mzat 短編集

くふくふ , と笑いながら近付いてくる恋人 。

いつもとは違う其の酔い方に , 多少なりとも違和感を覚える 。

ちらり , とあっきぃの方を覗き見れば , ちぐと一緒に盛り上がる酔っ払いの姿が 。

何時もであればあそこに混ざって酔い潰れているあっとが , 何故か此処にいる 。

そう言って , 横にちょこんと座る彼 。

ぐるり , と俺の周りを見回して不思議な事があったのか , こてんと首を傾げて口を開く 。

逆に此方がそう問えば , ううん , と首を横に振る 。

そう言って , 再度くふくふ , と笑うあっとが可愛くて 。

何時もと酔い方が違うため分かりづらいが , これは酔っている時の甘え方 。

べ ｰ , と小さく舌を出して威嚇してくるあっと 。

頬を膨らませて , 俺の腕に両手を絡ませてくる 。

その様子が小動物みたいで , 不覚にも可愛いと思ってしまった 。

そう耳元で囁きながら , あっとの手からレモンサワーを奪い取る 。

再度膨らんだあっとの頬をつつきながら , テーブル脇に置かれたジャーの水をコップに移す 。

コップを指先で , けれど落とさないように 大切に抱えながらちみちみ飲む姿がなんとも愛くるしい 。

ぷは , と飲みきった後 , コップをことんと机に置いて此方に向き直す 。

数ミリしか入っていない梅酒をコクリと飲み干し , あっとの頬に触れる 。

俺の手を両手で包んですり , と頬を撫でさせる 。

むす , と分かり易く膨れる彼が愛おしい 。

夜はこれから 。