一覧ページ

LINE825

第1話 - あ

2023年06月29日

#恋愛

結城真矢

ミサエ

ヒロシごめん！今日は帰りが遅くなりそう

ヒロシ

え？飯は？誰が準備するんだ？

ミサエ

誰がって…ちょっと今日の夕飯は作れそうにないわ

ヒロシ

じゃあどうすればいいの？

ミサエ

どうって…冷蔵庫に昨日の残り物があるから、それを食べてちょうだい

ヒロシ

夫に残り物を食べさせるのか！？どういう神経をしてるんだ！！！

ミサエ

なんでそんなに怒るのよ…

ヒロシ

そりゃ怒るだろ！！俺だって仕事で疲れているんだ！

ミサエ

それは分かるんだけど、私だって仕事をしているのよ？

ミサエ

同じ職場にいるんだから分かるわよね？

ヒロシ

おいおい、夫に向かってその言い方はないだろ

ヒロシ

調子に乗るなよ

ミサエ

ごめんなさい、それじゃあ仕事に戻らなきゃいけないから…

ヒロシ

勝手にしろ！！！

〜数時間後〜

ミサエ

やっと仕事が終わったわ。今から帰るね

ヒロシ

遅い！遅すぎる！！！

ミサエ

帰りが遅くなるって連絡入れたよね？

ヒロシ

こんなに遅くなるなんて一言も言ってないだろ？

ヒロシ

小腹が空いたから、帰ってきたら何か作ってくれ

ミサエ

ヒロシ、ごめんだけど私も今日は疲れてるの

ミサエ

だから、コンビニで何か買って行くわね

ヒロシ

夫にコンビニの飯を食わせるのか！？夕飯は残り物だったし、もうこりごりだ

ミサエ

それじゃあ、何も要らないの？

ヒロシ

いや、それとこれとは話が別だ。何か買ってこい。

ミサエ

分かったわ。何が欲しいの？

ヒロシ

いつものやつで

ミサエ

いつものやつって…いつも色んなものを食べてるじゃない

ヒロシ

俺の今日の気分に合うやつを買ってこいって言ってるんだよ！

ミサエ

だから、それは一体なんなのよ…

ヒロシ

ラーメンと抹茶アイス

ミサエ

はいはい。分かったわ。その２つを買って帰るわね

ヒロシ

急いで帰ってこいよ！

〜数日後〜

ミサエ

ヒロシ、ごめん！今日も帰りが遅くなりそう

ミサエ

ご飯は昨日のうちに今日の分も作っておいたから、それを食べてね

ヒロシ

ん？ミサエ、事前に準備してくれてたのか。ありがとうな

ミサエ

え…

ヒロシ

ん？どうしたんだ？

ミサエ

なんか最近、ヒロシの雰囲気が変わったなって思って

ヒロシ

そうか〜？俺はいつも通りだけど

ミサエ

最近何かいいことあった？

ミサエ

仕事が上手くいってるとか…

ヒロシ

いいこと？んー別にないかな。仕事でも相変わらずヘマするし

ミサエ

そ、そっか。いつも通りなら別にいいんだけど

ヒロシ

ほーい、仕事頑張って。飯は温めて食べるわ

ミサエ

う、うん。それじゃあ仕事に戻るね

ヒロシ

はーい！いってらっしゃい！

〜数分後〜

ヒロシ

ヒマリちゃん、今日暇だったりする？

ヒマリ

あ〜！ヒロシさん！突然ですね〜そんなに私と会いたいんですか？

ヒロシ

まあね〜！ヒマリちゃんって今日のご飯はもう食べた？

ヒマリ

ご飯ですか？まだ食べてないですよ〜。さっき仕事が終わったばっかりなので

ヒマリ

これから1人寂しくご飯を作ろうかなって思ってたところです

ヒロシ

それじゃあさ、ウチ来る？夕飯作りすぎたんだよね

ヒマリ

えぇ…？いいんですか？奥さんは？

ヒロシ

今日は、帰りが遅くなるって言ってたから全然問題なし！

ヒマリ

帰りが遅くなるんですね〜、それじゃあお言葉に甘えて行っちゃおっかな！

ヒロシ

うん！何分後くらいに着きそう？

ヒマリ

今からだと30分後には行けそうです！仕事着のまま行っても大丈夫ですか？

ヒロシ

服装なんてなんでもいいよ。ヒマリちゃんは可愛いから何も気にならない。

ヒマリ

まーた、そんなこと言って！この関係が奥さんにバレたら怒られますよ〜？

ヒロシ

大丈夫大丈夫。あいつは鈍感だから、気付かないよ。それじゃあ気をつけてきてね

ヒマリ

は〜い！ダッシュで向かいます！

〜30分後〜

ヒロシ

ヒマリちゃん、そろそろ着きそう？

ヒマリ

はい！あと５分くらいで着きそうです！あれ？ちょっと迷っちゃったかもしれません

ヒロシ

今どの辺にいるの？迎えに行こうか？

ヒマリ

お手数をおかけしてすみません…

ヒロシ

そんな他人行儀な言い方しないでよ

ヒロシ

職場では、ヒマリちゃんは取引先の人だけど、今は関係ないからね？

ヒマリ

そうですよね！なんか癖で…。

ヒマリ

じゃあ、ヒロシさんのお言葉に甘えて、迎えに来てもらっちゃおうかな！

ヒロシ

もちろん！近くに郵便局は見える？

ヒマリ

郵便局…？あ！ありました！その辺で待ってればいいですか？

ヒロシ

うん！今から行くね

ヒマリ

は〜い！一緒にご飯食べれるの楽しみだな〜！

〜数時間後〜

ミサエ

ヒロシ、今仕事終わった！今から帰るね

ヒロシ

い、いま？何分くらいで家に着く？

ミサエ

まだ職場だから40分くらいはかかるかな。どうして？

ヒロシ

いや、あんまり遅くなると心配だなって思って…

ミサエ

ご心配ありがとう。やっぱり最近のヒロシ、なんかちょっと変よ？

ヒロシ

変？そんなことないよ

ミサエ

口調も前より柔らかくなったし、何より優しくなった

ヒロシ

それは、ミサエのことを愛しているからだよ！

ミサエ

ふーん。その言葉を信じていいのね？今日は夜食か何かいる？

ヒロシ

夜食か。今日は大丈夫そう！あ、やっぱりアイスをお願いしようかな

ヒロシ

お金は俺が後で払うから

ミサエ

え？アイスくらい払うわよ。抹茶アイスでいい？

ヒロシ

うん！抹茶アイスで。気をつけて帰ってこいよ

ミサエ

分かった！急いで帰るね

〜10分後〜

ヒロシ

ヒマリちゃん、急いで帰らせちゃってごめんね！

ヒマリ

いやいや、大丈夫ですよ！ヒロシさんと一緒に過ごせて幸せでした！

ヒロシ

あいつとは、時期を見て離婚するから、それまで待っててくれる？

ヒマリ

嫌です！いますぐに！

ヒマリ

って言いたいところだけど、ヒロシさんのことが好きだから待ってますね！

ヒロシ

ありがとう。ヒマリちゃんは本当にいい子で可愛いな

ヒロシ

またデートしようね

ヒマリ

もちろんです！今度は仕事着じゃなくて、おしゃれして行きますね

ヒロシ

楽しみにしてる！それじゃあおやすみ！

ヒマリ

は〜い！おやすみなさい！

〜次の日〜

ミサエ

ねぇ、ヒロシ。昨日の晩御飯、2人分作ったんだけど全部食べたの？

ヒロシ

え、うん！美味しくて全部食べちゃった

ミサエ

よくあんな量を食べれたわね。そんなに大食いだったかしら？

ヒロシ

俺、意外に食べるんだよ。知らなかったのか？

ミサエ

まあ確かに、夜食でラーメンを食べるくらいだもんね

ミサエ

ちょっと気になっただけだから、大丈夫！

ヒロシ

いつも美味しい料理を作ってくれてありがとう！

ミサエ

適当に作っただけだけど…まぁ、どういたしまして

〜数日後〜

ミサエ

毎度のことで申し訳ないんだけど、今日も帰り遅くなりそう！

ヒロシ

そうなんだ。大丈夫だよ〜

ミサエ

今日は遅くなると思ってなくて、ご飯の準備ができてないのよ！ほんとごめん！

ヒロシ

オッケー。コンビニで適当に飯買って食べるわ

ミサエ

あれ？コンビニのご飯でいいの？

ヒロシ

ん、なんで？

ミサエ

なんでって、前コンビニで夜食買うときに怒ってたから

ミサエ

夫にコンビニの飯を食わせるのか！って

ヒロシ

そんなこと言ったかな？とにかく大丈夫だから、仕事頑張ってな

ミサエ

うん、ありがとう。それじゃあ帰りの時間が分かったら連絡するね

ヒロシ

帰りの時間は絶対連絡してくれよな。ミサエのことが心配なんだ

ミサエ

はいはい。分かったわ。連絡するから大丈夫

ミサエ

それじゃあ仕事に戻るわね！

ヒロシ

頑張ってな〜！

〜数分後〜

ヒロシ

ヒマリちゃん！今日時間ある？

ヒマリ

あれ？もしかして、今日も奥さんお仕事で帰りが遅いんですか？

ヒロシ

さすがだね〜！その通り！今日はどこかにご飯を食べに行かない？

ヒマリ

今日は奥さんのご飯じゃないんですね？

ヒロシ

今日は作ってないんだって！マジで使えない女だよな

ヒマリ

そこまで言わなくてもwww

ヒロシ

だってそうだろ？普通、飯ぐらい作っておくよな

ヒマリ

まぁまぁ落ち着いて。ご飯がないから、私と外食できるんですよ？

ヒロシ

確かに！そうだね。それじゃあここのレストラン集合で！

ヒマリ

分かりました〜！地図だけ送ってもらっていいですか？

ヒロシ

あ、ごめんごめん！はい！ここね

ヒマリ

ありがとうございます〜！それじゃあまた後で〜！

〜20分後〜

ヒロシ

ヒマリちゃん、そろそろ着きそう？

ミサエ

私はミサエですけど

ヒロシ

へ？

ミサエ

なにとぼけてんのよ。もしかして間違えてラインしたの？

ヒロシ

あ、あれ？というか、ミサエ、今仕事してるんだよな？

ミサエ

今日は残業していないわ

ヒロシ

俺に嘘をついたってことか！？

ミサエ

それはごめんなさい

ミサエ

でも、私の嘘なんてちっぽけなくらい、あなたも私に秘密を隠しているわよね？

ヒロシ

秘密？な、なんのことだ？俺は、ミサエには何も隠してないぞ

ミサエ

よくそんな嘘をつけるわね

ミサエ

それじゃあ聞くけど、ヒマリちゃんって誰かしら？

ヒロシ

えっと…それは、俺の姪っ子だよ！

ミサエ

へぇ〜姪っ子なんていたのね。今、初めて聞いたんだけど

ヒロシ

あれ？言ってなかったっけ？

ヒロシ

今日は姪っ子も時間があるって言うから、一緒にご飯に行こうと思っていたんだ

ミサエ

そうなのね。それじゃあ取引先のヒマリさんとは、無関係ってことね？

ヒロシ

な、なんでそれを知っているんだ？

ミサエ

あれ？なんか動揺してない？ヒマリさんはうちの会社の取引先の方でしょ？

ミサエ

職場にいる人ならみんな知っているわよ

ヒロシ

そ、そうだよな。同姓同名ってやつかな〜？

ミサエ

まだそんな嘘をついてるの！？いい加減、白状しなさいよ！

ヒロシ

うわぁ〜ん、ごめんなさい！でも今回だけなんだ！未遂だろ？許してくれよ

ミサエ

私が作っておいた夕飯を一緒に食べて、家で過ごしていたのも未遂ってこと？

ヒロシ

え？え？なぜそれを…

ミサエ

ヒロシは気づいてないのかもしれないけど、結構前にペットカメラを買ってたのよ

ヒロシ

ペットカメラ？

ミサエ

私たちって2人とも仕事をしているじゃない？

ミサエ

1人でいる時間が長いから心配で、ペットカメラがあった方が安心かなって思って

ヒロシ

そんなの俺は聞いていないぞ！勝手に変なものを買うなよ！

ミサエ

ペットカメラのどこが変なのよ

ミサエ

最近、ヒロシの様子が変わったって言ったよね？

ヒロシ

そんなこと言ってたか？

ミサエ

ちょっと、私との会話は全部忘れちゃう病気なの！？失望するわ

ミサエ

最近、私に対して異様に優しかったり、口調も柔らかくなったじゃない

ヒロシ

そ、そんなことないけど。いつも通りだったはずだ

ミサエ

ヒロシは分かりやすすぎるのよ。

ミサエ

なんかおかしいなと思って、前に買ってあったペットカメラをリビングに置いておいたの

ヒロシ

…

ミサエ

何も言い返す言葉がないかしら？

ヒロシ

すいませんでした！！！もう、しません！！！

ミサエ

今更、もうしないなんて言われても、なんの説得力もないわよ

ミサエ

それと、私と離婚もしたいんでしょ？

ヒロシ

え…

ミサエ

今のペットカメラは、会話とか話し声を録音できるものもあるのよ！

ミサエ

防犯で使う人もいるくらいなんだから

ヒロシ

そ、そんな…

ミサエ

あなたのお望み通り、離婚しましょう

ミサエ

あ、言っておくけどヒマリさんと一緒になれると思ったら大間違いだからね

ヒロシ

どういうことなんだ？

ミサエ

ヒロシって本当に鈍感ね。ヒマリさんには本命の彼氏がいるのよ

ヒロシ

嘘だ！そんなことは絶対にない！

ミサエ

なんでそんなに自信満々に言い切れるのよ

ミサエ

職場の人ならみんな知ってるわよ

ヒロシ

もしかして…俺はただ遊ばれてただけってことか…

ミサエ

その通り。あなたは騙されていたってことね

ヒロシ

俺はこんな話は絶対に信じないからな！！！

ミサエ

勝手にしなさいよ

〜後日談〜

ミサエ

その後、ヒロシとは無事に離婚し、慰謝料をがっぽり貰いました

ミサエ

ヒロシとは、職場が同じなのでたまに見かけることがあるのですが、

ミサエ

日に日に顔色が悪くなっているのが分かります

ミサエ

おそらく、ロクに料理もしたことがないので、栄養を取れていないんでしょうね

ミサエ

ヒロシが不倫していた話は、職場に一気に広まりました

ミサエ

居心地が悪かったのか、ヒロシは仕事を辞めて今は1人寂しく暮らしているそうです

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE825

第1話 - あ

関連するタグ