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天の川の繋糸
✩.*˚𝑠𝑡𝑎𝑟𝑡✩.*˚
七タの夕方に生まれたから、夕七(ゆうな)
それが、私の名前の由来だ
子供の頃は、一年に一度しか会えない織姫と 彦星の物語がロマンチックで
自分の名前が少しだけ誇らしかった
けど、大人になった今は思う。 一年に一度しか会えないなんて、
そんなの悲しすぎる!…と
スマートフォンの画面に表示されたカレンダーは、 7月7日を示している
外はあいにくの曇り空で、 今夜は天の川なんて見えそうにない
夕七(ユナ)
誰もいないリビングで、 ぽつりと呟いた声が虚しく響く
机の上には、仕事帰りにコンビニで買ってきた、 ほんの少しだけ豪華なスイーツがぽつんと置かれていた
七夕だからといって、特別な予定があるわけじゃな
私の幼馴染で恋人の糸師法は 日本サッカー 界の至宝と呼ばれる天才ミッドフィルダーだ
今はスペインのトップクラブに所属し、 世界の第一線で戦ってる
冴が日本を離れてから 私達の距離は文字通り遠くなった…
日本とスペインの時差は7時間
冴が起きる頃に私は眠り 私が仕事で忙しくしている時間に 彼は激しいトレーニングに汗を流している
メッセージのやり取りだって 1日に数通あれば良い方だ
テレビをつければ、スポーツニュースで 彼の活躍が報じられている
画面の冴は 冷静な瞳でピッチを支配し 世界中のファンを熱狂させていた
📺:糸師冴選手 今シーズンも 圧倒的な存在感を見せていますね
📺:えぇ 彼にとって 日本という 枠はすでに狭すぎたのでしょう 今や世界の至宝です
アナウンサー達の称賛の声を聞きなが私はそっと テレビを電源を切った。
画面が真っ黒になりそこに 映り込んだのは自分の寂しそうな顔…
彼は世界の「糸師 冴」だ…
私 1人のワガママで彼の邪魔をしたくない…
だから いつだって 「応援してるよ!」「無理しないでね…」 と 物分りの良い恋人の振りをし続けてきた…
だけど…今日だけは…今日くらいは ワガママを言いたくなってしまう…
夕七(ユナ)
贅沢な望みだとは分かっている…
だって 今彼は地球の反対側にいるのだから
寂しさを紛らわせるよう私は引き出しから 色とりどりの折り紙を取り出した
子供の頃 冴と一緒に作った 七夕作り
笹の葉なんて 立派なものはないけど
小さな部屋の観葉植物の枝にでも 飾ろうとハサミで 細長く 切って短冊を 作る
ピンク色の短冊にペンで願い事を書き込んでいく
冴が 怪我なくサッカーを続けられますように…
それが 私の1番の願い…
だけど 本当はもっと 子供みたいな願い事だって ある
私はもう1枚今度は青色の短冊を手に取り 誰にもみせないつもりで書き足した
冴と ずっと一緒にいられますように… もっと たくさん会えますように…
書き終えた短冊を握りしめると 自然に涙が溢れそうになった…
会えない時間が 私達の心の距離まで離して しまっている ような気がし怖くてたまらない
世界の歌姫やセレブ達と噂になってもおかしくない彼が
どうして日本の、こんな平凡な私を思い続けて くれているのだろう…
その時 机の上のスマートフォンが短い通知音を鳴らした
画面を見るとそこには「冴」の文字
心臓が大きく跳ねる
通知を見るのボタンをクリックする
夕七(ユナ)
頭が真っ白になる
日本にいる?こっちにくる?
時計を見る 夜の8時を回ったところだ
スペインにいるはずの彼が…どうして
パニックになりながら メッセージを返そうとした
その時
ピンポーン
静かな部屋に 突然インターホンの音が鳴り響いた
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
私は裏返った声で応答しながら 急いで玄関へ向かった
鍵を開け 勢いよく ドアを開ける
そこに立っていたのは見間違えるはずのない
私の愛おしい人だった
少し長めの赤茶色の髪 切れ目の鋭くも美しい エメラルドグリーンの瞳
黒い高級感のある パーカーのフードを浅く被り 片手には小さな キャリーケースを持っている
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夢をみているんじゃないかと 自分の手を抓りたくなる
私の目の前にいる 冴はふっと小さく息をもらし 呆れたように口元を緩めた
冴(サエ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
慌てて1歩下がり 彼を迎え入れる
冴が家の中に足を踏み入れると 一気に部屋の空気が 明るく変わったような 気がした
リビングに入ると冴はキャリーケースを壁際に置き
ソファに深く腰掛けた
長旅の疲れがあるはずなのに その佇まいは相変わらず 絵のように美しい
冴(サエ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
さらりと 大真面目な顔でそんなことを言う
心臓が痛いぐらいに脈打つ
彼はいつだって 私の予想を遥かに 超えて
私を揺さぶってくる
夕七(ユナ)
冴(サエ)
ぶっきらぼうに答える冴の視線がテーブルの上に 散らばった折り紙と2枚の短冊に向いた
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴は眉をひそめ 天井を見上げるような仕草をした
冴(サエ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
冴は鼻をフン と鳴らした
冴(サエ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
付き合いが長いとはいえ 海外の激しい環境で生き残る彼が
そんな繊細なこと 覚えていてくれたことが純粋に嬉しかった
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
いかにも サッカー選手らしい そして「糸師 冴」らしい
現実的で強気な言葉に 私は思わず 苦笑いしてしまう
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
冴の鋭い視線が短冊に注がれる
私は慌てて 青い方の短冊を隠した
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴はソファから立ち上がると、 長い足で一歩、私との距離を詰めた
そして 背中に回していた 青い短冊をひらりと奪い取った。
夕七(ユナ)
冴は短冊に書かれた文字を、じっと見つめる。
冴と、ずっと一緒にいられますように… もっと、たくさん会えますよう…
部屋の中に、沈黙が流れる。
恥ずかしさで顔が爆発しそうになり、私は俯いた。
冴(サエ)
しばらくして降ってきたのは、呆れたような彼の声だった。
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
冴は短冊をテーブルの上に置くと、 私の手から黒いペンを奪い取った
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴は何も言わず、テーブルに手をついて、 サラサラと迷いのない手つきで文字を書き始めた。
彼の綺麗な横顔を見つめながら、私は胸をドキドキさせる
世界最高のミッドフィルダーが、 七夕の短冊に一体どんな願い事を書くのだろうか
冴(サエ)
書き終えた冴が、私に短冊を突き出す。 受け取って文字を見た瞬間、私は目を見開いた
そこには、彼の力強い筆跡で、こう書かれていた。
夕七の願いが叶いますように…
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
思わず吹き出してしまう。だけど、 胸の奥がじんわりと熱くなっていくのが分かった
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴は少しだけ顔を背け、 耳のあたりを薄く赤く染めながら言った
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
冴は私に向き直ると、そのエメラルドグリーンの瞳で、 私の目を真っ直ぐに見つめてきた。
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
その言葉に、私の胸は完全にキャパを超えてしまった
会えなくて寂しかったこと。 会えない距離に押し潰されそうになっていたこと
物分かりの良い彼女の振りをしながら、 本当は毎日泣きたかったこと
彼が、私のそんな隠された想いを、 全部見抜いていたのだと気付いたから
夕七(ユナ)
ポつりと涙が、床に落ちた。
一度溢れ出た涙は止まらず、次から次へと頬を伝って流れ落ちる
冴(サエ)
冴(サエ)
冴が少しだけ慌てたように、私の顔を覗き込んでくる
世界を相手に堂々と戦う彼が、 私の涙にだけは、いつも少しだけ弱い
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
私は子供のように、声を上げて泣いてしまった
感情が、堰を切ったように溢れ出して止まらない。
夕七(ユナ)
頬をつたる 涙を拭きながら 言葉を続ける
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
私のワガママな本音を、冴は遮ることなく、 静かに聞いていた
泣きじゃくる私の頭に、大きな、 温かい手がぽんと置かれ
冴(サエ)
冴の低い声が、頭上から響く
冴(サエ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
私が顔を上げると、 冴は少しバツが悪そうに視線を逸らした。
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴の言葉の重みに、息が止まりそうに
私のために、彼はそこまでしてくれたのだ。 世界のトップクラブを相手に…
自分のプライドと結果を賭けて、 私に会うための時間を毟り取ってくれた。
夕七(ユナ)
冴(サエ)
冴(サエ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
目にはいっぱいの涙が今にも こぼれ落ちそうなほど 溢れている
その瞬間、私の中にあった不安や寂しさは、 跡形もなく消え去っていった
距離なんて、関係なかった。
冴がスペインにいようと、世界のどこにいようと 冴の心はいつだって私のすぐ近くにある。
たちが紡いできた絆の糸は、どんなに離れても、 決して切れることのない強固なものになっていた
夕七(ユナ)
私は涙を拭い、精一杯の笑顔を彼に向けた。 冴は私の笑顔を見ると、安心したように、小さく息を吐く
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
夕七(ユナ)
さっきまでは 霧がかっていたはずの空は霧がはれて 満点の星空になっていた
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
やっぱり 私達は織姫と彦星なんかじゃない…
会えなくても 私達は心で繋がっている
そう思えば もう寂しいなんて 思わない
自然と涙がでてくる
夕七(ユナ)
涙を拭いながら 言う
夕七(ユナ)
冴(サエ)
少し照れくさそうになりながら でも私の目を真っ直ぐみている
夕七(ユナ)
冴(サエ)
夕七(ユナ)
✩.*˚𝑒𝑛𝑑✩.*˚
あとがき
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
天の川の繋糸はどうでした?
結構 前の読み切りより 成長してると思います🫣
色んな人の読み切りをみて 影で勉強してました
あとは ナルがちょっとだけ 言葉の言い換えや 表現の言葉を修正してくれました😙
皆さんさ七夕どう過ごしていますか~?
もしかして 夕七みたいに 恋人とかと一緒にいる方も…🫣
マリは友達と夕七みたいに笹の葉🎋と 短冊 を用意して お願いごと書きました🤭
七夕は普段会えない人に会える日という すてきな 意味があるらしいので お相手様に冴を選びました!
是非 感想とか教えてね~🙌🏻
次回の読み切りでお会いしましょう👋🏻
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
コメント
12件
思ってた1000億倍も良い話じゃねぇか!! 夕七と冴いいなぁ🤤 凛にしてたらもっと違う展開になってそうで、ボクの想像という名の妄想が止まらないッ✨ ちな、ボクは何もしてませんわ🤗 願いごともしてませんわ✌️
お相手に冴をもってくるのは 天才でしょ🫢 最高のハッピーエンドすぎる🥹 てか前ナルにみせてくれた時 よりちょっと内容変わってたけど こっちの方が大好き😘 ナルは星に『家族と友達が健康で 過ごせますように』と『マリともっと 仲良くなつ。ていけますように!』 って 笑 長文ごめんね
冴くんばちいけめん過ぎて🤧🤧つんでれ!!!タヒぬ気で調節したの好き!!!!りんちゃんの書く短編初めて読んだけどホント大好きなんだけど???😻😻圧倒的満足感で潰されそうだよ!!!!感動というかあったかい気持ちになったっっ😢😢💞💞ハッピーエンドもいいねぇ😖😖ちなみに私は時間にゆとりが持てますようにって短冊に書きました!!!!😘😘