中学校入学の日の朝のことだった…
桃木えと 12歳
えと
……
えとのお母さん
えと何やってるの?
えとのお母さん
遅刻するわよ
えと
お母さん…
えと
私の制服は?
えとのお母さん
…?
えとのお母さん
目の前にあるじゃないの
えと
冗談でしょ!?
えとのお母さん
何言ってるの
それがあんたの制服でしょう!
それがあんたの制服でしょう!
えとのお母さん
この前サイズ測りに行ったじゃない!
こっ…これが私の制服だって…?
えと
✨(真っ白なジャケットに赤いリボン)
えと
✨(丈の短いひらひらワンピース)
まるで漫画やネット小説から飛び出てきたような制服
えと
コスプレじゃん!(‐д`‐ll)
えとのお母さん
じゃあ学校は行かないの?
着た…
えと
(あれ?)
えと
(夢じゃないよね?)
えと
(それとも気が狂った?)
えと
ギュッ(ほっぺたをつまむ)
えと
(普通の紺の制服だったはずだったけど…)
えと
(今年から変わった…?)
えと
ガチャッ
えと
…!?
陶器のような肌
腰まで届くストレートヘアには
一点の曇りもなく
美しい水色
透き通った瞳
非現実的美少女私の前に立っていた
えと
(う…うわぁー)
えと
(超可愛い!)
えと
(って言うか誰?)
えと
(まさかご近所さん!?)
えと
(全然知らない人だけど…)
えと
(何でうちの前に?)
るな
(•_•)ジ-…
えと
( ゚д゚)ハッ!
えと
(初対面なのに見つめすぎたかな?)
えと
…( '-' )………( ; '-' )フイッ
るな
ガシッ(手をつかんだ)
えと
!?
るな
えとちゃん遅れるよ(˶' ᵕ ' ˶)
るな
早く行こ(˶' ᵕ ' ˶)
えと
ポッ(そんな…)
えと
(声まで可愛いなんて…!)
るな
行こっ(˶' ᵕ ' ˶)
えと
うん!
えと
(ーじゃなくて!)
えと
( ゚д゚)ハッ!
えと
ま、待ってパッ
るな
うん?
えと
ねぇあの…何?
るな
何って…学校行かなきゃ!
12歳の春、入学の日の朝のことだった
これは私の体験する
非現実的な日々の始まりに過ぎなかった
私のいる世界は
ネット小説の世界になっていた