ランカ(私)
ランカ(私)
ランカ(私)
初めて、人に褒めてもらえて…励ましてもらえて…
…嬉しくて、笑顔になれた
今なら、生きててよかったって言える…
でも家では…
今日が私の誕生日ってことも、きっとあの人達は忘れてます…
お母さんも、お父さんも…
ドアを開けるのを躊躇ってしまうわ
天堂 立霧
お母さん
天堂 立霧
暗い声で手には包丁。いつも通りです
お母さん
天堂 立霧
お母さん
お母さん
天堂 立霧
お母さん
そう言ってお母さんはキッチンへ戻って行きました
今まで優しくしてくれたことなんて…
誕生日ですら、そんなこと無かったのに…
天堂 立霧
天堂 立霧
私が、チーズフォンデュが好きってこと、知ってた。誕生日も、覚えてたの…
そして私は、急いで私の部屋に行きました
その部屋で私は、大好きなアニメの絵を描いたり、その主題歌をピアノで弾く…という想像をしたり。
今日は、買っておいた新しい絵の具で絵を描きます
四年前、12歳のから、毎年誕生日のたびに色鉛筆ではなく絵の具の絵を描くと決めています。
設計は、もう決めて紙に書いてあります
描き始めて、気づけば6時、2時間も経っていました
色塗りも終わり、これで絵の具で塗ったアニメの絵は五枚目になりますが…
絵は得意だから上手く描けているのに、何か足りない感覚は今年も続いて…
天堂 立霧
ため息が出た。其れは憧れの意味で…
聞こえたため息に、そっとドアに耳を…
天堂 立霧
ドアの奥から微かに聞こえてくる小さな声
お母さん
毎日していることだが声がしたのは初めてだな
さあ、戻ろう…あとニンジンをカットしてチーズを溶かせば終わるし
あの人に一つ仕事を任せるとするか…
お母さん
天堂 立霧
誰にも愛されないことから、二次元しか愛せなかった。
だから、意思を持ってからずっと、アニメが好きでした。
お母さんの声で現実世界に引き戻されました…
夢なんて叶うはずも無かった
でもいいの、嬉しい。初めて祝ってもらえる誕生日が来たの…
16歳、高校一年生にして初めて。
お母さん
天堂 立霧
一階に降りました
天堂 立霧
お母さん
天堂 立霧
久しぶりの味だった。
昔お父さんが3日間の出張で、いつも通り私も付いて行ってホテルに泊まった時、一度だけ食べたあの味だ
お母さん
天堂 立霧
食べ終って…
天堂 立霧
お母さん
カチッ
そんな音が鳴って明かりが消えた
天堂 立霧
お父さん
天堂 立霧
お父さん
もちろんホールケーキなんて豪華なものじゃない
でも、ショートケーキもカップケーキも食べたことがない私はそれだけで嬉しかった
天堂 立霧
お父さん
天堂 立霧
お父さん
お母さん
天堂 立霧
お母さん
お母さん
お父さん
私は、お父さんが持っていた可愛い紙に包まれたすごく大きくて重い物を受け取りました
天堂 立霧
お父さん
お父さんはソファーに倒れ込みました
天堂 立霧
私は中身が気になって、早速ですが開けました。
天堂 立霧
天堂 立霧
お父さん
お父さん
お父さん
お父さん
天堂 立霧
天堂 立霧
私は、グランドピアノなどではなく、バンドのコンサートとかで使われる電子ピアノが欲しかったのです。
お母さん
お父さん
お父さん
天堂 立霧
私は部屋に戻り、その箱を開けました
それはすごく色々な機能が付いていてすごく使いやすそうでした。
天堂 立霧
天堂 立霧
天堂 立霧
今までの酷い扱いが嘘かのように、いいことばかりしてくれる
高1にもなれば人の嘘は見抜ける
だから分かる
これが、裏の無い優しさだってこと
私は今まで自分で書き写した楽譜たちをピアノの楽譜を置くところに置いてみた。
そして弾いてみる…
たくさん想像してきたから、多少は弾けました。
天堂 立霧
お父さん
天堂 立霧
お父さん
「ありがとう」それすら初めてなことに今さら気づいた。
明日になれば戻っちゃうのかな…
それだけが今は心配だった。
そうならないことを願った。そして、今日である内はあの二人と一緒に過ごした。
ランカ(私)
ランカ(私)
ランカ(私)
コメント
1件
立霧ちゃんが喜ぶ姿見てほっとしました。(どうか、このまま幸せに暮らしてほしいな…)