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2件
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
いふside
いふ
いふ
朝日の眩しさで目を覚ます
ゆっくりと意識が浮上していき、目が覚めていく
いふ
隣にほとけはおらんかった
辺りを見回しても、姿が見えへん
まぁ、朝ごはんを作ってくれとるんやろう
いつも俺の方が先に起きて、ほとけを起こすことが多いから変な感じや
いふ
しみじみと新しい年になったことを実感する
今年は武道館ライブという夢の舞台に立つ特別な年や
やからこれまで以上に活動は忙しくなるやろう
元々仕事と活動を両立しとる分大変やけど、 これまでとは比にならない程大変になるんは容易に想像がつく
それでも、俺たちを応援してくれとるリスナーさん達のために頑張るんや
それに俺は一人やない
メンバーも、支えてくれるスタッフさんも着いとる
いふ
ベッドに腰掛け、窓の外を見ながら思う
ただの会社員やった俺が、今はたくさんの人に応援される存在にあるなんて思ってもみんかった
大切な仲間達と愛する恋人
その両方を同時に手にしとるんやと思うとこんなに幸せでいいんやろうかと思う
俺は今、人生の中で一番幸せやと断言できるぐらい幸福に満ちとる
いふ
布団に向かって、重力のままに体を傾ける
先程まで眠っていたベッドに再び沈んでいく
仄かに香るいつもの柔軟剤と水色の彼の匂い
香水などの人工的ではなく、彼自身の優しい匂い
ダブルベッドに大の字に寝っ転がって、朝日の温もりを全身で感じる
しかし、段々寂しくなってきた
脳内がどんどん水色に染まっていく
いろんなほとけを思い出すが、笑っている顔ばっかりや
いふ
彼を思い浮かべれば浮かべる程、寂しさが膨らんでいく
いつも二人で寝とる布団に自分一人という事実が余計にこの感情を増幅させとる気がする
いふ
勢いよく起き上がって歩き出す
いふ
ドアノブに手を掛け、ゆっくりと扉を開く
ガチャ
いふ
ほとけ
いふ
朝食の準備をしてくれとるほとけに朝の挨拶をする
そして新年の挨拶も同時に交わした
一年の最初を二人で今年も迎えられたことに嬉しく思う
去年の最後も今年の最初も一緒に過ごしたんやと思うと感慨深い
ほとけ
いふ
青組
ダイニングテーブルを挟んで、向かい合って座る
朝日が俺たちを照らす
青組
いふ
トーストにガブリとかぶりつく
サクサクとした軽快な音を立てながら咀嚼していく
今日の朝食はトーストとスクランブルエッグにベーコン
The・洋食といった感じや
正月やからといって特別なメニューにしないところがほとけらしい
やけど、これはこれでいい気がした
特別感がない方が俺らに合っとる
変に飾らなくても、こうして新年を二人で迎えられたことだけで十分や
いふ
素直に口から出た言葉
紛れもない本心や
シンプルやけど、トーストの焼き加減もちょうどいいし、スクランブルエッグも程よくトロトロや
ベーコンもカリッと焼き上げられとって、ほとけのこだわりを感じる
いつもより美味しく感じるんは、正月やからやろうか
ほとけ
ほとけ
何かを思い出したかのように、言うほとけ
どうしたんやろうか
ほとけ
いふ
いふ
ほとけ
初夢に何を見るかでその年の運勢が決まる、なんて聞いたことがある
やけど、残念ながら俺は初夢見てへんから関係ない話やな
一般的に縁起のいい夢と言えば一富士二鷹三茄子を思い浮かべる
富士は不死や無事、鷹は高い、茄子は成すを連想させるかららしい
まぁ、俺もこの前ネットで見ただけやから詳しくは知らんけどな
いふ
ほとけ
いふ
ほとけは初夢見たんか
俺は見れへんかったからちょっと羨ましい
初夢見れるか見れへんかは自分でどうこうできる問題やないからどうしようもないんやけど
いふ
ほとけ
いふ
俺らがおじいちゃんになっても一緒にいる、か
未来のことを考えたことがなかったから、想像がつかへん
そもそもそれは俺らが別れへん想定での話や
人生何が起こるかわからへん
それにほとけはまだまだ若い
ほとけには結婚して、子供を作るっている普通の人生を送ってほしい
俺のせいで人生を棒に振って欲しくない
なんて、ほとけに言ったら怒られるんやろうな…w
やからこの想いはそっと胸に仕舞う
俺もできることなら一生一緒におりたい
やけどその想いの裏腹に、ほとけには可愛い女の子の方がお似合いなんやないかと考えてしまう俺がいる
いふ
ほとけ
そう言って笑うほとけ
でもその笑顔はいつもとは違うように感じた
ほんのり大人っぽくて哀愁がある
ほとけ
改まった表情で俺を見つめながら言うほとけ
その真剣な顔に、食事を一度中断し俺も向き直る
いふ
ほとけ
ほとけ
いふ
ぐうの音も出ないとはまさにこのことなんやろう
まるで俺の心を見透かしとるように問いかけるほとけ
水色の瞳の奥には確固たる決意と熱意を感じた
あぁ、俺はこいつに一生敵わないんやな
そう直感的に思った
いふ
いふ
いふ
どんどん口から本音が溢れていく
それと同時に悲しさが込み上げる
心の中がぐちゃぐちゃで何が何だかわからへん
俺は一体何がしたいんやろう
こんなこと言ったって、ほとけを困らせるだけってわかっとるのに、、、
ほとけ
ほとけ
いふ
優しい声で俺を愛しそうに見つめるほとけ
なんだかその顔は凛々しく見えた
言葉の真意も表情の訳もまったく分からん
なんの根拠もないけどこれからほとけが言うことが大事な気がした
ほとけ
ほとけ
いふ
自分で言ったことやけど、改めて言葉にされると辛い
心にずっしりと重くのしかかってくる
法律上、異性同士の結婚しか認められてへん
同性愛に対しての偏見もまだまだ強い
やから世間から白い目で見られることも少なくない
それに、生物学上男性同士で子供を授かることは不可能や
ほとけ
いふ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
いふ
ふわっと柔らかい笑みを浮かべながら言うほとけ
一般的な幸せに囚われる必要はない、か
確かに俺は他人から押し付けられた常識に縛られとったんかもな
人生は結婚が全てでも家庭を築くことが全てでもない
自分なりの幸せを毎日紡いでいくことが大事なんや
なんで俺は忘れとったんやろうな、こんな当たり前なこと
いふ
いふ
いふ
ほとけ
ほとけ
花の咲くような満面の笑顔を浮かべるほとけ
さっきまでよりも明るく眩しい
ほとけにいかに心配をかけとったかを思い知った
それと同時にそのことに気づけないほど自分が悩んでいたことを自覚した
いふ
ほとけ
ほとけ
いふ
自分でもわかっとるが、俺は人に頼ったり本音を話すんが苦手や
しかも追い詰められとるとどんどん思考が悪い方へ進んでいってしまうんや
周りが見えなくなって、何が正しいのかすら判断できなくなってまう
直したいと思っとるけど、そう簡単には変えられへん
ほとけ
ほとけ
ほとけ
いふ
いふ
ほとけ
ほとけ
確かに俺もそうや
追い詰められとるときは自分が限界迎えとることに気づけんくなるんや
気づいた時にはもう遅くて、結局人に迷惑かけてまう
悪循環なことはわかっとるんやけど、こればっかりはどうしようもない
解決策がわかっとたら、とっくに俺もやっとる
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ほとけの言葉に心が軽くなる感覚がした
普段は子供っぽくて無邪気な印象が強いけど、 時にこうやってスッと腑に落ちることも言ってくれる
何度もほとけのこういう言葉に救われてきたし、尊敬と感謝でいっぱいや
人に頼れへん自分が嫌で、一人抱え込む癖を直したいのに直せへん不甲斐無さが渦巻いとった
でも、俺だけじゃなくてほとけも俺と同じように悩んでたんやと知って安心した
ほとけの言葉を聞いて思った
自分から人に頼れるかより、助けてくれる人を作れるかの方が大事なんやな
無理しとるかを自分で気づくんは難しい
頑張りと無理の線引きが曖昧なんや
やからこそ、客観的に判断してくれる相手がそばにいるんは効果的や
相手に心配かけないために休もうと思えたりと抑止力にもなる
なんで今まで思いつかんかったんかってくらい合理的な案や
いふ
いふ
ほとけ
いふ
ほとけ
新年の訪れを祝う日に重い話しすぎた
こんな現実的なことはなしとるカップル俺らぐらいやろ
まぁ、それはそれで俺ららしい気もする
ほとけ
いふ
ほとけ
いふ
少し冷めてしまった朝食を急いで食べる
いふ
小さな声でボソリと呟いた
ほとけ
いふ
ほとけ
いふ
さっきとは違う、心からの笑顔で食卓を囲む
特別なことは何もしてへんけど、たまにはこんな新年の幕開けも悪くはないな、
そう思った──────
ほとけ
〜終〜