魔法の世界に響く六重奏

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ざわざわ

ざわざわ

浮いている球体がたくさん現れた

全部に番号が振られていて、そして一つ一つから膨大な魔力が溢れ出ていた

なつくんはこういうの得意だけど…

周りの生徒が呼ばれては、二、三回魔法を当てるだけで的を壊していった

やっぱり、上流階級とか、中央出身者はすごく強い

大人の、魔法学校教師のかけた防御魔法を無効化して攻撃してるんだもん…

世には基本魔法、家伝魔法、固有魔法の三種類の魔法があって、 火、水、風、土　の四つが基本魔法だ

良い家の出の人たちには代々伝わる家伝魔法があり 闇、光、植物　などさまざまなものになる

そして、固有魔法が個人個人で有するもの

今回のテストでは、自分の家がいかに素晴らしいかを見せるいい機会にもなるから、みんな家伝魔法ばっかり使っている

なつくんが前に出ると、またみんなざわざわしだした

一箇所だけ少し孤立している三人組の会話が聞こえた

見ると、自分でも知っているような位の高い貴族様だった

ﾁﾘｯ…

火が囲むように円を描いたと思ったら、竜の形になって的に向かっていった

そして…

ﾄﾞｶﾞｧｧｧｧｧｱﾝ…

的は一発で壊れた

！！！！？？？？

一人の貴族がそう言ったら、周りの人間の目が怖くなった

その視線の先にはもちろんなつくんがいて

いつもならここで怒るだろうなつくんが、怒りを抑えて周りの人を見ていた

村だったら全員同じ身分だけど ここだと、こさめたちが一番身分が低いから

いつの間にか後ろに立っていた人に肩を強く掴まれた

なつくんの方を見たら、彼も胸ぐらを掴まれているところだった

離してもらったら、なんかもう一人高貴なオーラを漂わせている人がいた

ーーーっ…！？

そこから自己紹介をして、敬語を取れと迫られ（無理です）

しばらくしたら、先生が戻ってきた

スタスタと去っていく彼の後ろ姿を目で追った

周りは変わらずざわざわしていたけど、彼の周りにはピンと張った糸のような緊張感があった

水でできた膜が彼と的の間に三つ現れた 全部角度が異なっていて、水面はほとんど揺れていない

そして、完全にその揺れが止まった瞬間

的が地面に落ちた