感情の雨

この街は 五年に1度

雨が選んだ者の感情に合わせて 雨を降らせる

ずっと雨が降っている時期もあれば 全然降らない時期だってある

雨は降ってから選ばれた者の 心が無になれば止み始める

雨は私を選んだ

私が喜ぶと 甘く天然水として飲めるような雨が降る

私が悲しいと 通常の雨よりも塩が濃く 辛い雨

私が怒ると 雨は凄い勢いで降り注ぎ 雷が鳴る

私が楽しいと 暖かく優しく降る １つ雨が降り出さないのは 驚き

みんなの都合で感情を動かされたり 嫌なこともいっぱいある

心の底でとっても喜んだ

何を言い出すのかと思えば無心を やめようという優しい言葉だった

カランコロンｯ

私は美代と懐かしのカフェに入った

ここに来たのは高３以来 一緒に受験勉強に来た場所だった

雨の強さが止むように弱かった為 美代は楽しんでくれてる！と 嬉しそうだった

シェアなんて言葉久々に聞き とても嬉しくなった

パンケーキを口の中に入れた

チョコレートが少し苦くてそれを クリームが程よくカバーして溶ける。 それを囲うようにパンがしっとり していた

甘いのが苦手な人でも食べれるような 美味しさだった

ガトーショコラにホイップを付けて 口の中に入れた

チョコレートが濃厚で中から生チョコが 出てきたそのちょこがしっとりしていて 食べやすかった

手が止まらなくなるような 美味しさだった

ｶﾀｶﾀｶﾀｯ

ﾊﾞﾀﾝｯ

焦りながらも落ち着いて行動した

雨が降らなかった為 学校の運動場の真ん中に集合した

そこは

子供が泣き叫ぶ声

〇〇くん、どこにいるの！！

子供を探す親の声

ふたつの声が私を呼んだ

奏多は中学2年生で違う街に 引っ越した

久々に話せて嬉しかった

空から無数の雨が降り出した

暖かい雨が降り出した

街の人達はバケツやペットボトルに 大量の水を入れていた

地震で水道が使えないからだ

次第に雨はゆっくりと止みだした

みんなが水を補充している中

私の水はなかった

2人の水もないかと思えば ペットボトルを一つずつ持っていた

思い出した。

『雨を降らせる者は気持ち悪い』

『ころしてもいいんじゃね？』

そう、みんなの偏見の中で 生きていることを...

私は2人と出会えて嬉しかった だけなのに...利用されていた

その瞬間私は怒りに包まれた

本心では抑えようとしたけど

無理だった

ざぁっと降る雨 ｺﾞﾛｺﾞﾛｯとなる雷

ぽつぽつ、私は1人彷徨った

すると

ぐしゃｯ

嫌な音共に振り返った

美代は '' 雨殺し ''

私は死んだ

美代の 『 ごめんね 』　も

『雨を降らせる者が 殺されても良い理由』

知ることなく...