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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
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第26話『虚ろな笑顔』
ガコン、と小さな金属音が響いた。
目の前でカプセルが転がり出てくる。
らんは無造作にそれを拾い上げ、指先で回した。
中の景品は、見覚えのないキャラクターのキーホルダーだ。
なつ
隣でなつがのぞき込む。
相変わらず、少しぶっきらぼうな声だ。
らん
らんは小さく笑い、ポケットにキーホルダーをしまった。
ゲーセンの中は、電子音と光に満ちていた。
太鼓のリズムゲームの音、クレーンゲームのメロディ、メダルが落ちる音。
外の世界のことを一瞬だけ忘れられそうな、そんな雑多な空間。
なつ
唐突に、なつが言った。
視線はゲーム機の方を向いたまま。
らん
らんは、口元だけで笑みを作った。
なつ
短い問い。
でも、その声色には、いつもよりわずかに柔らかさが混ざっていた。
らん
即答。
笑顔はそのまま、目の奥だけが沈んでいる。
なつは何か言いかけて、やめた。
代わりに、クレーンゲームの操作レバーに手をかける。
なつ
らん
らんが見上げると、そこには小さな桃色のうさぎのぬいぐるみ。
春を思わせる暖かな色合い。
なつ
らん
なつが真剣な顔でクレーンを動かす。
アームはぬいぐるみをぎゅっと掴み――持ち上げ、あと数センチのところで落とした。
なつ
らん
らんは肩を揺らして笑った。
でも、その笑いはやっぱり薄い膜のようで、本心までは透けてこない。
なつ
なつが小銭を投入する。
二回目、アームはゆっくりと降りていき、今度はぬいぐるみをしっかり掴んだ。
ふわりと持ち上げ、そのままゴトン、と景品口に落ちる。
なつ
なつが無造作に差し出す。
らん
らんは両手でそれを受け取り、撫でるように抱えた。
なつ
らん
らんは笑った――貼り付けたような、けれどどこか優しい笑みで。
しばらく、二人は無言でメダルゲームに興じた。
なつは時折、ちらりとらんの横顔を盗み見た。
笑ってはいる。
でも、その瞳はどこか遠くを見ているようで、手元のゲームに集中していない。
――また、あの夢を見たらどうしよう。
――また、あいつが出てきたら。
胸の奥に、冷たい影がじっと居座っている。
でも、ここで言えば、きっとなつはもっと心配する。
それだけは避けたかった。
らん
ゲーセンを出た時、らんがぽつりと言った。
なつ
なつは短く答える。
なつ
らん
夕焼けが、二人の影を長く伸ばしていく。
らんの笑顔はそのままだったが、沈みかけた陽の色に混ざって、どこか儚く見えた。
第26話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡270
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