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15から受けることの出来る 特別な試験
勇者選抜試験
一週間本物の魔物が潜む森で 生き延びた後、そのまま続けて 生き残り同士で木刀を使用し戦う
最後まで残れたものが 勇者となれる
試験を乗り越えて、勇者になった者は 歴史上多くいるが 大抵は魔王討伐は疎か 遺跡攻略もまともにできていない
そんなこんなで最近は 魔王討伐も遺跡攻略も諦めようだとか 魔物による支配を簡単にみている人が 増えてしまい
勇者選抜試験を受ける人は かなり減ってしまった 受ける人は変態だと思われてしまう
そんな試験を、僕は今日受ける 24代目勇者が死んだからだ!!
手続きを済ませ、案内された道を辿る 僕以外の勇者志望が数十名いた
みんな真剣な表情だ 絶対に負けない
試験管
試験管
試験管
試験管
この試験は既存の勇者が亡くなった ことを確認され次第開催される
次いつあるか分からないこの機会を無駄にするつもりは一切ない。
魔物がいつどこから現れるか 分からない故に常時気を張らないといけない場所に一週間
食料などは持参、落としたりして なくした場合はかなり厳しい
この一週間が過ぎたとしてもすぐさま 人と勝負する必要がある なるべく魔物との戦闘は避けて 体力の温存が最善策だ
エルヒ
見るからに弱そうだ 貧弱で、魔物を前にしたら 腰を抜かすんじゃないか?
エルヒ
エルヒ
斬り合う、僕がそんな平凡で愚かな ミスをする人間に見えたのだろうか
正しい表現は、斬ってしまう だな 彼が乱暴に剣を振り回し 僕を斬ってしまうとこまでは 簡単に予想がついた
─数日後─
魔物との戦闘は最小限に 収めた
食料もまだある 今は恐らく5日程だろう これなら大丈夫だ
魔物かと思い振り返ると 勇者志望の人だった
片腕がちぎられている ありとあらゆる所から血を流して。 魔物にやられたんだろうが…
よく生きているものだ こんな状態じゃ夜明けまでには 死ぬだろう
エルヒ
初日に会った彼よりも確実に 体格が大きく、よく鍛えられている それにこの怪我で生きていれる時点で かなり頑丈だ
そこそこ強いであろう彼は 一体どんな魔物と出会ってしまったのか
なんて言いながら目から血を流し そのままポテンと死んでしまった
攻撃すると同時に感染症を引き起こす 厄介な魔物なのだろうか
何はともあれ、目から血を流して 魔物のように死にたくは無い
彼が来た方向から来る可能性があるな ここから動くとし──
僕の丁度頭に重い空気を感じ取った まずい、蹴りが来る 空気感でよくわかった コイツが彼が話していた魔物だ
しゃがんで、胴体を剣で斬りかかる
魔物
エルヒ
回避はできたが、斬れない なんだコイツ…硬い!!
次の攻撃が来る前に間合いをとる
逃げた方がいいに決まってる でもさっきの蹴りの速度を考慮するに コイツから逃げるのはかなり厳しい
最悪な魔物と対峙してしまった
魔物
真っ黒で硬い身体、目から血を流す 不気味で甲高い笑い声 素早い動き
腕をちぎるパワーもコイツにはある どうする…脚を斬るか?
いや、簡単には斬れない まずい…どう頑張っても 僕が勝つイメージが湧かない
魔物
魔物が突進してきた この攻撃をもろにくらったら…僕は 間違いなく死ぬ
エルヒ
ギリギリで剣でガード出来た でも硬くて剣が折れそうだッ…!
エルヒ
僕はしたい
誰もできないようなことを
エルヒ
魔物
硬いなら、もっと力を込めて 相手が速いなら、もっと速くなって
拙くても、とにかく斬り刻め
一心不乱に剣で斬り刻み そのまま眼球に、一突きをした
魔物
魔物は灰となり散っていく
終わった、開放感によるものか 疲れがどっと出て息が、つづか、な
エルヒ
深呼吸、深呼吸しろ
ここでねたら…あぶな…
エルヒ
わざわざ自分の衣服を枕にして 僕をそこに寝かせていた
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
エルヒ
魔物を殺して、殺して 犠牲者を少しでも減らすんだ
魔物に殺されるのと 木刀で気絶させられるの どっちがいいか
そんなの、答えは決まってる!
試験管
みんな死んだ
魔物は殺せた、でも 魔物にみんな殺されていた
間に合わなかった
試験管
試験管
どうでもいい
彼は言った、勇者になるなら 人助けなんて当たり前だと
僕は誰も助けれなかった 守れなかった
勇者になる権利なんて、僕には──
王様
王様
王様
エルヒ
王様
小汚い袋に500円とボロボロの剣
エルヒ
王様
王様
どこにいっても勇者勇者と… 僕はたまたま生き残れただけだ! 真の勇者は人を助けられる人だ! 僕は誰も助けてない!守ってない!
勇者になるべきは彼だった! なのに僕は!!! 助けられなかった!!
来た時には魔物に襲われていた!! 彼は腰を抜かしていた 次の瞬間、彼は食われてた
女性
エルヒ
女性
女性
女性
エルヒ
エルヒ
今更、人を助けたって ただの偽善者に過ぎない それでも…やり直せるのなら ここから、やり直したかった
祖母
エルヒ
祖母
エルヒ
夫の名前、だろうか… 認知症気味なのか?
祖母
祖母
エルヒ
祖母
エルヒ
エルヒ
お風呂の準備を終えて部屋に 戻ると、信じられない光景が 広がっていた
魔物
魔物
魔物
腕、脚、引きちぎっては 貪るように食い荒らす
あの一瞬で? 戸締りはしっかりしていたはずだ なんで
そうこう思考しているうちに 魔物の首はとっくに はねられていた
女性
女性
女性
エルヒ
女性
女性は涙を拭って そのまま去ってしまった
小汚い服に、ボロボロの剣 女性にお詫びとして渡した 全財産の500円
やはり僕は、勇者の器ではなかった