ー2階廊下ー
…………
じゃぱぱ
えと
のあ
ヒロ
ヒロ
ゆあん
ゆあん
のあ
ゆあん
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
じゃぱぱ
るな
なおきり
ゆあん
えと
なおきり
るな
えと
なおきり
のあ
ゆあん
ゆあん
ここに集まっている面子の中には、同じ中学に通っていた仲間も居れば、
この間ヒロさんの家で知り合った人も居る。
彼らの優しさを疑っていた訳では無いけれど、 やはりどこか張り詰めていたものがあったのだろう。
ゆあん
…と同時に、先程えとさんが高らかに宣言した、 あの約束を思い出す。
『絶対絶対楽しくなるって、私が保証する!』
ゆあん
ゆあん
ゆあん
きらきらと輝く程の笑顔で言い切ったえとさんに、 中学の時とは随分変わったなぁなんて、
つい雛を見守る親鳥のような気持ちになってしまう。
しかし不幸な事に、厄介ごとはまだ二つ程残されているのだ。
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
明るみの元へ浮かび上がりつつある不安を悟られないように、 深呼吸をひとつ、してみる。
えと
えと
ヒロ
ゆあん
ー2年生教室前ー
じゃぱぱ
ヒロ
ヒロ
ゆあん
そう言った途端に、えとさんの表情がぱっと明るくなる。
えと
いぇーい、と嬉しそうにグータッチを求められる。
こんなノリで良いのかと苦笑いしながら応えると、 にこにこと微笑んでいたのあさんが気遣うように付け加えた。
のあ
ヒロ
ゆあん
ヒロ
ヒロ
ヒロ
ヒロ
ヒロ
ゆあん
ゆあん
ヒロ
ゆあん
ゆあん
ゆあん
じゃぱぱ
じゃぱぱ
うり
うり
ゆあん
コントの様なやり取りに、また笑いの渦が巻き起こる。
と、それに被せるようにして、 予鈴と思われるくぐもったチャイム音が廊下に響き渡った。
なおきり
るな
るな
なおきり
なおきり
るな
ゆあん
ゆあん
きっと、3年生や1年生の教室はここから少し遠いのだろう。
慌てて駆けて行ったなおきりさんとるなさんに軽くお礼の言葉を投げ返して 何となく俺も自分の教室へ目配せをする。
じゃぱぱ
ヒロ
えと
ゆあん
各々が自分の教室に戻って行く中、ふと頭の後ろ辺りに視線を感じて、 俺はゆっくりと後ろを振り向く。
すると、まさか振り向かれるとは思っていなかったのか、 大層気まずそうな顔をしたうりと目が合った。
うり
うり
機械に負けないぎこちなさで何かを言い淀む彼に、 なんだかむず痒い衝動が胸を駆け巡る。
その衝動の許すまま、俺は体の向きを変えて素早く駆け寄り、
少し乱暴な程の勢いでうりの肩にばしっと手を置いた。
うり
うり
相当混乱しているらしく、 意味の無い音を発しながら目を白黒させるうりを真正面から見つめて、
そっと口を開いた。
ゆあん
うり
ゆあん
ゆあん
ゆあん
うり
ゆあん
ゆあん
うり
諦めたように項垂れたまま、うりは頑なに俺と視線を合わそうとしない。
冷や汗と思わしき水滴が一粒、彼の頬を伝って落ちるのが、 至近距離から良く見えた。
ゆあん
ゆあん
ゆあん
その一言を聞いた瞬間、弾かれたようにうりが顔を上げる。
うり
ゆあん
ゆあん
なんであんな離れ方したんだ。
喉の奥に引っ掛かった本音が、中途半端に吐き出されたまま 宙ぶらりんになってしまう。
泣きたくなんか絶対無いのに、自ずと眉間に皺が寄って、 目頭が急に熱くなる。
…………
___あの頃、
どこに居ても息がしづらかった自分が、 唯一心の向くままに接することが出来た幼馴染であり、親友。
それが、“夜音うり”という存在だった。
…………
うり(小学生)
うり(小学生)
ゆあん(小学生)
そんな奴が、段々俺と目を合わさなくなって、 他の子供達とばかり連むようになって。
ゆあん(小学生)
ゆあん(小学生)
うり(小学生)
子供A
子供B
うり(小学生)
うり(小学生)
そして…
いつしか、あからさまに避けられるようになってからずっと、
ずっと、胸の奥で燻っていた、怒りに似た悲しみを。
ゆあん(小学生)
ゆあん(小学生)
ゆあん(小学生)
ゆあん(小学生)
ゆあん(小学生)
ゆあん(小学生)
それら全てをひっくるめて、
ゆあん
いつか再会する事があったなら、苛立ちと一緒に、 全部ぶちまけてやろうと思っていたのに。
ゆあん
ゆあん
『寂しかった』
…思わず漏れた訴えは、思ったよりもずっとか弱くて、 情けの無いものだった。
うり
うり
うり
うり
うり
ゆあん
ゆあん
うり
ゆあん
ゆあん
ゆあん
うり
うり
うり
うり
ゆあん
こんなに真剣な、それでいて苦しげなうりを見るのは初めてだった。
俺は一つ溜息を吐き、伏せていた瞼を持ち上げて、
今度こそ真っ直ぐに、泣きそうな顔をした親友と目を合わせた。
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
うり
ゆあん
ゆあん
ゆあん
うり
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
うり
うり
ゆあん
ゆあん
うり
ゆあん
ゆあん
ゆあん
そう呟いて、ふいと明後日の方向を向く。
暫し意図の読めない沈黙が揺蕩い、それから更に一拍程したところで、 うりがふっと微笑む気配がした。
うり
「埋め合わせさせてくれてありがとう」、と。
そんな言葉が省略されて、伝わった気がした。
けれど、それが言葉という形にされなかった事実に、 こいつはまだあの頃の繋がりを残してくれていたのだと、
そう思うと、色んな感情がごちゃ混ぜになって、また喉がきゅっと締まった。
うり
ゆあん
ゆあん
ゆあん
うり
うり
ゆあん
あの頃よりも幾らか不器用になってしまった仲直りの合図と共に、 二人同時に腕を斜めにして胸の前で構えた。
___チリン。
二つの腕をぶつけ合ったその刹那、 うりの手首に嵌ったブレスレットの飾りが軽やかな金属音を立てる。
その音が、離れ離れの空白に、
優しく終わりを告げたように、俺には思えた。
…to be continued…
コメント
4件
最高です!続き待ってます👍
続き楽しみです!!待ってます!!