紫
…じゃあッ
赫
思っても仕方ないが
赫
らんは自分が生まれたことで
全てを壊した。
そう思うしかなかった。
全てを壊した。
そう思うしかなかった。
赫
実際…、らんに悪いことは
何もなかった。
何もなかった。
赫
母親はらんが産まれた瞬間、
突然の出血で亡くなったんだ。
突然の出血で亡くなったんだ。
赫
でもそれは、看護師の過ちで。
赫
らんが悪いことはない
赫
でもらんは責めこんだ。
赫
…結果、死んでも生きられる、
赫
誰かの幸せを作ることを目指した
赫
…バカな話だろ?
紫
…ッ俺の親はその話を知らないのか?
赫
フルフルッ
赫
“知っていた”
瑞
ぇ?
赫
移植された時に、不幸な子だと。
赫
酷く嫌な話をした。
赫
報われなかった、哀れな子だと。
紫
はッ?
翠
なにそれ…
紫
らんはッ
赫
でも実際、言ってることは
間違いではない。
間違いではない。
赫
だから…親はお前が移植された
命で生きてることを言わなかった。
命で生きてることを言わなかった。
赫
そんな哀れな命で生きてるなんて
思ってほしくなかったから。
思ってほしくなかったから。
赫
…でも実際はッ
紫
…?
赫
これはらんから聞いた話だ
赫
…お前の親は…いるまの中に
らんがいることを、
らんがいることを、
赫
そんな不幸な人生を追った心臓、
赫
親はいるまがそれを知ってしまえば
呪われるとか不幸になるとか、
呪われるとか不幸になるとか、
赫
そんなことばかり言った。
赫
…挙句、いるまは不幸な子だと
言い始めた。
言い始めた。
紫
は?
赫
…怖がった。
赫
気持ち悪がった。
赫
でもそれをいるまには
見せなかった
見せなかった
赫
屑な話だな。
紫
…なんでそれらんから…?
赫
お前の心臓だ。
赫
ずっと見てたんだろう…
瑞
…じゃあ…
赫
らんが消えた原因は
自分がいても何も得れないことと
自分がいても何も得れないことと
赫
自分がいることで不幸に
してしまうという恐怖かもな。
してしまうという恐怖かもな。
黄
…かもって…
赫
そういうものだろう。
赫
本当に死んだ人間の意思なんて
わかんねぇし。
わかんねぇし。
瑞
そっか…ッ
翠
……本当に、何もしてあげること
が出来なかったのかな?
が出来なかったのかな?
黄
うぇ?
翠
せめてさ、何か楽しさとか
赫
どうだろうな。
紫
…。
紫
…ぁれ…ッ?
桃
ぃッ“
母¿
黙ってよ。
母¿
あんたのせいで。
母¿
私はあんたのせいで
生きられなかった
生きられなかった
桃
ごめッなさ…ッ“”
母¿
謝っても求められないのよッ?
桃
ッ“”
紫
やめッ!!
殴り続ける手
写真で見たことがある。
保育士の穏やかな人。
らんの母親だ。
紫
…ぁれ?
紫
…幸せになるはずって…
母¿
あんたが産まれてきてッ
母¿
嬉しくなんてなかったッ!!
母¿
私もあの人も仕事で忙しくてッ
母¿
あんたが邪魔になるッ
母¿
大好きな子供達に囲まれてる
職場から離れてッ
職場から離れてッ
桃
ぅ“ッゲホッ
母¿
幸せになんて
あんたはなれないのよ
あんたはなれないのよ
母¿
望まないで
母¿
“不幸な子ッ”
紫
ッ…
紫
穏やかさなんてねぇじゃん…
らんは幸せになんて
紫
なれなかったんだ?
紫
…ッッなにそれ…
桃
…ッゲホッ
桃
ぉか…ッさ…“ゲホッ
母¿
そんなこと呼ばないでッ!!
桃
…ぉれ…ッッゲホッ
桃
…ぉ…ッか…さ“のとこッゲホッ
桃
で…ッうまれて…ッゲホッ
桃
それ…だけ…ッでしあわ…せ“ゲホッ
桃
なぐ…ッられる…ッことにッ“ゲホッ
桃
なれてる…ッゲホッ
桃
だから…ッど、んな…ッゲホッ
桃
かたち…でも…ッいいからッ!ゲホッ
桃
…おれ…ッのこと…ッゲホッ
桃
こど…もって…むすこだってゲホッ
桃
おもって…ッゲホッ
母¿
ッ……ポロポロッ
桃
それ…だけで…ッだいじょ…ぶ、
桃
しあわ、せだから…ッゲホッゲホッ
母¿
ばかだね…ッ?ポロポロッ
母¿
わたしは子供が好きなの…ッ
母¿
なんで…ッ?
紫
…あぁ…ッ
紫
…らんはすごいや。
紫
…強いよ。
紫
…幸せをそんな形でもいいと
言えるのか…。
言えるのか…。
母¿
あんたことなんて…ッ
母¿
…子供なんて…ッ
母¿
…ッッ…思っていたかった…よ
母¿
そんな生活をしていたかったッ
桃
…ッニコッ
桃
ぃ…こ?
桃
おかぁさん…
桃
あっちに。
母¿
えぇ。
果てしなく暗い街に歩む2人
紫
…幸せになってください。
そう思うしかなかった。
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