一覧ページ

LINE905

第1話 - あ

2023年07月22日

#恋愛

結城真矢

ハルミ

こんにちは、はじめまして

ハルミ

この連絡先、ミヤコさんで合ってるかしら？

ミヤコ

はい、合ってます

ミヤコ

あの、どちら様でしょう？

ハルミ

私ハルミと言います

ハルミ

今回人事異動によりあなた達がいる部署に異動してきたの

ハルミ

言ってしまえば新しい上司ってこと

ハルミ

まあまだ異動はもうちょっと先なんだけど

ハルミ

親睦を図るために、先に社内の連絡先だけ聞いていたのよ

ミヤコ

そうだったんですか！

ミヤコ

ミヤコと言います、よろしくお願いいたします

ハルミ

はいよろしく

ハルミ

ところで、ミヤコさんって随分おモテになるのね？

ミヤコ

え？

ハルミ

まだあなたに会った事はないけど、噂は色々聞いていますよ

ハルミ

とても可愛らしい顔立ちで、男性にモテるって

ハルミ

部署内どころか、社内でも1,2を争う人気らしいじゃない

ミヤコ

いえ、そんな事は…

ハルミ

あなた結婚は？

ミヤコ

まだです

ハルミ

じゃあ彼氏はいるのね？

ミヤコ

いえ、いません

ハルミ

何でいないの？

ミヤコ

なんでと言われましても…

ハルミ

分かった、純情ぶってるってわけ？

ハルミ

それで男たちの関心を引いてるのね？

ミヤコ

そんなことありません

ミヤコ

良い人だな、と思う人がいないだけで…

ハルミ

じゃあ白馬の王子様でも待ってるってわけ？

ミヤコ

そういう訳ではないんですが…

ハルミ

あなた今幾つなの？

ミヤコ

28歳になります

ハルミ

ふうん、ようやく会社に慣れてきた小娘って感じね

ハルミ

でももうあっという間30歳

ハルミ

ちょっと可愛いからって調子に乗って男を選り好みしてると

ハルミ

すぐにババアになるわよ

ミヤコ

肝に銘じます…

ハルミ

じゃ、正式にそっちに異動したらよろしくね

ミヤコ

よろしくお願いします

～数か月後～

ハルミ

ミヤコさん、ちょっといいかしら？

ミヤコ

はい、なんでしょう？

ハルミ

この前頼んだ資料、まだあがってきてないんだけど？

ハルミ

部長、まだできてないのか！って怒ってたわよ

ミヤコ

え？資料なら頼まれた翌日に出しましたが…

ハルミ

あら？そうだったかしら？

ミヤコ

はい、こちらの送信履歴には残ってます

ハルミ

じゃあ間違って削除しちゃったのかも

ハルミ

あとで同じもの送っておいて

ミヤコ

分かりました

ハルミ

あと、これ私じゃなくてミヤコさんが送り忘れてたってことにしてくれない？

ミヤコ

え？どうしてですか…？

ハルミ

ほら部長ってあなたには甘いでしょ？どうせ怒られないわよ

ハルミ

あなたも色目使って楽してるんだから、たまには私にも楽させてよ

ミヤコ

色目なんて使ってません！

ハルミ

はいはい、どうせそう言うと思ってたわ

ハルミ

いいわね20代は

ハルミ

でもあんたアラサーなの忘れないようにね

ハルミ

もう若くはないのよ

ミヤコ

はい、すみません…

～数か月後～

ハルミ

ミヤコさん、話があるんだけど

ミヤコ

なんでしょう？

ハルミ

今度入ってきた中途採用の新入社員いるでしょ

ハルミ

あなた、どう思う？

ミヤコ

え？どうって…まだお話したこともないので分からないですが

ミヤコ

凄くイケメンだって同僚はキャーキャー言ってました

ハルミ

あなたはイケメンだとは思わないの？

ミヤコ

私は人間は中身だと思うので…

ハルミ

なに？かまととぶってるの？

ミヤコ

いえ、そんなことありません

ミヤコ

すごくかっこいい方だと思います

ハルミ

まさかあの子にまで色目使おうと思ってるんじゃないでしょうね？

ミヤコ

私は誰にも色目なんて使っていません…

ハルミ

とにかく！

ハルミ

いい？あの子には絶対手を出さないこと

ハルミ

いいわね？

ミヤコ

わかりました…

～数か月後～

ハルミ

あなた、私の忠告聞いてなかったの？

ミヤコ

どうされたんですか？

ハルミ

あの子には手を出すなって言ったわよね？

ミヤコ

でも、仕事上接することがあるのは仕方のないことでは…

ハルミ

じゃあなんであんなに親し気に話してるのよ！

ミヤコ

すみません、そんなつもりはありませんでした

ハルミ

早速色目使って、イケメンに唾つけとこうと思ってるのね？

ミヤコ

そんなつもりは…

ハルミ

ほんと下品な女！すぐそうやって手を出すんだから

ミヤコ

すみません…

ハルミ

もうこれ以上彼に手を出さないで

ハルミ

分かった？

ミヤコ

わかりました

～数か月後～

ハルミ

あんた、変な噂を聞いたんだけど

ミヤコ

変な噂って…なんでしょう？

ハルミ

あんたと例のイケメンくんが付き合ってるって噂よ

ハルミ

でもそんなはずないわよね？あんたみたいな女が彼と付き合えるわけがないわ

ハルミ

ねえ、なんで返信してこないの？

ハルミ

まさかとは思うけどあんた、ほんとに彼と付き合ってるの！？

ミヤコ

すみません…

ハルミ

はあ！？ふざけんじゃないわよ！

ハルミ

どうやって落としたのよ！あんなイケメン、芸能界にも中々いないわよ！

ミヤコ

その、彼からお付き合いを申し込まれまして…

ハルミ

向こうから！？

ハルミ

あんたなんか変な薬仕込んだんじゃないでしょうね

ハルミ

惚れ薬とか

ミヤコ

違います！私たちは普通に接してただけです

ハルミ

なんで報告がないのよ

ミヤコ

報告…とは？

ハルミ

私に報告する義務があるでしょう！付き合ってもいいですか？って！

ハルミ

私はまだ許可してないわよ！

ミヤコ

すみません…

ハルミ

他の皆は知ってるの？

ミヤコ

はい、恥ずかしながら…

ハルミ

よりによってなんであんたなんかと…

ミヤコ

すみません

ハルミ

まあいいわ

ハルミ

彼くらいのレベルになると、あんたなんかお遊びなのよ

ハルミ

本気で付き合ってくれてると思わない方がいいわよ

ミヤコ

はい…

ハルミ

あんたみたいなのが本命なわけないでしょ？

ハルミ

彼は他にも女がいるわ、絶対にね

ハルミ

男は今手元にある女より魅力的な女を見つけたら手を出さずにはいられない生き物なんだから

ハルミ

あんたなんか、すぐ蹴落としてやるから

ミヤコ

蹴落とすって、それはどういう意味でしょう…？

ハルミ

今に見てなさいよ！

～数週間後～

ハルミ

あんた、今日のニュースみた？

ミヤコ

何のニュースでしょう？

ハルミ

ほら、あのイケメン若手俳優Sが不倫してたって話

ミヤコ

あ、はい見ました

ミヤコ

芸能ニュースとかに疎いので、あまりよく見てなかったんですが

ハルミ

相手は誰だか知ってる？

ハルミ

自分より一回り年上の女優なんだって、しかも既婚者の

ハルミ

あの若手俳優も早いうちに結婚してたのに

ハルミ

結局奥さんよりいい女がいたらそっちにいっちゃうのよね

ハルミ

それに、皆年上の女を求めるのよ

ハルミ

働く男は母性を求めてるの

ハルミ

あんた今いくつ？

ミヤコ

28歳です

ハルミ

彼は？

ミヤコ

33歳です

ハルミ

5つも下なの？ちゃんと彼の事優しく包み込んであげられてるの？

ミヤコ

分かりませんが、できるだけ頑張っているつもりです…

ハルミ

そんなんでやっていけると思ってるの？

ハルミ

彼はあれだけイケメンなんだからあんたなんか捨ててもっといい女をいくらでも選べるのよ？

ミヤコ

すみません…

ハルミ

ま、彼ももうそろそろあんたに飽きてる頃だと思うわ

ハルミ

せいぜい最後のひとときを楽しむことね

～数週間後～

ミヤコ

あの、ハルミさん

ミヤコ

昨日頼まれた資料、明日提出させていただきますね

ハルミ

もうできたの？

ミヤコ

はい、家に持ち帰って作りました

ハルミ

あっそ

ミヤコ

あの、できれば次は誤って削除しないようお願いしたいんですが…

ハルミ

なに？あれわざとやったとでも言いたいわけ！？

ミヤコ

いえそんなことないです

ハルミ

そう言ってるようなものでしょ！

ハルミ

なにあんた、人の失敗は絶対に許さないタイプ？

ハルミ

誰だってうっかりミスの1つや2つあるでしょ！

ミヤコ

すみません…

ハルミ

どうせあんたまだ部長にも色目使ってるんでしょ？

ミヤコ

そんなことありません…

ハルミ

それにあんた、私が前にいた隣の部署の部長にも色目使ってたでしょ！

ハルミ

この前楽しそうに話してるのみたわよ！

ミヤコ

あれは、たまたま話しかけられただけで…

ミヤコ

それに、色目を使っているのは私じゃなくて…ハルミさんの方ですよね？

ハルミ

へ？

ミヤコ

私、ずっと怪しいなと思ってたんです

ミヤコ

特に問題もなく、何のトラブルもなかったのに急にハルミさんが異動してきたの

ハルミ

なによ…そんな事くらいたまにはあるでしょ

ミヤコ

でもハルミさん、うちの部署にきたはずなのによく隣の部署に行ってるじゃないですか

ミヤコ

もう用はないはずなのに

ハルミ

引継ぎとか色々あるのよ！

ミヤコ

もう異動してきて1年近く経つのに、ですか？

ハルミ

そ、そうよ！後任の子が物覚えが悪いから仕方なく行ってるの！

ミヤコ

ハッキリ言います

ミヤコ

ハルミさん、隣の部署の部長さんと不倫してますよね？

ハルミ

はあ！？あんた何バカな事言ってんの！？

ミヤコ

悪口は自己紹介だ、なんて言いますよね

ミヤコ

私に対して何度も何度も色目を使って～って仰ってたので

ミヤコ

なにかハルミさん自身が後ろめたい事があるんじゃないか

ミヤコ

それを隠すために少しナーバスになってるんじゃないか、と思ったんです

ミヤコ

そこで私は色々と調べてみました

ミヤコ

ハルミさん、私が入社する前に全く違う部署にいたんですね

ミヤコ

そこで、その部署にいた当時既婚者の先輩とハルミさんが

ミヤコ

不倫しているんじゃないかという噂が流れたことがあると聞きました

ミヤコ

誰かが調べたわけじゃなかったので、あくまで噂で終わった話だったようですが

ミヤコ

その先輩は何故か辞職

ミヤコ

ハルミさんは以前の部署に異動になった…と

ハルミ

あんた、どうやってそこまで…

ミヤコ

隣の部署の部長さんに聞いたら快く教えてくださいました

ミヤコ

そして、これも

～隣の部署の部長とハルミが手を組んでホテルに入る写真を送付する～

ハルミ

これは！これをどこで！？

ミヤコ

これは本当にたまたまなんですが

ミヤコ

私と彼がドライブ中、彼が一人で誰かを待っているようにしているハルミさんに気付いたんです

ミヤコ

こんなところで何してるんだろう？って見ていると

ミヤコ

ハルミさんが突然笑顔になって、誰かに駆け寄っていきました

ミヤコ

相手が隣の部署の部長だったので私たちは凄く驚きましたが

ハルミ

そんな…見られてたなんて…

ミヤコ

あの部長、既婚者の方ですよね？

ハルミ

お願い、この事は黙っていてほしいの

ハルミ

あの人とはもうあれっきり何もないの！本当よ！

ミヤコ

ハルミさん、申し訳ないんですがもう手遅れなんです

ハルミ

なんですって？

ミヤコ

私はこの写真を部長の奥さんに送りました

ハルミ

なんてことをしてくれたの！！

ミヤコ

するとなんて返ってきたと思いますか？

ハルミ

え…？

ミヤコ

知っています、とだけ返ってきたんです

ハルミ

知って、います？

ミヤコ

奥さんにはもう既にバレているみたいですよ

ミヤコ

もう最終段階だと仰ってました

ミヤコ

その前に、今までずっと嫌味を言われたり嫌がらせをされてきたので

ミヤコ

恨みを晴らしていいですかと伺ったら了承してくださいました

ハルミ

あんた、そこまで根回ししていたの…？

ミヤコ

私は何もしていませんよ

ミヤコ

全部ハルミさんがやったことじゃないですか

ミヤコ

私が何もしていなくてもハルミさんの浮気は既に奥さんにバレていましたし

ミヤコ

結果は同じだったんですから

ハルミ

私は…私はこれからどうすればいいの！？

ミヤコ

さあ？ご自身で考えたらいいんじゃないですか？

ミヤコ

裁判、頑張ってくださいね

ミヤコ

それでは

ハルミ

ちょっと待って！助けて！

ハルミ

私慰謝料なんて払えないのよ！

ハルミ

前の先輩の時も、実は相手の奥さんに不倫がバレてて

ハルミ

未だに慰謝料払い続けてるのよ！！

ハルミ

ねえ！助けて！！

～後日談～

ミヤコ

その後、人事が発表された

ミヤコ

隣の部署の部長とハルミさんは揃って辞職することになった

ミヤコ

噂によると、ハルミさんは部長の奥さんから裁判を起こされて

ミヤコ

慰謝料請求をされたらしい

ミヤコ

前の裁判での慰謝料に加えて今回の慰謝料で、もう地獄のような生活を送っているそうだ

ミヤコ

私は彼とその後結婚して一度育児休暇をもらい、その後仕事に復帰した

ミヤコ

今では私も部下や後輩を持つ身だけど、ハルミさんを反面教師にして

ミヤコ

あんな嫌な先輩にはならないようにしている

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE905

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE905

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧