ヒヨリ
お姉ちゃん、久しぶり~
ヒヨリ
いきなり連絡しちゃってごめんね~♪
コハル
え…?ヒヨリ…
コハル
3年ぶりね、ほんといきなりの連絡ね
コハル
なんか用?
ヒヨリ
もぉ~、久しぶりに連絡してあげたのに、そっけないなあ~
ヒヨリ
全然連絡してこないから、寂しかったんだよ
コハル
あんた、どの面下げて言ってんの?
ヒヨリ
何のコトかなぁ~?
ヒヨリ
なんか私、お姉ちゃんの気に障るコトしちゃったかなあ~?
コハル
過去に自分がしでかした悪行の自覚もないなんてお気楽ですね
ヒヨリ
もぉ!ネチネチした言い方やめてよ~
ヒヨリ
ほんとに身に覚えがないんだから
コハル
他人の彼氏を寝取って略奪したことまで忘れるなんて、便利な頭ですね
ヒヨリ
あぁ~そんなこと~?
ヒヨリ
そんなの遠い昔の甘い思い出でしょw
コハル
あんたのその腐りきった性格、相変わらずだね
コハル
昔から欲しいもの何でも与えてもらえる
コハル
アンタを甘やかしてたお父さんとお母さんの教育が響いたみたいね
ヒヨリ
そんなの仕方ないでしょ!私は一家のアイドルなんだから
ヒヨリ
お姉ちゃんとは違って、欲しいものは何でも買ってもらえたの
ヒヨリ
でも責めてもムダ!もうお父さんもお母さんもこの世に居ないんだからw
コハル
そうね、お父さんとお母さんの死に目に合ってないアンタは無駄なのかも
コハル
通夜や葬儀の時も全く顔を出さず、どこで何をしてるのやらと思うと…
コハル
私の彼氏と浮気旅行を楽しんでいるなんて…この親不孝者!
ヒヨリ
あっ!ひどいよお姉ちゃん!
ヒヨリ
私だって悲しかったけど、イケメン高学歴の彼を手放したくなかったから!
コハル
何がお姉ちゃんよ!…あの日から、あんたのこと一度も妹だと思ったことはない
コハル
両親が死んで、たった1人の家族に裏切られた、私の気持ちが分かる⁉
ヒヨリ
そんなに怒ってると知らなかったんだから、ゆる~してよ~
ヒヨリ
もうあの彼とは別れたよ!彼の両親が私と結婚することを許さなかったから
コハル
そりゃそうでしょ!あの彼の両親とも仲が良かったんだから
コハル
彼と別れた事情を彼のご両親に丁寧に説明させていただきました
ヒヨリ
お姉ちゃん、ひど~い
ヒヨリ
もうちょっとでいいところだったのに~
コハル
じゃあ、もういいでしょ、用はないんだから!
ヒヨリ
待ってよ!お姉ちゃんにどうしても聞いておきたいことがあるんだ
コハル
なによ?
ヒヨリ
お姉ちゃん、婚約中の彼氏がいるんだって?
コハル
アンタには関係ないでしょ?
ヒヨリ
もったいぶらないでよ~その彼って外資系の金融マンなんでしょ~?
ヒヨリ
イケメンで年収5000万の彼氏を、なんで私に紹介してくれないの~?
コハル
え?
コハル
アンタどこで、そんなこと聞いたの!?
ヒヨリ
イケメンで高収入の男と分かった時の、私の観察力はすごいのよ!
ヒヨリ
お姉ちゃんの彼氏はイケメンだったから~話しかけちゃった♪
ヒヨリ
そうしたら名前と外資金融マンの仕事だと分かったんだよ!
コハル
ハルヒコに話しかけたの!?
ヒヨリ
うん!コハルの美人の妹です♪って自己紹介もしといたよ
ヒヨリ
やっぱりハルヒコさん、爽やかなイケメンだったなあ
ヒヨリ
いかにも高学歴で、いかにも高収入の金融マンって感じ♪
コハル
アンタって、ほんと男に抜かりがないわねえ
ヒヨリ
何言ってんの!?そんなの女として当たり前じゃない!
ヒヨリ
イケメンで高収入の男と結婚して玉の輿に乗る、女なら誰しも望むことよ
ヒヨリ
私は高収入のハルヒコさんと結婚して、タワマン生活を手に入れるのよ!
コハル
ほんと、昔から図々しい性格は変わらないわね
コハル
私の彼氏を略奪した時も、同じことを言ってたのを覚えてるわ
ヒヨリ
さすが、お姉ちゃん!勘が鋭いね!
コハル
アンタが急に連絡してきて、何を考えてんのかお見通しだったわ
ヒヨリ
ふーん
ヒヨリ
お姉ちゃんの前の彼氏を寝取った時は、とっても勘が鈍かったのにね~
コハル
だから何なの?
コハル
私を裏切ったあの日から、妹だとは微塵も思ってないから
コハル
もう連絡してこないで
ヒヨリ
そんなこと言わないでよ~
ヒヨリ
お姉ちゃんの大事な彼氏いただいちゃうかもしれないよw
コハル
ふざけないで!もうやり取りしないからね!
ヒヨリ
ちょっと〜!
~1週間後~
ヒヨリ
ご報告!
ヒヨリ
またまた!お姉ちゃんの大事なハルヒコさん、いただいちゃいましたぁ~
コハル
はぁ?
ヒヨリ
やっぱりハイスペック金融マンは、私の条件に全て見合ってるわ!
ヒヨリ
心も体も繋がって、条件はクリアできたんだから、これで私も玉の輿よ!
コハル
アンタの強情さには心底呆れるわ…
ヒヨリ
なに~、もしかして妬いてんの~?
ヒヨリ
仕方ないでしょ?ハルヒコさんはお姉ちゃんより可愛い妹を選んだんだから
ヒヨリ
もう婚約もしたんだよ!来週には婚姻届も出す予定なの
コハル
あんたは何もわかってないね…あいつのこと
ヒヨリ
結婚するのにおめでとうの一言も言えないなんて非常識だね
ヒヨリ
だからハルヒコさんに捨てられちゃうんだよ
ヒヨリ
お姉ちゃんなんかよりハルヒコさんの一番の理解者はこのワ・タ・シ♪
コハル
あとさ~あんたに大事ことを伝えとこうと思ったんだけど
ヒヨリ
何よもう!人生で一番幸せな時なんだから、重い話はまた今度にしてよね!
ヒヨリ
あ!そうそう
ヒヨリ
私、今月いっぱいで今の仕事辞めて専業主婦になるんだよね~
コハル
はあぁ!?
ヒヨリ
だってもう働かなくたって、年収5000万のハルヒコさんがいるんだもの!
ヒヨリ
これで私も外資金融マンの妻になり、何不自由のない理想の生活が始まるんだから!
コハル
もう呆れてものも言えない…
コハル
まあいいわ
コハル
いずれ後悔することになると思うけど、今のあなたには響かないでしょうから
ヒヨリ
幸せ絶頂の時に、お説教なんかしないでよね!
ヒヨリ
お姉ちゃんはせいぜい、男に縁のない、おひとりさま生活楽しんでw
コハル
いちいちうるさいなあ…
コハル
ヒヨリ、これだけは伝えておく
コハル
お父さんとお母さんが残してくれた実家、私が住んでいるんだけど
コハル
実家を売却して、私も遠くに引っ越す予定だから
ヒヨリ
まだあんなボロ家に住んでるの~
ヒヨリ
好きにすれば~
ヒヨリ
私はハルヒコさんとタワマンの最上階に住むんだから!
コハル
分かった、私がすべて手続きするね
ヒヨリ
あんなボロ家、10万円にもならないでしょうね
ヒヨリ
そんなの、心も財布も貧しいお姉ちゃんにくれてやるわ♪
~1か月後~
ヒヨリ
ちょっとどういうこと!?
ヒヨリ
あの男、働きもせず毎日ずっと家にいるんだけど
コハル
また急に連絡してきて、いったい何なの?
コハル
あなたの浮かれ話を聞くほど、私は暇じゃないの
ヒヨリ
浮かれ話なんかじゃないの!助けて!
ヒヨリ
あいつ年収5000万だと思ったら、貯金がすっからかんだって言うの!
ヒヨリ
仕事を辞めて、生活費も底をつき始めたから、私パートに出てるのよ!
コハル
今更気づいたの、アンタ?
コハル
ハルヒコにあるのは5000万の円の借金よ
ヒヨリ
へ?
コハル
私はハルヒコに借金があることを知ってから、別れるつもりでいたの
コハル
ちょうどいいタイミングで、アンタが引き取ってくれて感謝しかないわ
ヒヨリ
ちょ…ちょっと待って!どういうことなの!?
ヒヨリ
ハルヒコさん、外資系金融マンだって聞いてたんだけど…
コハル
ハルヒコは派遣で金融事務の仕事をしているだけの人間よ
コハル
その派遣契約も契約が取り消しになっているはずだよ
ヒヨリ
うそ…
ヒヨリ
金融事務でも実績が認められて、正式に雇用されることもあるんじゃないの?
コハル
経験を積めば、それも可能だったかもしれない
コハル
でもねハルヒコは、派遣先でとんでもないことをしてしまったの
ヒヨリ
何をしたのよ!?
コハル
客の預金作成書類を利用して、引き出した現金を着服してたの
ヒヨリ
へ?
コハル
その額がだいたい5000万円くらいだったってことらしいわよ
コハル
着服した金をギャンブルや夜のお店につぎ込んでいたみたい
ヒヨリ
…うそでしょ…
コハル
でも、その客からの問い合わせで着服の事実が発覚したの
コハル
ハルヒコは派遣契約が取り消され、派遣会社からペナルティがついたの
ヒヨリ
ちょっと…信じられない
コハル
それだけでは終わらないわ
コハル
派遣で働いていた外資系銀行が、着服したお客の金を弁済措置を行ったの
コハル
外資系銀行に訴えられ、ハルヒコは民事で全額弁済の命令が出たのよ
ヒヨリ
それが借金5000万ってことなの!?
コハル
そんなことも知らずに、ハルヒコを私から奪って結婚までしたなんて
コハル
ま、今となってはいいタイミングで、お荷物を引き取てくれて感謝してるわ
ヒヨリ
ちょっと待って、お姉ちゃん!
ヒヨリ
ごめんなさい、今すぐハルヒコさんを返してあげるわ!
コハル
何、寝ぼけたこと言ってんの?
コハル
アンタが欲しかった物をプレゼントしたんだから、責任もって養いなさい!
ヒヨリ
だって高年収の外資金融マンと結婚できると思ったから、仕事辞めちゃったし
ヒヨリ
仕事を掛け持ちしても、5000万円なんて程遠くて、とても払えない…
コハル
頑張りなさいよ、夜の仕事でも体でも売って
コハル
あんたは可愛いのが売りなんでしょ?
ヒヨリ
馬鹿にしないでよ!
ヒヨリ
あ、そうだ!
ヒヨリ
お父さんとお母さんの遺産があるんじゃない?家とかまだ売ってないよね?
コハル
実家はもう売却して、私は海外に引っ越したけど
ヒヨリ
へ?
コハル
お父さんとお母さん、私に実家の相続権を譲ってくれていたの
コハル
アンタじゃ信用できないから、私に全部相続すると遺言まで残してくれていたわ
ヒヨリ
うそ…
コハル
あんた、お父さんとお母さんの大切にしていた骨董品、全部持ち出していたそうね
ヒヨリ
しょうがないでしょ!遊ぶ金がなかったんだから!
ヒヨリ
それにお母さんも、骨董品を査定してもらったりして要らないのかと思って
コハル
アンタのやってることは立派な窃盗よ!
コハル
お父さんとお母さんはアンタを勘当する気でいたわ
コハル
でも…交通事故で亡くなってしまって、それができなかった…
コハル
だからお母さんが亡くなる直前に、自宅含め全財産の相続の覚書を私に残したの
ヒヨリ
で、でも…あんなボロ家、資産価値ゼロでしょ
コハル
あそこの土地は街の再開発事業で土地が高騰していたの
コハル
事業者との間で立ち退き交渉が進んでたから、思い切って売却したわ
コハル
名残惜しかったけど、私も海外移住を考えてたからそうしたのよ
ヒヨリ
いくららだったの?土地
コハル
言うまでもないけど、ハルヒコの借金はチャラにできる金額ね
ヒヨリ
え!ちょっと待ってよ!お姉ちゃん!
ヒヨリ
肩代わりしてよ、姉妹なんだから
ヒヨリ
私にもそのお金をもらう権利があるでしょ!?
コハル
あんたには相続権はないので、せいぜい自分で頑張って
コハル
私はもう日本に帰らないから
コハル
永遠にさようなら
ヒヨリ
助けてよ、お姉ちゃ~ん!
ヒヨリ
私も海外に連れてって~
~後日談~
コハル
ヒヨリは行く当てもなく、仕方なく夫婦関係を続けているとか…
コハル
ヒヨリは仕事を掛け持ちして朝から晩まで働いて、借金を返済しているそうです
コハル
ハルヒコは無職のまま、ギャンブル癖が抜けず、更に借金が膨らんでいるとか…
コハル
自分で選んだ伴侶なんだから、責任をもって結婚生活を送ってほしいものです
コハル
私は海外に拠点を移し、フリーランスとして一歩を踏み出したところです
コハル
移住先で誠実な現地の男性と出会い、お付き合いをしています。
コハル
両親の残してくれた意思を受け継ぎながら、誠実に生きていこうと思います