片方の手にあるお盆の上にはお茶と軽食を乗せて
ウィーンと扉が開くとパソコンの前で何やら誰かと話す彼女がいる
ユウ
ふーん
ユウ
そんなこと言うんだったら融資止めちゃうよ〜?
ユウ
ヨルCEO?
ヨル
んなっ…!!
ヨル
そ…それは…勘弁してくれよ…
ユウ
はははっ!
ユウ
じゃあもうちょっと株と設備投資をなんとかしないとね
ヨル
ああ…
ナナ
(またやってる……)
画面の向こうはどうやら実の兄のヨルみたいだ
2人は兄妹であり、仕事仲間でもある
ユウ
とりあえず…
ユウ
ん?
ユウ
!
ナナ
?
ユウは私が来た事に気づくと画面と音声をオフにして私に微笑みかけた
ユウ
ありがとう
ユウ
お茶持ってきてくれたんだ?
ナナ
うん
ユウ
おいで
ナナ
っ…うん
少し大人になった彼女の笑顔は余裕を含んでいて、最近はその大人っぽさに胸が高鳴る日々
ヨル
な、おいっ!
ヨル
…はぁー…またか
ヨル
ちょっと休憩って事ね
机にお盆を置くとユウが私の腰を掴んで太ももに座らせた
ナナ
わっ…ちょ…っと…
ナナ
いいの…?お仕事…
ユウ
ん、こっちの方が優先
ギューッと後ろから抱きしめられ、答えるように背中をユウに預けた
ユウ
スゥーー…
ナナ
私は猫か
ユウ
猫吸い…ナナ吸い…
ナナ
やめなさい
ユウ
…へへへ…
ナナ
もう…
ちゅっと項に吸いつかれてゾクッとする
ナナ
ふ…ぁっ…!
ユウ
あらら可愛い声
ナナ
ば…っ…
ナナ
項はダメだって言ってるでしょ?!
ユウ
ごめんごめん
ナナ
ほらもう早く仕事…
立ち上がろうとするとギュッと片腕で抱き寄せられて動けなくなる
ナナ
こ…っの…
ナナ
馬鹿力…っ!
ユウ
…もう少しだけ…ね?
耳元で囁かれて力がスっと抜けてしまう
ナナ
っ……ん…
数分後
ユウ
お待たせ〜
画面と音声を戻してお兄様に手を振る
ヨル
ん、ああ
ヨル
……?あれ?
ヨル
ナナ寝てるのか?
ユウ
んー?うんっ
ユウ
疲れてるみたい
ヨル
へぇ
ヨル
大変そうだな
ユウ
うん!えへへ…
ナナ
……ばか…
小さく何か聞こえた気がしたけど、私は何も聞こえなかった振りをしてまた会議を続けた