それから僕は
何度も何度も 【致死量の愛】 を調べた
君
甘えた声が テレビ前から聞こえる
僕
ネットの画面を見ながら 返事をした
致死量の愛…直し方……?
偶然出てきた文に 釘付けになる
君
不満気な声は 変わらなくて
なんだか可哀想になるので 半径0センチまで 近づきたくなったけど
やめた。
僕
ひらひらと手を振って 答えた
その日の夜
僕は夢を見た
君が甘えてきて 抱きしめてくる夢。
何度も唇を重ね 二人で瞼を降ろした
その愛の量はまさに
致死量のようで……
早朝
目を覚ますと 不思議な感覚が僕を襲う
表現しにくいような 不思議な感覚。
そして、体を上げると 見知らぬ女性がいた
君(?)
突然、僕の名前を呼んだ
誰やねん!?
僕
僕
僕
関西弁が出ないよう しっかりと意識を持つ
実家ぶりの関西弁、 久しぶりやな…
なんて呑気な事を思っている 間にも、事は進む
君(?)
君(?)
縋るように言葉を出す人
その瞳は泣きそうで
締め付けられるように 胸が苦しくなった
僕
目の前の人は、 僕を愛しているようで
でも、僕はこの人の 記憶がなくて
もどかしい気持ちに 嫌気が差した
君(?)
君(?)
畳み掛けるように 言葉を連ねる人
美咲……
僕
聞いたことあるような ないような
曖昧な記憶に 腹が立つ
ここから
彼女の前から
居なくなった方が良いんじゃないかと思うほどに
君(?)
その言葉と同時に
薄っすらと何かの記憶が 反芻する
致死量の愛
それは、とても切ない愛
致死量以上の愛を受けると
その人は一生愛せなくなる
一つだけ
聞きたいことがあった
愛した人がこの人かも しれないと思う前に
僕
君(?)
僕
そう聞くと彼女は 絶句したように黙った
数秒の沈黙が流れる
その間、彼女は 何かと格闘するような
超えられない壁を 超えるような
葛藤している表情を していた
君(?)
ふわっ、と ベールのような笑みを浮かべて 彼女が言った
清々しいほどに 明るい光が差したような 笑みを浮かべて
僕
その笑みを見て 俯いてしまった
普通何も無かったらあれほど 切ない笑い方はしないよな…
彼女に無理をさせて しまった事が情けなくて
彼女にできる償いを 考えてしまう
彼女を僕が覚えてないのなら
それなら
僕
僕
先程の情けなさなんて 忘れてしまったかのように
平然と荷物を片づけた
なんとなく、切なさが 襲ってきて
目頭が熱くなった
おかしいな……
彼女の事、何も知らない はずなのに
どうしてこんなにも……
虚しい………?
そんな気持ちを押し殺すように
もう、何も思い出さぬように
君に背を向けて
僕
そっと呟いた
少し声が震えたのは 気のせいだ
ガチャッ
閉ざした玄関が虚しさの 余韻を残すように鳴る
聞こえないふりをして 歩き出した
これからどこに行くんだろう
苦しいほどの喪失感
憂いに溺れ視界が滲む
僕
僕
僕
僕
僕
頬を伝って 滴り落ちる雫は
大粒の雨のようで
彼女へのこれまでの 愛を表しているようだった
愛していたのかは 知らないけれど
たった1つだけ
哀してるよ。
完
コメント
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お疲れ様……((6時間前って、どんだけ頑張ってるの…、
頑張ってた……友達が((勉強はしました
いつでも応援してるよ((イケボ