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もう朝なのにも関わらず、降り続ける雨のせいで、明るい朝日が全く差さない。

少し肌寒く感じる病室で、瓜二つの姿形をした者達が、一人の少女に寄り添っていた。

医者

辛うじて息はある、
あとは本人の頑張り次第だ

医者

俺は診察室に戻る、
何かあれば呼んでくれ

ココ

分かった、感謝する

医者にそう告げ、ココは病室を 出ていく彼を見送った。

しばらくして病室は静まり返った。 激しく降る雨に混ざり、心電図の無機質な音と小さな呼吸音が響いている。

…………ココ、あいつは?

ココ

トイレに行くとか言ってたぞ
にしては遅い気がするがな

そうか…なら外の空気吸いに行く
ついでに、ちょっと探してくる

ココ

分かった、気をつけていけよ

…ああ

力のない声で蘭は答える。 彼は呼吸器をつける少女にそっと触れるが、すぐに離れ病室を後にした。

鏡蘭

………………

吹き付ける風と降り続ける雨が、屋上に一人いる彼の体を冷え込ませる。 雨は頬を伝う涙を紛れさせていた。

よう、ここにいたのか

トイレに行ってるって聞いた
んだが、間違えたのか?

鏡蘭

放っておいてくれ…

何も邪魔しやしねぇよ、俺は
ただ外の空気吸いに来ただけだ

そういうと蘭は鏡蘭の隣に立つ。 流れるように彼はタバコを咥え、火をつけようとする。

しかしそれは雨の中では、 全く意味をなさない行動であった。

鏡蘭

…悪かった、本当に
全部俺のせいだ

鏡蘭

途中から分かってたんだ
間違ってたって…

鏡蘭

でも止められなかった
認めたくなかったんだ

鏡蘭

自分のせいで
夢ちゃんが死んだなんて…

……………

鏡蘭

あの日、お前のように
もっと冷静でいられたら

鏡蘭

きっとこんなことには
なってなかっただろうな…

…同じだ

鏡蘭

え?

俺もお前と同じように
冷静じゃなかった

あいつらが、無謀なことをしよう
としていた俺を止めてくれた

俺だけの力じゃねぇよ

これ以上自分を責めるな、そんな状態じゃ夢ちゃんに顔向けできないだろ

正直俺はまだ許してねぇし、あいつらも口では許すと言っていても、本心は分からない

だがきっと夢ちゃんは、最終的にはお前を…お前たちを許すだろう

夢ちゃんは、そういう子だから…

鏡蘭

………………

いつもうるさいくらい元気で、
自由で、子供より子供だったけど

どんな人に対しても底なしに優しくて、自分の信じたいと思う人は最後まで信じて

自分を犠牲にしてまで、大切な人のことを優先して全力で守ろうとする

強いけど、誰よりも
放っておけない子だった

鏡蘭

……………

…死ぬなよ

夢ちゃんを信じろ、夢ちゃんが
お前たちを信じたように

絶対に帰ってくる

そう言うと蘭は濡れたタバコを捨て、 新しいタバコを口に咥える。

しかしやはり火は上手くは付かず、 何度もカチカチと音を鳴らしている。

はぁ……くそっ、

鏡蘭

おい

すると鏡蘭は突然声をかけると、蘭の咥えていたタバコに自身のライターの火を近づけた。

悪い…ありがとな

タバコの火を貰い、咳き込むほど 深く煙を吸い込む。

同時に鏡蘭もタバコを取り出す…

雨…止んできたな

鏡蘭

だな…

はぁ…髪も服もびしょ濡れだ

これじゃ夢ちゃんの前に出られねぇ…ったく、お前のせいだぞ

鏡蘭

人のせいにすんなよ
お前が勝手に来たんだろ

誰かさんが泣いてる気がして、
仕方なく来てやったんだよ

感謝しろよー

鏡蘭

誰が……はぁ、もういい

鏡蘭

…ありがとな

…俺の方こそ

雲の間から少しずつ差し込む陽の光を眺めながら、香るタバコと雨の匂いを感じ取る。

髪の毛から流れる雨粒は頬を伝い、 枯れ果てた涙を模倣する。

バァンッ!!

すると突如、屋上に続く扉が 勢いよく開かれた。

ココ

蘭!!

ココ…?

どうしたんだよ、んな焦って…

ココ

夢が…!

バァンッ!!

夢ちゃん!!

ずぶ濡れのまま息を切らして、 蘭は病室に飛び込んだ。

竜胆

兄貴、近く行ってやって

………

竜胆に支えられながら夢に歩み寄り、 そっとその頬に触れる。

………ッ…

夢ちゃん…

蘭の手に気づき、閉じていた瞳が ゆっくりと開かれる。

薄く開かれた瞳に蘭の姿が写り、夢は微かに笑みを浮かべた。

……ッ"!!

それを見た瞬間、蘭の瞳に枯れていたはずの涙が溢れ出した。

思わず抱きしめると、ベッドの周りにいたメンバー達も、釣られるように夢を抱きしめた。

鏡蘭

はぁ…はぁ…

鏡竜胆

兄貴、大丈夫か?

鏡蘭

…竜胆、夢ちゃんは?

鏡竜胆は無言でベッドの方を指す。

そこに居たのは、かすかに笑みを浮かべながら蘭達に抱きしめられている夢だった。

鏡蘭

夢ちゃん…

鏡夢

きて、くれて…
ありがとう…ッ"…

鏡夢

うれし、かった…よ…

鏡夢

ありがとう、
らん、ちゃん…ッ"…

鏡蘭

…ッ"……夢ちゃん…!

途端記憶が巻き戻り、 瞳に映る少女と重なった。

鏡蘭は弟にもたれ掛かり、 密かに涙を零した。

数週間後…

「あー!!」

蘭ちゃんがまた私のケーキ食べたー!!

だって名前書いてなかったしー

ねぇココちゃん!!

ココ

あーうるさいうるさい!!
んな事で騒ぐな鬱陶しい!!

酷い!!買い直すから、
お小遣いちょうだい!!

ココ

蘭に請求しろよ
あいつが食ったんだろ?

蘭ちゃんがそんなこと
するわけないじゃん!!

竜胆

確かに

武臣

素直に買い直してくれるなら
こんなに騒いでないよな

私の癒しのマイキーと
カクちゃんはどこ行ったの!?

望月

さっきたい焼き買いに行ったぞ

私を置いて出かけたの!?
ハブられた悲しすぎる…

春千夜

別にそんなんじゃねーだろ

春千夜

まあなんで俺じゃなくて鶴蝶
なのかは気になるけどな

みんな今日冷たい…もういい!!
鏡の蘭ちゃん達に浮気してやる!!

えっ、ちょ…

夢の言葉に蘭は思わず反応するが、夢は気にせずオフィスを出ていってしまった。

夢ちゃんそれはダメー!!

蘭はそう叫ぶと、出ていった夢を 追いかけて行った。

竜胆

ったく、朝から騒がしいなw

ココ

ほんとにな…

鶴蝶

元気ならいいんじゃないか?

武臣

うおっ!?
お前らいつ帰ってきた!?

鶴蝶

ついさっきだ

鶴蝶

面倒なことに巻き込まれ
なかったようで良かったよ

望月

すぐ入ってこなかった
のは英断だったな

春千夜

マイキー!!なんで俺じゃなくて
鶴蝶と買いに行ったんですか!?

マイキー

色々面倒だから

マイキーの直球すぎる言葉に、 春千夜はショックのあまり石化した。

竜胆

素直www

ココ

まあ分からんでもないな

武臣

はぁ…あの2人がいなくても
こっちもこっちで騒がしいな

望月

だな、今頃どうなってることやら…

夢ちゃん待ってよー!

待たん!!絶対やだね!!
鏡蘭ちゃん達に愚痴ってやる!!

新しいやつ買ってくるまで
鏡の世界に家出するから!!

ちょ、それだけはマジで勘弁!!

鏡蘭ちゃーん!!

「どうしたの?」 「またそっちの俺と喧嘩した?」

鏡蘭

夢ちゃん

夢が縋るように叫ぶと、あの時と同じように鏡に見慣れた彼と、瓜二つの人物が姿を現した。

End…

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コメント

22

ユーザー

もうまじでてんさい

ユーザー

最高!! 主さん天才? この物語最初はどうなるかと思ったけど最終的に鏡の蘭ちゃんたちと普通の世界?の蘭ちゃん達と仲直りで良かった!!

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