アルファントバース

MSのメンテナンスが終わり工具をしまった

ふんっと胸を張るとアンナさんは微笑んだ

当然入口の方から声が聞こえて視線を向けると男の子が自分の方に向かって走ってきた

ガシッと両手を掴まれて顔をグイッと近づけられた

同じ環境の仲間がいる事に嬉しさと驚きが隠せなかった

褒められて言葉に詰まっていると背後からスっと声が聞こえて背筋がゾクッとした

バッと手を離して振り返ると笑顔の彼女が立っていた

いけ好かない野郎

それが第一印象だった

だって私のケイトの手をあんな馴れ馴れしく触っているのよ？腹が立つに決まってるわ

ガシッと手首を掴んで収納庫から出た

軽く俺に威嚇してから出ていった

タブレットを操作するエマさんの足元で正座をしてまるで説教を受けているかのような体勢になってる

分からないポイントをチェックしてエマさんのタブレットに送信した

隣でタブレットを見ながら間違えた所を1つずつ丁寧に解説していく

タブレットを見て私をキラキラとした目で見上げる彼女

嬉しそうにニコニコする彼女にソワッとして頭に手を置いた

ふわっとした髪質、私とは全く違う

少し癖があるけど嫌いじゃない

つらつらと私の事を並べていくケイトの口を塞ごうと手を伸ばした

伸ばした手がケイトの言葉によって止まった

そんな事、初めて言われた

力が無い、何も無い、成績だけ、家柄だけ、容姿だけ、そう今までずっと言われていたから

「強い」なんて、初めて

私の手を取って手のひらを揉み込むように触り始めた

私とは違うゴツゴツとした手、操縦レバーを沢山握って出来たマメは潰れて固くなった感触

そうだ、地球はまだいわゆる派閥争いなんてものがあるんだ

資金は全て宇宙が吸い上げてるから地球はまともな教育を受けられないし、食料も、職も…

椅子から降りてギュッとケイトの頭を包み込んだ

私達の…私の父親…が彼女達の居場所を…

彼女の頭を離して顔を見る

曇りのない、若緑の瞳が私を見つめる

報告を述べているのはこの学園の生徒会副会長

パッと画面が暗くなる