それは突然
そこから"僕"の日常は崩れ始めた
kzh
俺魔界帰るわ
kne
は、?
僕は知ってる
魔界に帰ったら
僕の生きている時には帰って来れない
僕はコントローラーを置いて 葛葉の方を見て言う
kne
もっと、考え直して
kzh
そんな軽く魔界帰るとか
言ってる訳じゃないから
言ってる訳じゃないから
そんなのわかってる
わかってるのに
kne
理由は?
kzh
お前が何故か
kzh
ラグーザ家に生まれてきた
kne
へ 、 、
kzh
こんな事一度も無かった
kzh
魔界に人が共存してる
なんてありえないんだよ
なんてありえないんだよ
kzh
だから帰って
kzh
何とかする
ゲーム画面に向かって コントローラーを動かしながら
淡々と澄ました顔で話す
kne
帰らないとどうなるの
この質問を投げかけることは
自分が苦しくなると脳の隅っこでは
理解していた
すると少しして
小さく深呼吸して言う
kzh
お前が死ぬ
kne
そう、 、
この時
葛葉が居なくならないなら
僕は死んでもいいと思った
強く身構えた心もここで
ほぐれていくような気がした
kne
僕は死んでもいい
そう、葛葉に言った
ここで葛葉と別れて生きていっても
耐えられる気がしないからだ
kzh
いくら30までに
死にたいって言っても…
死にたいって言っても…
僕はすぐに言い返した
kne
一日でも多く葛葉と一緒に居たい
いつもは照れるのに
冷めたような
呆れたような
顔で
声色で言う
kzh
正気か?
kne
そうだよ
kzh
お前の方が1回考え直せ
葛葉は正しいことを言ってる
なのに黒いクレヨンで
書きなぐったぐしゃぐしゃな絵のような
気持ちは収まらない
kzh
あぁ、負けた
乱暴にコントローラーを置いて
表情1つ変えずに
優しい声で
kzh
大丈夫
kzh
また会える
【一話】
暗がりの扉