白立田寛平
ここまで来たらもう大丈夫かな
白立田と光崎史は襲撃から逃れようと一旦橋の下へ隠れた
白立田寛平
割と出血してるね
白立田寛平
痛くない?
光崎史雪人
いえ...すみません。迂闊でした
白立田寛平
君が急に止まったからビックリしたよ。ま、そんな日もあるさ
光崎史雪人
すみません...
白立田寛平
何か思い出したの?
光崎史雪人
昔を思い出しました。丁度こんな雨の日...親に火傷を負わされたことを
白立田寛平
そっか。君を助けた日でもあるね。その時の君はとても細くて怯えていたね
光崎史雪人
はい。それに今は綺麗な格好をしていますが...あの時は汚らしくて。でもそんな僕を白立田さんは躊躇なく抱きしめてくれました。「君はよく頑張ったね。良ければ俺のところに来ない?」って優しい言葉を掛けてくれました
白立田寛平
鮮明に思い出す?
光崎史雪人
はい。凄く嬉しかったので...。だけど疑問点が...どうして僕なんかを抜擢したんですか?あの時に強さなぞ分かりませんですよね...
白立田寛平
そんなことないよ。虐待を受け、火傷を負っても生きようとした君は、きっと強くなると思ったよ。並みの大人でも無理だからね
光崎史雪人
保障は無かった...
白立田寛平
俺が言いたいのはつまり...。君は初めから嫌われ者だっただろう?だけど今、最強と呼ばれているのは何故か。それは君は誰よりも強くなろうと頑張ったからだ。身分や火傷で評価されたくないプライドが、強くしたんじゃないかな。その強さを見込んで君を引き入れたんだ
光崎史雪人
...白立田さんはほんと見る目がありますね
白立田寛平
俺も最下級育ちだもん。身分なんて何にも評価にならない事は身に染みている
光崎史雪人
白立田さんでも辛い事はありましたか?
白立田寛平
そりゃあるさ。この地位に辿り着くまで何度死にたくなったか。嫌われ貧乏と呼ばれていた時期が長かったからね
光崎史雪人
たしか白立田さんは頭領様に気に入られたんですよね
白立田寛平
その時の理由は「美しいからこそ強くなれるだろう」だってさ。今なら理解出来るよ。俺がどれだけ上になりたいか...。だから自分の地位は最後まで守りたい
白立田寛平
やっと来たね。足が遅いんだから
光崎史雪人
あ...僕も
白立田寛平
怪我ひどいだろ?あれぐらい俺でなんとかなる
光崎史雪人
でも...
白立田寛平
リーダーには従うんだよ
光崎史雪人
雨の中...
白立田寛平
雨?いいさ。大切な仲間が怪我してるのに雨ぐらい気にならないさ。きっと強叉も乱丸も同じことを言うと思うよ
白立田は刀の持ち手を肩で担ぐように置いてから微笑み、勢いよく雨の中へ走って行った
光崎史雪人
(...やはりお優しい方だ...。きっと自身が思うより)
戦いが終わった時。白立田は光崎史に破れ汚れた服の請求をした
白立田寛平
無駄遣いをしてしまってね。丁度理由付けになって良かったよハハ
光崎史雪人
(白立田さんらしくて逆に安心した...)