景くんが目の前で 無言になって止まってから もう5分経つ。
どこか硬い笑顔で約束をされて、 好きだからこそ 信じなくてはいけないと わかっていても、 頭が追いつかない。
手を握ったままだ。 嬉しいとか通り越して、恐い。
離してしまえばもう 帰ってこないかもしれない。
この細い腕に どれだけの重荷を 背負っているんだろう。
何で何も 教えてくれないんだろう。
何で僕は 君の力になれないんだろう。
オリバー・エバンス
そっと抱き寄せる。
殴り飛ばされてもいい。
今はただ、抱き締めたい。
景くんは ビクッと体を震わせたが、 抵抗することも無く 僕の背にそっと手を回す。
恋人でも何でもないけれど、
お互いの心音が響いて 恥ずかしいけれど、
確かに繋がっている気がした。
あぁ、
同じことを考えていたなら。
景くんも僕のことを好きなら。
オリバーが俺のことを好きなら。
良いのに
と
願ってしまった。
オリバー・エバンス
長尾景
オリバー・エバンス
フフフとオリバーが笑う。 肩に息がかかって 少しくすぐったい。
長尾景
オリバー・エバンス
何処にも行かないで。 消えないで。
置いていかないで。 死なないで。
二度と会えないかもしれないと 肌で感じる。
嫌だよ。君が好きだよ。 大好きなんだ。また笑ってよ。
僕だけ歳をとるなんて悲しいよ。 2人でタメナンデスでしょ、 『まだ舞える』って言ってよ。
オジサンでも頑張るんじゃないの? 幾つになっても一緒に遊ぼうって、 言ってたじゃないか。
グリグリと頭を彼の肩に埋める。
長尾景
笑いながら、 景くんは 僕の髪をそっと撫ぜる。
長尾景
オリバー・エバンス
長尾景
オリバー・エバンス
だからね、死なないで。
最後の言葉を グッと飲み込み、 僕は景くんを離した。
彼が大丈夫なら僕は信じる。
人は皆いつか死ぬ。 例え不死の体でも、 朽ちていくのは避けられない。
必ずいつか死ぬのなら 少しそれが 早くなるだけだとしても
また会いに行けばいい。
一番は、死なないことだけど、 無理ならそれも仕方ない。
どちらにせよ、 信じることしか出来ない。
長尾景
オリバー・エバンス
景くんはフルフルと首を振る。
長尾景
オリバー・エバンス
長尾景
オリバーは俺の目を ジッと見つめ、 俺の名前を呼んだ。
そして
握っていた手を 徐に口元へ持っていき、
そっと口付けをした。
オリバー・エバンス
オリバー・エバンス
オリバー・エバンス
オリバー・エバンス
オリバー・エバンス
オリバー・エバンス
わかってる。わかってるよ。
優しい言葉をくれてありがとう。
大丈夫、必ず勝つから。
神の裁きを受けるのは、 何も俺だけじゃない。
だから、安心して。
俺が死んでも大丈夫。
お前が危険に 晒されることはないから。
なんて、言えねぇよな。 そういうことじゃないからな。
長尾景
あいしてる。
そう言って景くんは泣いた。 子供のように 泣きじゃくっていた。
死にたくない、 死にたくないよと 泣いた。
そしてごめん、 ごめんと泣いた。
僕は 景くんを抱き締めることしか 出来なかった。
謝らないで。 君は何一つ 悪いことなんてしてない。 力になれなくてごめん。
わかってあげられなくてごめん。
何も知らなくてごめん。
そっと頬を両手で包み、 おでこに口付ける。
目元の涙を舌で舐める。
長尾景
とまた泣くので、 どうしたらいいか 途方に暮れた。
嗚呼、神様、見ているのならば、 どうか彼を殺さないでください。 優しい、優しい男です。 優しすぎて心配になるほど、 本当に良い男です。 僕の好きな人です。 どうか殺さないで。 殺すのならばいっそ、 僕も殺してください。
嗚呼、神様、見ているのならば、 どうか俺を彼の記憶から 消してください。 優しい、優しい男です。 優しすぎて心配になるほど、 本当に良い男です。 俺の好きな人です。 どうか苦しめないで。 俺のせいで苦しむのなら、 いっそ 記憶を消し去ってください。
好きにならなければ 良かったなんて そんなことは決してないけれど
心が苦しい。
悲恋と言えば 聞こえはいいけれど 折角通じ合えたのに 離れるなんて
出来ない。出来ないよ。
離れ難いんだ。 温もりを知ってしまえば、もう。
オリバー・エバンス
と笑ったら
長尾景
と返ってきたので
思わず吹き出してしまう。
やっぱり気が合うねと。
もくもくの
もくもくの
叶
もくもくの
叶
もくもくの
もくもくの
叶
叶
叶
もくもくの
叶
もくもくの
叶
もくもくの
叶
叶
もくもくの
もくもくの
もくもくの
叶
もくもくの
かなかなは優しいと 思って甘えてました
次は多分 葛葉あたり来ます
(何の予告やねん)
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