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トントントン
静かな廊下に私の足音が響く
いつもと同様に父を起こす
私の自慢の父は絵が上手
あとから知ったことだが
父は色々な賞を取っていたらしい
そんな父の絵を見てから起こす
これが一日の始まりだった
お気に入りは蓮の絵
油絵なのに透き通ったような水
同じようでそれぞれ個性のある花と葉
湖と合う風景
私の一番好きな絵
じっくり見てから
父を起こした
父は中々起きない
体を左右に揺さぶるべく
横腹を触る
氷のように冷たい
私は中々頭のいいほうだから気付いた
「死んでる」
しばらく固まっていた
異変を感じたのか母が来る
母
「蓮」
私の名前だ
母と父も私と同じ
「蓮」の絵が好きだったらしい
蓮
声が出ない
母
母が父に触れる
母
そこからは覚えていない
ただ泣く母と
焦っている救急隊の人
気が付くと病院に居た
父の救急車に一緒に乗ったのだろう
隣には啜り泣く母
やっと頭が追いついた
変な冷や汗が私の額を巡る
医者
医者
母
なんで大丈夫なの?
こいつが父を死なせたの?
こいつじゃなければ父は死ななかったの?
じゃあこいつが悪いじゃん
なんで母はこのヤブ医者を叱らないの?
母が優しすぎるから?
え?
私って
人の心ないじゃん
母は家を出て行って男と遊んでいる
母は顔がいいからお金をいっぱい貰ったらしい
月一でお金が振り込まれている
私は頭がいいからお金の使い方とか全然わかる
私は自由?
待ち望んでいた生活?
あれ?
今の私は
孤独なの?
そんな思考を抱いたのも父が亡くなって、
母がいなくなってからだ
そう全てが崩れ始めたのはこの日から
もしかして父が死んだのは私のせい?
私が救急車を呼んで
母を呼んでたら
父は死ななかったし
今も幸せだったの?
あ、
私は今幸せじゃないんだ
自分で自分の幸せを奪ったのか
じゃあ自業自得じゃん
…?
幸せって何?
これは幸せが分からない主人公と前世で出会った「想いを伝えられなかった人探し」をしている男の子のお話です
誤字脱字注意
ストーリーを変更するかもしれません
変更する際は何話かをお知らせします
ストーリーが思いつかずに投稿頻度が遅れるかもしれません
1話.蓮の過去でした