敵対関係の裏の顔【白青】

俺はこの学校の風紀委員長や

毎日挨拶運動を行い、 服装チェックを行っとる

大体の生徒が校則を しっかり守っとるんやけど…

そう、この有栖初兎は 毎日校則を破っとるんや

これには先生たちも困っとる

シャツは第二ボタンまで開け、 ネクタイもかなり緩い

ベルトにはチェーンをつけ、 髪には大きなヘアピンをつけとる

明らかなる校則違反や

追いかけていきたいんは 山々やけど、風紀委員として 挨拶運動をやらなあかん

委員長の俺が持ち場を 放棄することは許されん

内心ため息をつきながら、 挨拶運動を再開するんやった

キーンコーンカーンコーン

やっと午前の授業も終わり 昼休みとなった

目の前で空腹で死にかけとるんが 親友のないこ

高校からの付き合いやけど、 一番仲ええと言っても過言やない

かなりでかい弁当二つを食べとる

本人はさも当然と言った感じやが やばい量やと思う

成長期なのは間違いないが それでも多いと思う

じゃあ成長期は これぐらい食うんやったら、 俺はどうなるんやって話や

ないこの弁当の一つ分で十分や

むしろあんな量食ったら 午後がしんどくなる

あれがホンマに じゃれあいやったら それだけええやろう

これには風紀委員一同 手を焼いとるんや

実はないこはこの学校の 生徒会長なんや

俺が風紀委員長になったんは ないこから頼まれたから やったりする

ないこはぱっと見は 生徒会長っぽくないが 校則は守っとる

ピアスはつけとるものの シンプルやから校則の範囲内や

シャツは第一ボタン までしか開けてへんし、 ネクタイもちゃんと締めとる

まぁ休みの日は めっちゃチャラいけどなw

こいつの言う通り俺は ガリ勉っぽい見た目やと思う

シャツは第一ボタンまで締め、 ネクタイも緩みがないようにしとる

髪型も校則通りやし、 縁が四角い眼鏡を掛けとる

ないこは慌てて教室を出て行った

走らず小走りなのがないこらしい

そう思いながら次の授業の支度を始めた

放課後、部活に入ってへん俺は 学校近くの公園に来ていた

ないこは生徒会の 仕事で忙しいから 一緒に帰ることはほぼない

眼鏡を外し、シャツを 第二ボタンまで開ける

もちろんネクタイも緩める

仕上げに可愛いいヘアピンを 付ければ、完成や

自分の姿を鏡で見ながら 自画自賛する

これが俺の裏の姿や

学校では真面目な 風紀委員長を演じとるけど、 実際はその真逆や

放課後やし、同じ学校の奴らも この姿やと俺やと気づかへん

今まで一度も 気づかれたことはない

走ってきたのは学校では よく敵対しとる有栖

有栖…いやしょにだとは 中学からの付き合いや

そして俺たちはただの 友達やなくて恋人同士や

しょにだとこうして話せるだけで テンションが上がる

学校ではクールに振る舞っとるけど しょにだの前では甘えられる

ちょっとでも可愛いって 思って欲しくて努力しとる

俺が可愛くするんは しょにだのためだけや

他の奴らなんて眼中にない

だいぶ見た目とか話し方ちゃうし、 俺やって気づかれたら 驚かれるどころやないと思う

実際にやってみたら 面白そうやけど、 面倒くさいことになりそうや

やっぱり素直になるんは難しい

できるだけしょにだの前では 素直でいようと心掛けとるけど 不意やと無理や

どうしても恥ずかしさが勝ってまう

褒められ過ぎて顔が真っ赤や

恥ずかしさで爆発しそうや

なんだかんだ俺もチョロいな、 なんて思う

謝られたらついつい許してまう

まぁしょにだやからやけどな

ふと今日の昼にないこに言われて 聞こうと思っとったことを思い出した

答えづらそうにしとるしょにだ

これは密かに気になっとった疑問や

顔がボッと熱くなる

それだけ俺と一緒に居たいと 思ってくれとることに嬉しくなる

しょにだも恥ずかしそうにしとる

珍しく顔が真っ赤でかわええ

意地悪く笑いながら言う

いつまでもこうやって 揶揄いあったりできる 関係でありたい

そう心から思った──