そして君は冬に消えた

学校に電話してみた

遠方の友達だといい

「連絡が取れなくなったから 何か事故にでもあったのか」と

そんな生徒はいないと 言われたけれど

どの学科にも、どの学年にも そんな名前の生徒はいないと

昔、教えてくれた住所にも行ってみた

そこは今、建て壊し中だった

「この家に友達が住んでいると 教えてもらった」というと

ここに住んでいたのは 年寄りの夫婦だったと言う

去年亡くなり、その娘夫婦が 住んでいたが引っ越すと同時に 取り壊しを決めたらしい

ちょうど様子を見にきたらしく その娘さんに話を聞いた

そんな人は知らないと

他に何か情報はないかと探した

スマホの中に電話番号を見つけた

かけてみた

繋がらなかった

タイガが行きそうな場所にも行ってみた

好きだと言っていた場所にも

行ってみたいと言った場所にも

どこを探しても見つからなかった

タイガの事を全く知らなかった

思い出そうとしても何も思い出せない

思い出したものは全て嘘だった

真実が見つからなかった

タイガ、お前どこに行った？

もしかして

タイガの事、何も知らないんじゃないか

思い返してみれば

好きなもの、嫌いなもの

得意なこと、苦手なこと

年齢も、違うかもしれない

学校が違ったんだ あり得ない話でもない

誕生日も血液型も知らない

本当に、どこに行ったんだ

タイガ、どこにいるんだよ