる
海風 春(うみかぜ はる)
僕が兄貴と呼んでいた人物だ
知らない大人に、体を蹴られ、殴られ、ひどいことをされ、
春の体から血が出て目の前でうつろな目をした春が死んでいく姿が僕の脳裏にこびりついている
いやでも忘れられない記憶
忘れることのない記憶
僕に抱きついたまま冷たくなっていく春を僕は覚えてる
それをみて笑っていた奴らも覚えてる
春は、僕を守るために身代わりになって死んだ
顔は腫れ、足には切り傷、腕には焼印、全身から大量の血が溢れ出し、それでも僕に笑顔で言ってくれた
「幸せに生きろ」って
僕は蘭君に今までの出来事を全て話した
蘭君は一度も話を止めることなく真剣に聞いてくれた
僕が家族に捨てられたこと、
兄貴だと思える存在が殺されたこと、
僕が嫌でも笑っていたこと、
路地裏で知らない大人に酷いことをされたこと、
僕が、殺人をしたこと
全てを聞いた蘭君は少し間をあけて、
「辛かったね」と同情してくれた
普通ならきっと怖がったり、距離をおいたりすると思ってた
でも違った
蘭君は僕に同情して、優しくしてくれた
兄貴みたいに
いつのまにか泣いていた
ポロポロと溢れる涙をみた蘭君は僕の頭に手を置いて
慰めてくれた
嬉しかった
久しぶりに兄貴に会えた感覚だった