「僕は優等生、優等生。僕、僕は。僕は」
弥生
朝の5時。アラームが鳴るまでにあと40分はあり、早くに起きてしまった。 自分は真面目でできる人間、そう信じ込みたい。と考え込んだ日には、たまにこんな夢を見る。苦しい目覚めだ。
弥生
パシャパシャ
シャゴシャゴ・・・
弥生
顔を洗い、朝起きて少し不機嫌そうな自分の顔を見てため息を着く。
弥生
静かな部屋にひたすら聞こえる鉛筆の音。目に付いたもの全てをデッサンし、それは写真と疑うほどリアルで惹かれるものだった。
サッサッサッ・・・
弥生
翼
弥生
昨日は3時まで絵を描いていたので睡眠時間は2時間。これでもいつもよりは寝れた方なのだ。そのため授業中眠くなるも、教科の勉強をしながら絵の勉強をした。
美大に受かりたい、画家になって、誰かのこころを動かすような絵を。そして、総長の目にも。
弥生
中学生の弥生
逃げる敵に向けて拳を振り、鈍い音が響くと同時に床にペチャッと血液の音。汚れた拳を見て舌打ちをした。
中学生の弥生
ジュン
中学生の弥生
弥生の横にいる総長らしい男。ガタイがよく弥生と身長差がある。 この男に弥生はベタ惚れしていたのだ。 今は族の中でもみんなに顔も知られて、この時間が生きがいだった。
「ちゃんとできるわよね?」
「ウーアー言わないで!!この式は?漢字は!?なんでできないの!」
中学生の弥生
頭がズキッと痛み、その辺を見るとちょうど逃げようとするシバキ残りを発見。弥生は力を込めて殴り、蹴った。
" ドカッ、ボカッ、ザッ・・ "
ああ
どれが
俺の音だ?
中学生の弥生
ジュン
総長は姿を消した。 族同士の戦いで負けたのだ。血にまみれた白い特攻服を纏って、愚かな不良少年は協会の真ん中で泣いた。
中学生の弥生
中学生の弥生
もう俺はダサくない。母さんに言われた通りの、勉強をしてなんでも出来るイイコになるんだ。 そうしたら、ジュンくんも戻ってきてくれるよな?
メガネをかけて、大量のピアスを外し制服を堅苦しいくらいにきちんと着る。 みんなから見た弥生は、優等生。 鉛筆で描いた後、油絵をキャンバスに自由に描く。
" サッサッ ピチャッ ペチャ "
ああ
これが
僕の音だ
授業中。
クロ
弥生
あ?と返すが、ニコッと笑い優等生モードに。
クロ
クロは弥生が不良の頃に出会った友達。 高一、同じクラスになれたが、気を許した相手にはポロッと不良発言が出てしまうかも。と少し控えめにしている。
弥生
クロ
クロがフッと笑う。
弥生
クロ
プリントに答えを書くクロをじとっと見る
弥生
クロ
弥生
クロ
クロがニコッと笑う。その笑みはけしていい意味ではないだろう。
そこ喋ってるけど大丈夫か? と先生が話しかける
弥生
弥生
クロ
弥生
素を出した弥生にクロは少し表情を明るくし、その方が好き、と言ってくれた。 弥生はその言葉が少しは心に響いたのか、ニッ!と笑って「考えとく」と言った。
これは高一の記憶だ。
弥生
弥生
何度も何度も描いては紙を丸めて投げる。とても綺麗な絵なのに、何もかも気に入らない。発狂寸前になりながら描いた。
弥生
時刻は4時半。2日も寝ていないのもあって気が狂いそうになっていた。
弥生
自画像という課題を出されてそれを描いている。 美大受験のために予備校に通っており、元からとても素敵な絵を描いていた弥生絵はどんどん上達していった。
弥生
弥生
不良A
不良2
これは同じ族にいた仲間だ。性格は総長や友達に比べると本当に悪い。 平気でポイ捨てするし、女使いも荒い。 こいつらの仲間もゾロゾロいる。
弥生
不良A
不良2
弥生
不良A
不良共がうるさく笑った。
弥生
「絶対に受かってやる。」
弥生
試験当日。大きなキャンバスにお題に沿った絵を描く。今日は最終日だ。
弥生
いい絵をかけていたのに、もう嫌になった。僕は誰?なんのために描いてるの?そのままの僕って何?僕がしてきた悪いことって??
キャンバスに豪快にバツを描いて走り去った。
合格者には合格通知が来るのだ。もう時間は過ぎている。
通知はこなかった。
弥生
不良A
不良2
ケラケラと笑って近づく。
不良2
弥生
不良A
弥生は2人を押して路地裏に連れていった。
今は冬。日が暮れるのが早く、スケッチしがいのある綺麗な夕焼けは、あっという間に暗い空になった。
ドカッ、ベチャ
弥生
とっくに息の音が聞こえてこない、冷たくなった不良数人を殴り蹴り続ける。そこにいる彼は、返り血まみれだった。
弥生
やっと正気を取り戻し、当たりをキョロキョロ見渡すと誰もいない。さすがは誰も近づかない裏路地だ。と思っている暇もなく逃げ出した。
弥生
ジュン
弥生
弥生
ジュン
ジュン
弥生
弥生
辺りに血が飛び散り、あっという間に体の大きな彼は倒れ、息をしなくなる。
弥生
弥生
血塗れになった、真っ赤な憧れの人は
どんな芸術作品よりも
美しい。
「総長!?」「ジュンさん!」
その後も様子を見に来てはびっくりしたり悲鳴をあげる仲間たちを、殴り蹴り、ころした。
バレないはずなんてなく、パトカーの音。
弥生
弥生
横から手が伸び連れてかれる。
警察
その後、指紋や監視カメラにより弥生がやったということがバレた。
指名手配され、数年その地区や他の県にポスターが貼られた。
「アレ…キミがやったん?やるやん。」
弥生
弥生
怪しい場所に連れて行かれ、パトカーの音など全く聞こえなくなる。 一人の男に手を引かれ、避難した。
嶺李
それは親友であるクロの兄、嶺李だった。逃げるのに夢中で気づかなかったが、190cmを超える長身の男がこちらを見てニマニマと怪しく胡散臭い笑みを浮かべている。
嶺李
嶺李
嶺李
嶺李
弥生
弥生
弥生
弥生
嶺李
プレゼントされた首輪に違和感を覚え、ふと下を向くと電流が走る。
弥生
嶺李
弥生
嶺李
弥生
❤︎
嶺李の後輩
弥生
2人でバーに来てカクテルを頼み、待っている間雑談をしていると一通のでんわが。
時間軸:弥生が組織に入って数年経ったある日のこと。
嶺李の後輩
嶺李の後輩
弥生
弥生
クロ
そこに居たのは笑顔病が悪化し生と死の狭間をさまよっているクロの姿。 ソファにぐったりと寝て、点滴が繋がれている。
嶺李の後輩
弥生
シロ
嶺李の後輩
ジョウは弥生の仕事名。万が一聞かれても名刺にもジョウと記してあるので本名がバレる心配もない。 そう、指名手配ポスターには本名が載っているから。
クロ!/クロちゃん!
一条弥生を探せ! 一条弥生を探し出せ。クロの病気を治すために。
弥生
苦しそうなクロのところに、弥生はゆっくりと歩き、そっと顔を近づける。
弥生
彼の唇に、弥生はそっとキスをした。
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