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女性店員

女性店員

ありがとうございましたー!

軽く会釈をしてお店を出る

今日買ったのは友人の誕生日を祝うためのケーキだ。

オーソドックスなショートケーキの小さいものを購入し、彼女にプレゼントする。

メグミ

……。うん。我ながら友達想いだな

小さくそうつぶやくが、本心はそんなことない。

友達想いと思っている自分が好きなだけ

いや、きっとそれですらないだろう。

いわゆる義務的な関係

いてもいなくても変わらないけど、『人』として必要だからこの関係を崩したくない、それに過ぎない。

だって私は、人の幸せを祝うのが苦手だ。それ以上に人の幸せが憎く感じる瞬間がある。

それはきっと、私が『自身を幸せ』と感じないからだろう。

他者が喜ぶ姿を見ても私は『良かったね』で終わる。

その喜びに私は関与してないし、成しえたことがどれだけ大きくても、その規模感は私にはわからない。

多分私は世の中で言う『普通』から少し枠をはみ出た存在なのだろう。

個人的には普通だと思っているが、他人から見ればそれは普通を演じる狂人になるのだろう。

それが顕著に見られるものは何か?という問いに対して私が出す回答は

『他人に興味がない』という回答になる

他人を知ったところで所詮他人。自分の価値観を共有できる人だとしても必ずどこかでほころびが生じる。

そして、そのほころびから築き上げたものは音もなく崩れていく。

だから私は他人に興味を示さない……。いや、示せないんだと思う。

本当の自分を知られたとき、その瞬間を想像して幻滅されることを恐れて怖くなるんだと思う。

傷つくのがわかっていて他人に近寄るなんて愚かな行為なんだ。でも、自分は幸せを願いたい。

他人に興味が示せなくても……。そんな自分でも幸せになりたい。

そんな思いがきっと嫉妬に変わり幸せを祝うことができないのだろう

なんてわがままな人間だ私は……。

自分が傷つくのが怖くて他人に話しかけない。自分を語らないくせにいっちょ前に幸せそうな人間を一方的に恨んで……。

その拗らせた先が、他人に興味を示さないというところに行きついたのに

結局幸せな人間を妬み恨むなんて都合のいい話だ。

身近な幸せすら自らが塞いでるのに、それを『何か』のせいにしたくて言葉として吐き捨てる。

そんなことを何度も繰り返し思考し、自分に嫌気がさす

幸せを願えば願うほど、自己嫌悪に陥る。

他者を憎めば憎むほど自分の小ささを痛感する。

じゃあ私はどうすればいいの?

心を殺して生きていくの?

幸せを願わず、他者に目を向けず、ただ決まった日々を過ごし役割を果たすだけの人生を送るの?

それが私の生きる道になるの?

考えれば考えるほど胸が苦しい

どうすればこの悪循環を抜けられる?

変わるしかない……よね。

このマインドも捨てて新しい生き方を見つけないとだよね。

その方法もいまだ見つけれてないけど……。

アサミ

人の家の前でなーに辛気臭い顔してくれてんだ、よ!

メグミ

!?

メグミ

アサミ?

アサミ

よっす!

アサミ

他二人はまだ来てないよん

メグミ

珍しく私が一番乗りね

アサミ

そゆこと。とりあえず部屋はいるか?

メグミ

そうさせてもらおうかな

アサミ

んで?

メグミ

アサミ

辛気臭い顔してた理由は?

メグミ

メグミ

まぁ、簡単に言えば自己嫌悪かな

アサミ

へぇ?

メグミ

あんま『友達』の前で言うもんじゃないけどさ

メグミ

他人に興味を持てない自分が嫌でね

メグミ

人を知ろうとしないことが今後生きてくうえで邪魔になるかなって

メグミ

でも、昔からこの他人は他人って考えはあって

メグミ

今更治せんのかとも思うんだよ

メグミ

ここに向かう途中ふとそんなことを考えてね

アサミ

苦労してるねぇ?

アサミ

流石私らよりも先に社会に出た人間だ

アサミ

黒い部分にしっかり充てられてる

メグミ

……うるさい

アサミ

そんな迷える子羊に助言を与えよう

アサミ

考えるだけ無駄だ

アサミ

興味ないならそれでいい

アサミ

無理して人を好く理由はない

アサミ

これに尽きるだろ?

メグミ

そうだけど、付き合いとか……。

アサミ

あんたは変に真面目なのよ

アサミ

興味ないやつに合わせる理由なし!

アサミ

他人が幸せだろうがなんだろうがその形は人による

アサミ

例えば、私が腹いっぱいご飯を食べることが幸せだとして

アサミ

あんたは腹いっぱいにご飯食べることが幸せか?

メグミ

……別に

アサミ

だろぉ?

アサミ

逆にあんたが幸せと感じたものが私の幸せになるかと言われれば答えはNOだ

アサミ

そんな感じで『幸せ』の尺度は人によって異なる

アサミ

自分と他者を比べるだけ無駄なの

アサミ

比べる相手は他人じゃなくて過去の自分

アサミ

去年の自分より、先月の自分より、昨日の自分より、数分前の自分より

アサミ

今こうして呼吸している自分はそいつらよりも幸せか?

アサミ

そう考えるんだよ

アサミ

他人と比べたらそりゃ際限なく上はいるさ

アサミ

幸せな人間も興味を惹かれる人間もな?

アサミ

けど、そうやって周りとレースしてりゃ自分を見失う

アサミ

あの人になるにはあの人を知ることに始まる

アサミ

興味はない、けどあの人の能力、環境、幸せ

アサミ

それらを自分も同じように手にしたいなんて考えがそもそもお門違い

アサミ

だから、別に他人に興味示せなくてもいいんじゃない?

アサミ

他人よりも幸せになりたいとか考えなくていいんじゃない?

アサミ

さっきも言ったけど幸せの尺度は個々人が抱えてる

アサミ

あんたの幸せはあんたのもの

アサミ

比べるなんてそんなもったいないことしない

アサミ

相手見て妬み恨むのも時間の無駄

アサミ

わかった?

メグミ

……。

メグミ

えぇ、そうかもね。

その後チャイムが鳴りほかの友人も合流する

そして、そのまま家主の誕生日パーティーが開催された

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