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勇者アレン

うーん……

勇者アレン

オリヴァー、今日も風邪だって

聖女フェリシア

あらら……

聖女フェリシア

素直に、魔法で治せば良いのにね

勇者アレン

そもそも、あのオリヴァーが風邪を引くっていうのも珍しいけど

勇者アレン

まさか、魔法で治すことをこんなにも固辞するなんて……

聖女フェリシア

身体に自信があるからこそ、なのかな?

聖女フェリシア

私には分からないや

勇者アレン

俺にも分からないよ!

聖女フェリシア

(……)

聖女フェリシア

(実際のところは、オリヴァーが死んだことを隠すために)

聖女フェリシア

(ステラをオリヴァーの部屋に籠らせて)

聖女フェリシア

(声真似をさせて、ごまかしているんだけどな)

聖女フェリシア

(……さすがに3日も経つし、そろそろ限界か?)

勇者アレン

……あ、そうだ

勇者アレン

今日はついに、俺の剣が出来上がるんだ!

聖女フェリシア

わぁ!

聖女フェリシア

魔王討伐の褒美にもらった、神聖鋼……で作った剣、だよね!

勇者アレン

うん!

勇者アレン

後で、受け取りに行ってくるね

聖女フェリシア

私も付いて行って、良い?

勇者アレン

ごめん、武器を迎えるときは一人で行きたいんだ

勇者アレン

これから戦いを共にする相棒を、厳かに迎える……って感じで

聖女フェリシア

(……そういえば、この身体の記憶にもそうあったな)

聖女フェリシア

ごめん、そうだったよね

聖女フェリシア

それじゃ、しっかり迎えてきてね!

勇者アレン

帰ってきたら、すぐに見せるから!

聖女フェリシア

自慢が長くなりそう!

勇者アレン

あはは♪

聖女フェリシア

うふふ♪

聖獣ステラ

ピピピッ♪

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……はぁ

聖女フェリシア

ひとりで街中をふらふらするのも、さすがに飽きるな

聖獣ステラ

吾輩もおるではないか……

聖獣ステラ

……というのは置いておいて

聖獣ステラ

既に5時間も、買い食いをしておるからな

聖女フェリシア

そもそもこの身体、あまり量を食べられないから

聖女フェリシア

コスパが良いと言えば良いのだが、食べる楽しみが少ない……

聖獣ステラ

吾輩がその分、食べているから安心するのだ

聖女フェリシア

働かずに食う飯は美味いか?

聖獣ステラ

……吾輩、それなりに働いてない?

聖女フェリシア

ああ、そうだな……

聖女フェリシア

そろそろ、声マネ芸人として生きていくのはどうだ?

聖獣ステラ

星天龍の吾輩に、何をさせるつもりなのだ……

聖獣ステラ

……

聖獣ステラ

それにしても、フェリシア様は人間界に馴染んでおるな

聖女フェリシア

……そうか?

聖女フェリシア

……まぁ、そうかもな

聖女フェリシア

結局のところ、魔族も人間も知的な生き物だからな

聖女フェリシア

魔族の世界が滅んだ今、人間の世界が過ごしやすい――

聖女フェリシア

……それは、正直なところかもな

聖獣ステラ

ふむ……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……うん?
あれはアレンではないか?

聖獣ステラ

おう、そのようだな

聖獣ステラ

腰には新しい剣を下げているようだが――

聖獣ステラ

……どこに向かっているのだ?

聖女フェリシア

……ふむ

聖女フェリシア

どれ、後を尾けてみるか

聖女フェリシア

――……

聖女フェリシア

……どこまで行くんだ?

聖女フェリシア

かなり歩いて、王都の外まで出てしまったが……

聖獣ステラ

ふむ……

聖獣ステラ

いつの間にか、夜になってしまって――

ドガアアアアンッ!!!!

聖獣ステラ

――ぐあぁッ!!?

聖獣ステラ

……

聖獣ステラ

……

聖女フェリシア

おい、ステラ!?

聖女フェリシア

今の攻撃……今の剣撃は――

勇者アレン

……やぁ

勇者アレン

こんなところまで、尾けてきてくれたんだね

聖女フェリシア

え……? アレン……?

聖女フェリシア

急に、どうして攻撃をするの……!?

勇者アレン

……

勇者アレン

……

勇者アレン

……そりゃ、俺の敵だからさ

聖女フェリシア

え? ステラが……?

勇者アレン

ああ。それに――

勇者アレン

お前もだよッ!!
このニセモノッ!!!!

ドガアアアアンッ!!!!

聖女フェリシア

――ッ!!?

聖女フェリシア

ど、どうしちゃったの!? アレン!!

勇者アレン

――……

勇者アレン

ああ……、美しい……

勇者アレン

美しいよ……、フェリシア……

聖女フェリシア

……?

聖女フェリシア

(……何だ?)

聖女フェリシア

(あの剣を見る目……。なんて恍惚とした表情だ……)

勇者アレン

……

勇者アレン

紹介しようか、ニセモノさん

勇者アレン

俺が、神聖鋼で作らせた聖剣――

勇者アレン

……

勇者アレン

……聖剣には、魂が宿るというのは知っているか?

聖女フェリシア

……ええ

聖女フェリシア

ただの武器ではないからこそ、奇跡の力が宿る――

勇者アレン

……そうだ

勇者アレン

きっとフェリシアは、俺を守ってくれようとしたんだろう

勇者アレン

……

勇者アレン

この聖剣には――

勇者アレン

フェリシアの魂が宿った!!

聖女フェリシア

……ッ!?

勇者アレン

そして教えてくれたよ

勇者アレン

お前がニセモノだ……ってね

聖女フェリシア

そんな……

聖女フェリシア

その剣が、嘘を言っているに決まってるわ!

勇者アレン

神聖鋼に宿る魂は、嘘をつけない

勇者アレン

……

勇者アレン

俺は、フェリシアを好きだったが――

勇者アレン

……彼女の心が、魂が好きだったんだ

勇者アレン

……

勇者アレン

この世界に、フェリシアは二人もいらない

勇者アレン

だから……お前には滅んでもらうッ!!

聖女フェリシア

――ちっ!

聖女フェリシア

だから神聖うんたらなものは嫌いなんだッ!!

ズガァアアアアアンッ!!!!

聖女フェリシア

くっ、何という威力だ!?

聖女フェリシア

ステラは……気絶中か、役立たずめ!!

聖女フェリシア

(――気絶を治すにしても、その一瞬を許さない攻撃)

聖女フェリシア

(反転魔法を使っても、隙は作れないだろうし――)

聖女フェリシア

(ならば、早々に殺してしまうのみ!)

聖女フェリシア

【パーフェクトヒール】!!

勇者アレン

――フェリシア、受け止めて!!

ピカァアアッ!!

聖女フェリシア

――我の魔法が、相殺された!?

勇者アレン

やはりッ!!

勇者アレン

やはり、反転された光魔法ッ!!

勇者アレン

お前は――魔王ルシェルティアだな!!?

勇者アレン

フェリシアの言う通りだッ!!!!

聖女フェリシア

くそっ!

聖女フェリシア

(我の反転した光魔法を、純然たる光魔法で相殺したのか!?)

勇者アレン

はあぁっ!!

聖女フェリシア

うおっ!?

聖女フェリシア

(地べたに倒されて――)

聖女フェリシア

(――剣先を、喉元に突きつけられた!?)

勇者アレン

……

勇者アレン

……

勇者アレン

……本当なら、フェリシアの身体は取り戻したい

勇者アレン

でも、魂を操作できる魔法なんて……

勇者アレン

――きっと、お前くらいしか使えないんだろう?

勇者アレン

……

勇者アレン

命は見逃してやる

勇者アレン

その身体から、出て行ってくれないか……?

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

ばぁーか。
そんなの、御免だね!

勇者アレン

――……

勇者アレン

俺は、迷わない

勇者アレン

……

勇者アレン

再びさらばだ、魔王ルシェルティア――

聖女フェリシア

――我を殺せば、お前とフェリシアの未来が開けるとでも?

勇者アレン

な、何ッ!?

聖女フェリシア

あははははッ!!

聖女フェリシア

反転魔法――【聖者堕転】ッ!!

ギイィイインッ!!!!

勇者アレン

――ッ!?

勇者アレン

……フェリシア!?
フェリシアッ!!?

勇者アレン

ど、どうしたの!!?

勇者アレン

剣が……剣が、苦しそうに震え出して――

勇者アレン

……

勇者アレン

お前ッ! フェリシアに何をした――ッ!?

聖女フェリシア

……聖なるものは、邪なるものへ

聖女フェリシア

聖なる魂は、邪なる魂へ……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

貴様は、フェリシアの魂が好きだと言ったな?

聖女フェリシア

魂自体が変質しても、貴様の愛は変わらぬのか?

勇者アレン

そんなの決まっている!!

勇者アレン

もちろん俺は、フェリシアのことを――

聖女フェリシア

……ふん

聖女フェリシア

隙だらけだよ、この馬鹿者が

聖女フェリシア

【パーフェクトヒール】!!

勇者アレン

――うがっ!?

勇者アレン

ぐ……ぐぐ……っ

勇者アレン

フェ……フェリシ……ア……

勇者アレン

……

勇者アレン

あ……あぁ……

勇者アレン

……

勇者アレン

……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……ふん

聖女フェリシア

貴様の愛したフェリシアは、もうこの世界にはいない

聖女フェリシア

残っているのは、この亡骸のみよ

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

――まぁ、最後の手向けだ

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

(チュッ)

聖女フェリシア

――……

聖女フェリシア

……さて

盗賊団の頭

はい!

盗賊団の頭

フェリシア様の復讐が遂げられたということで

盗賊団の頭

私も嬉しく思います!!

聖女フェリシア

うむ

聖女フェリシア

それで、頼んでいたことは終わったか?

盗賊団の頭

はい、もちろんです!

盗賊団の頭

大司祭を再び拉致して、大聖堂の暴走を止めることに成功しました!

盗賊団の頭

その後、魔法国家フェルザールとの戦争も回避できました!

盗賊団の頭

もちろん、功労者としてフェリシア様の名前を出しておきましたよ

聖女フェリシア

ああ、ご苦労

聖女フェリシア

仕事が出来るとは、こういうことを言うんだぞ

聖女フェリシア

分かったか、貴様ら!

盗賊B

ばっちりです!

盗賊C

承知しました!

盗賊D

激しく理解です!

聖獣ステラ

……

聖獣ステラ

フェリシア様、吾輩に向けるその視線は何……?

聖獣ステラ

……まぁ、それは置いておいて

聖獣ステラ

せっかく人間の世界で戦争が起きようとしていたのに

聖獣ステラ

わざわざ止めて、良かったのか?

聖女フェリシア

うむ

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

我が再び、魔族の世界を作ろうとしても

聖女フェリシア

きっと、また勇者が現れてしまうだろう?

盗賊団の頭

はい、そのような歴史が繰り返されていますからね

聖女フェリシア

ゆえに、我は魔族による世界の支配を止めようと思う

聖獣ステラ

ほう……?

聖獣ステラ

……すると、これからどうするつもりなのだ?

聖女フェリシア

それはもちろん――

聖女フェリシア

――我が、人間の世界を支配するのだ

聖女フェリシア

「魔族の王」として、ではなく

聖女フェリシア

「人間の聖女」として、な

聖獣ステラ

ほう!

盗賊団の頭

おお!

聖女フェリシア

そして、全ての人間どもを支配したとき……

聖女フェリシア

そのときは、全ての人間を魔族に捧げるとしよう

聖女フェリシア

恐らく、様々な障害が出てくるだろうが――

聖女フェリシア

貴様ら、これからも我に仕えていくのだぞ!!

聖獣ステラ

ふふふ、付き合ってやろうではないか!

盗賊団の頭

私もどこまでもご一緒します!

盗賊B

俺も!

盗賊C

俺も俺も!!

盗賊D

俺も俺も俺も!!!

聖女フェリシア

……ふふっ

聖女フェリシア

我のまわりも、少しずつ賑やかになってきたな

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

……

聖女フェリシア

――よし、それでは貴様ら

聖女フェリシア

まずは、この国を手に入れるぞ!!

聖獣ステラ

応ッ!!

――そして世界は

「聖女」を中心に回り始める――

【 THE END 】

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