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皆さんこんにちは!

今回の作品は投稿頻度が他の作品よりも早くできると思います!

この作品、実際にある本なんだけど、面白いからおすすめ!

これ勝手に乗せたりしたらダメだったらごめんなさい🙏

ちなみに色んな種類があります

それではどーぞ

「ぼくのおとうと」

弟のリクが生まれたのは、僕が3歳の夏だった

僕は小さくて、うちに新しい家族が増えるなんてことは考えもしなかった

だから、お母さんが生まれたばかりのリクを病院から連れて帰った時

僕はちょっと……ううん、すごくびっくりしたんだ

お母さん

この子の名前はリクって言うの。仲良くしてね、ソラ

ソラ

うん、いいよ。僕の弟なんでしょ?

僕はお母さんの腕に抱かれた小さな弟をのぞきこんでそう答えた

リクはちっちゃくて弱々しくて、目を離したらすぐに死んじゃいそうに見えた

そのくせ、目も鼻も口も、小さい手の指先まで全部ちゃんとした人間の形をしているんだ

ソラ

甘いミルクの匂いがするね

僕は、リクのやわらかそうなほっぺに触ってみた

どんな感じかなって思ったんだ

そうしたら、お母さんは

お母さん

ダメよ、ソラ

と言い、リクを抱いたまま立ち上がった

ソラ

僕、リクと遊びたいんだもん

お母さん

まだ赤ちゃんだからすぐには遊べないの

お母さんはそう言って、リクを柵のある小さなベッドに寝かせた

リクはびっくりするくらい大きな声で泣く

手足をモゾモゾと動かしたり、やわらかい体をねじって顔を赤くしたり

たったそれだけの事なのにお母さんはいつまでも飽きずに眺めている

そっとなでたり、優しい声であやしたりするんだ

リクが生まれるまではいつも僕の事を見ていてくれてたのに

僕はしょんぼりして椅子に上がり、やわらかいクッションに顔をうずめた

お父さん

やきもちを焼いているんだろう、ソラ?

会社から帰ってきたお父さんはからかうように言った

胸がチクチクする

お母さん

そんなふうに言っちゃダメよ

お母さんがそう言って立ち上がり、僕を抱き上げてくれた

お母さん

心配しないでね。私もお父さんもあなたの事が大好きよ

優しいお母さんの腕の中で僕はなんだか泣きそうになった

リクが生まれて3回目目の夏

僕は6歳になっていた

涼しい高原へ遊びに出かけた僕たちは、森の中の静かなキャンプ場で楽しい時間を過ごしていた

お父さんはバーベキューの準備をして お母さんはテーブルにご馳走を並べている

僕はひと時もじっとしていないリクの見張り番だ

ソラ

リク!僕にボールを投げて!リクってば!

リク

あっ。あそこ、なんかいる!あれなあにー?パパー。ワンワン?

僕とボール遊びをしていたリクが、後ろの森を指さしてお父さんに聞いた

リクが見つけたのは、薮(やぶ)に潜んでこっちを見ている尻尾の太い動物だった

お父さん

お、野生のキツネだ。コンコンだな。近づいちゃダメだぞ、リク

お父さんが次々とお肉を焼きながら、僕たちを振り返って言った

お父さん

もうすぐ夕飯だぞー

ソラ

リク、ほら、ボール遊びの続きをしようよ

僕はリクの袖を引っ張ったけど、何かに夢中になった時のリクは僕の言う事なんで聞きやしない

イヤイヤして足を踏ん張っている

リク

ヤダもん!コンコンみるもん!コンコン!

僕はカチンときてキツネを追い払った

ソラ

ほら、あっち行け!シッ、シッ!

リク

コンコン、いっちゃった……もっもみたいよう!

リクが駄々をこねた

僕だって、時々ら弟の面倒をみるのがイヤになる

ソラ

じゃあ好きにして。僕、もう知らないよ!

僕はお父さんのところに走って戻り、焼けたお肉を見て大はしゃぎした

ソラ

わーい!お肉!お肉!

お父さん

ソラの大好物だもんな。今日はいっぱい食べていいんだぞ

お父さんが僕を見て楽しそうに笑う

お母さんも、僕の写真を撮りながら笑った

お母さん

はい、ソラいい顔ね。今度はリクと一緒に並んで撮ろうか。リク、おいで

カメラを持ったままあたりを見渡すお母さんが不安そうに言った

お母さん

ねぇ、リクがいないわ。どこへ行ったのかしら

お父さん

なんだって?

お父さんがはじかれたような顔を上げ、森を振り返る

お父さんとお母さんは真っ青になってリクを探した

だけど、どこにもリクの姿はない

夕暮れ迫る深い森が小さなリクをすっぽりと隠してしまったんだ

太陽が沈みかけていた

森の奥は既に薄暗い

すぐに夜がやって来るだろう

お母さん

どうしよう。あの子にもしもの事があったら

お母さんが泣く

お父さん

リクは好奇心の強い子だから、もしかして何かを見つけて森の奥へ……

お父さんがハッとしたように言った

お父さん

キツネだ!キツネを追ったんだ!

キツネ……

僕の心臓がドキンと大きく鳴った

僕がリクのみたがっていたキツネを追い払ったからだ

そして、リクを1人にしたから……

本当はちょっとだけリクが邪魔だった

お父さんもお母さんもリクの方が可愛いんだって思うことがあったから

だけど、リクがいなくなっちゃうなんてイヤだ

当たり前のように、僕の隣に居たリク

毎日一緒に遊んで

いっぱい楽しい時間を過ごした

小さなプールで水遊びしたり

虫の声を聴きながらお散歩したり

遊び疲れて夜は2人でぐっすりと眠った

リクの明るい笑い声が大好きだった

リクが心配でたまらない

どこへ行っちゃったの?リク

その時、森の木々をザワリと揺らして風が空き地を吹き抜けた

森を見つめていた僕の頭に、リクの姿がよぎる

キツネを追うリク

あの小道から森の奥へ入って__

ソラ

お父さん、お母さん、リクはあっちの森の中だ!

僕は大きな声で叫んだ

ふたりが驚いて振り返る

ソラ

ほら、リクの声がする。助けを呼んでる。僕には聞こえるんだ!

言葉で伝えられないのがもどかしかった

お父さんとお母さんの耳には、いつだって僕が

ソラ

ワン!ワン!

と吠えているようにしか聞こえないんだから

お母さん

きっと、ソラが何か気づいたんだわ!

お母さん

私たちを案内しようとしているのよ!

僕は耳を澄まし、鼻を上にあげた

森の匂いがする

キツネや他の動物

草や湿った土……

風に乗ってふわりと流れてくるリクの匂いを

僕はハッキリと感じた

ソラ

こっちだよ!着いてきて!

僕は脚で草を蹴り、リクのいる場所へ向かって全力で駆け出した

僕にしか嗅ぎ分けられないリクの匂い

小道にリクの帽子が落ちている

やっぱり、ここを通ったんだ

ついに僕は、斜面から足を滑らせ、薮(やぶ)に引っかかって泣いているリクを見つけた

僕は

ソラ

ワン!ワン!

と鳴いてお父さんたちを呼んだ

僕を振り返るリク

僕が近づくと、リクは安心したのか、声をあげて泣き始めた

濡れたほっぺをペロペロと舐めてあげると、しょっぱい涙の味がする

リクがしゃくりあげながら僕を抱きしめて言った

リク

大好き。ソラ

僕も大好きだよ、リク

やんちゃだけど、かけがえのない可愛い弟

本当に助かってよかった

君は人間

僕は犬だけど

これからもずっと仲良く遊ぼうね

笑顔になったリクを見たらものすごく嬉しくなって、僕はいっぱい尻尾を振った

𓏸 𓈒 𓂃 𝐄𝐍𝐃𓂃 𓈒𓏸

どうでしたか!?

この話好きなんですよね〜

次回!

「雨の日カフェ」

次も見てね〜!

(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪

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