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ルユイア(過去)

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ルユイア(過去)

5 - 散った蒼薔薇 終章

♥

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2023年07月25日

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ベル

昔々。

ベル

魔王がこの世界に居ました。

ベル

魔王ってのは、ゲームのラスボスみたいな……あ、知ってる?知ってるならいいや

ベル

…えー、魔王は人間を支配下に置き、人間を奴隷のように扱いました

ベル

そんな日々が続いた時、魔王への反抗を企てる人間が、召喚術を用いて魔王を倒そう。と考えます

ベル

他の人間もそれに賛同し、ひっそり、魔王にバレないようにと計画に協力しました

ベル

………まぁ色々と過程はすっ飛ばすけど

ベル

最終的に、人間側は勇者を召喚する事に成功。

ベル

…ですが、勇者はこちら側の言葉がわかりませんでした。

ベル

他の世界…他の次元から呼び寄せるなら、それは当たり前の事です

ベル

更に言えば、その勇者は脆弱で、基礎魔法も使えませんでした

ベル

…そこで、この世界の人達は考えます。勇者は適正がある。だが魔法は使えない…じゃあ、魔法を使えるようにするにはどうすれば良い?

ベル

正解は、魔法の元を勇者に埋め込む

魔法の元……?

ベル

…この世界の人間や魔物には、魂が纏う力……マナがある。これが魔法の元

ベル

マナが魂より強大過ぎると、大きな魔法を使った時、マナが暴走して爆散

ベル

逆に魂がマナより強過ぎると、マナの弱さによって廃人化する。

廃人……

ベル

マナは人の気力や活力に強く影響するんだよ。
PP…確か、めんたるぽいんと?だっけ。そう言ったらわかる?

……ゲーム?

ベル

別にそう思ってくれても良いよ

ベル

…話を戻すね?

ベル

マナを勇者に埋め込むのにはどうすれば良いか?人間達は群れて考えます

ベル

…ある研究者が思いつきます。他人のマナを吸い取って貯め、貯めた分を勇者に埋め込むと。

ベル

…ですが、研究者はそれを世間に発表しませんでした

ベル

当たり前です

ベル

それは、他人から見れば大多数を廃人にして勇者を強くする行為。

ベル

しかも成功率は100%じゃない。

ベル

行き過ぎたマナは勇者を消し飛ばしますからね

ベル

自分が廃人にされて、でもマナは何の役にも立たなかった………なんて。

ベル

嫌だよね。
廃人化しても報われないなんて

ベル

結果、民衆はこの策に絶対反対すると踏んで、研究者は少数の協力者と共に策を決行します

ベル

研究者達は、誰にも見られない場所で、設備を整えました

そんな場所があるのか?

ベル

あるよ。
それに、君も行った

え?

ベル

…君さ、神聖っぽい場所に連れて行かれたろ?

ぁ……

ベル

あそこは聖堂。そして、あそこで実験が行われたんだ

ベル

…とにかく、設備を整え、後は人間からマナを吸い取る工程だけになりました

ベル

研究者は様々な工夫を凝らして、次々とマナを吸い取って行きます

ベル

…そんな毎日を送り、マナが貯まりきりました

ベル

そして、最後のマナを勇者に埋め込む工程です。
研究者は勇者を聖堂へと誘い出します

ベル

勇者は聖堂の真ん中近くまで来ると、何かを見る様にしゃがみます

ベル

真ん中辺りに手を伸ばした途端……
勇者は悶え苦しみ始めました

ベル

研究者は勇者の反応をメモに記し、
勇者を観察しています

ベル

そして、勇者はパタリと倒れ……
見た目に変化が現れました

ベル

花が片目に寄生していたのです

ベル

その後、気を失った勇者をベッド……
"ここ"に寝かしつけて、目が覚めるまで待ちました

ベル

…時間が経ち、勇者は目が覚めると、驚く事を言い始めます。

ベル

「ここは、何処ですか?宿?」と。

ベル

研究者は驚きました。だって、この世界の言葉を話せない筈の勇者が、流暢に話すんですから

ベル

しかも、その勇者の記憶が運の良い事にすっぽ抜けて居たのです

ベル

研究者はこの結果を「マナを無理やり寄生させた事で起きた副産物」と結論づけました

ベル

寄生と書いたのは、恐らくマナの主張らしき花が、寄生するようにくっついていたからだと思います

ベル

…また、勇者には特殊能力…異能と言っても良いですね。

ベル

それが使えました。
街の人々も研究者も、この結果には驚愕しました

ベル

そして、「この勇者なら大丈夫」と言う安心感を人々に与え、勇者は街を出発します

ベル

その後、勇者が街を出て魔王を倒し…

ベル

今、この世界は平和となりました

…めでたし?なのか?

ベル

うん。街の人々はそう判断したみたい

……

ベル

そして、街の人々は魔王が復活した時の為、またもや勇者を召喚します

ベル

……それを、僕らがちょこっと邪魔して、本来は召喚されない筈の君を呼んだってワケ

……

よく聞くご都合主義等の大半は省かれて居たが… 私の前に来たと言う勇者の状況が、 今の私の状況と酷似している

ベル

…うーん、人に話すのって難しいなぁ。
長くなっちゃった。ごめんね

……私は記憶を失っていないぞ

ベル

そこがおかしいんだよねー。
個人差があるのかな

個人差……

じゃあ、私をこの世界?に召喚した理由は何だ?

あと、私の見た目は変わっているのか?

それに、能力って…

ベル

あぁぁぁ……そんなに一気に聞かないでよ。頭がおかしくなる…

す、すまない…

ファルケ

とりあえず、鏡を持ってきたぞ

へ…?

ファルケ

等身大の鏡は無かったから、コレで許してくれ

そう言って、ファルケは手鏡を雫に渡した。

手鏡は、雫の頭部に寄生したらしき青薔薇。その下に青のカチューシャが置かれている。 そして、雫自身が普段は着けないメッシュを写す

……薔薇はわかるが、何故メッシュとカチューシャがあるんだ

ファルケ

ニューダンイワイと言う奴だ

ベル

カチューシャは私だよ。メッシュはファルケ……

ベル

……入団祝いだったんだ、これ…

入団祝い?どういう事だ?

ベル

う、うーん……

ベル

君を召喚した理由はね、私達の組織に入れる為だよ。

組織…?

ベル

うん。

ファルケ

貴殿の能力が我らの組織に必要なのだ

……私、自分の能力を知らないのだが

ベル

確か、君の能力は「脳に誤認させる能力」…の筈

どういう事だ?

ファルケ

氷水は熱くないのに「熱い!」と思わせたり、目の前でサツ人事件が起きても周りは何とも思わない……

ベル

そんな状況を引き起こせる能力だよ

なんだか凄いな

ベル

あと、確か君は薔薇魔法が使えるんだっけ?

なんだそれ

ベル

薔薇の茨で攻撃したり、薔薇の加護か何かでバフ積みと回復効果……があるんだと思うよ

断言しないのか?

ベル

実際に見た事があるわけじゃないよ。
ただ知識をひけらかしてるだけ

そ、そうなのか…

ファルケ

…………

………あ、あともう二つ程聞きたいんだが

その………ファルケ?の翼は偽物なのか?

ファルケ

は?

ベル

………もしかして、人外、わからない?

ぁ…いや……ゲームとか、創作?とかで見た事があるだけで……

ベル

……ふうん。創作ねぇ……

ベル

じゃあ、この世界はそう言うゲームとか創作の世界。そう思ってよ

………そう言えば、アンタ……ベル?だったか

ベルは魔法使いなのか?

ベル

猫。魔法使い……ねぇ。まぁ、想像に任せるよ

ね、猫?

じゃあ、その帽子を取れば…

雫は、ベルの帽子を取ろうとした… が、ベルに手を弾かれた

ベル

触んな

…すまない

ベル

ご、ごめんね。見られるの、慣れてないんだよ

…そうか

ベル

……他、聞きたいことはある?

…これ以上は、特に…

ベル

じゃあ入団してくれるかな?

いや、ちょっとまってくれ…

ファルケ

どうした?

わ、私、入団するとは一言も言っていないのだが…

何をするかもわからないし…

ベル

ふーん?

ベル

簡単だよ。他の人を精神的に追い詰めるの

は?

ベル

…聞こえなかった?
仕事対象にバレないように、仕事対象を追い詰める。それが仕事だよ

いやいや…何を言ってる?

ベル

あ、聞こえてたんだ。良かったぁ

ベル

えっと、詳しい説明が必要?

いやいやいや、どんな事情があるにせよ…

道徳的に追い詰めるのはダメだろ

ベル

まっとも〜!

ベル

まぁまぁ、私の話を聞いてよ

……

ベル

君はさ、今見られてる…って、感じてる?

それは……幽霊的な意味か?

ベル

そんなんに見られるのは嫌だなぁ

ベル

そうじゃなくて、私達を今現在見てる人のことだよ

………ファルケ?

ファルケ

違う

そ、即答…

ベル

ファルケでも、幽霊でもない。

ベル

いや、私達から見て透明だし、幽霊なのかな?

何を言ってる?

ベル

私達はね?その透明な奴らに見られてる

ベル

見られないと生きていけないんだよ

……シュウキョウと言う奴か?

ベル

ん…それはさ、神様に見放されると不幸が舞い降りる、幸福になれない。とかでしょ?

ベル

私達は、もっと酷いんだよ。

ベル

だって、見られてないとその部分は消滅しちゃう

ベル

…本ッ当に偶に、引っ張り出してくれるけど…基本的には、消えたまま

…どゆこと?

ベル

…うふふ。ごめんね、君「は」わからないよね

ベル

簡単に言うよ。この世界はシャボン玉

ベル

シャボン玉…世界は最終的に消えるけど、消えないように、ほんの少しだけ長持ちするようにもできる

…その長持ちする方法が、人を追い詰めること?

ベル

うん。トロッコ問題みたいな物かな

ベル

六兆人の顔も知らない人と、三人の顔も知らない人

ベル

中には、自分が選んだ事でコロした…って自覚してしまうから、何もしないって人も居るだろうけど…

ベル

私達は、六兆人の人々を助ける事にしたんだよ

……でも

ベル

君は、目の前でシにそうな人々を見ゴロしにするの?

それは……

ベル

…それに、君は元の世界で自害したよね?

ッ!?

ベル

私は、やろうと思えば君を元の場所に戻せる。

ベル

…戻った所で、君に何かできるワケでも無いし…早ジにするだけだね

ベル

さぁ、選べ。時間が無いんだ

ベル

今ここで、入団するか

ベル

入団せず、このまま自害するか

私は……

………

ベル

………ごー

!?

ベル

よーん

雫は思考を巡らせる

これはどうするのが正解だ?

私がここで断っても、また被害が出る…

ベル

さーん

嫌、自分が断らずとも他に被害が行くのか

ならば、ここでの最善の策は入団せずに自害するか…? どうせ、誰の役にも立てなかったのだから…

ベル

にー

…いや。一旦入団して他に被害が行く時間を送らせるのが、一番良い策か…?

ベル

いーち

決まった

ベル

遅い。結局どうするの?

…入団する

ベル

……へえ

ベル

良かった良かった。
肩の荷が下りたよ

大丈夫だ。 少しの間入団しておけば、その間は何も被害が出ない

仕事の時にでもシぬか、普通に自害すれば、他に被害が出るのを遅れさせる事ができる

ベル

さ、ファルケ。

ふと、雫はファルケの姿が視界内にいない事を認識する

ベル

やれ

突如、雫の背中に強い痛みが走った

ガッァ…!?

ファルケ

…すまぬ。我慢しろ

ファルケは、ベルと雫が長々と話していた間、 雫の背後に回っていたようだ

雫は、体内にて何かを掴まれた気がする。

ベル

君の病気と頭の治療だよ。
荒業だけど、これが一番速いんだ

ファルケ

……すぐに済ませる。だから、耐えろ

ファルケは何かを雫の身体から引きずり出す

それと同時に、雫は床へと倒れてしまった

ファルケ

……

ファルケは、雫から引きずり出した"魂" それを、少しの間見つめた後、雫の身体に戻した

ベル

………え、もう終わったん?

ファルケ

あぁ

ベル

速いなぁ…雫、これ生きてるん?

ファルケ

生きてるぞ

ベル

君の能力は君の能力で、謎だらけだねー

ファルケ

そうか

ベル

そうだよ………とりあえず、雫は帰ってから治療する。
ファルケも帰ったら休んでなよ

ファルケ

あぁ。

ベル

……あ、そう言えば

ファルケ

何だ

ベル

雫ちゃんに新しい名前は着けたの?

ベル

雫って名前をそのまま着けたら記憶が戻るかも…

ファルケ

名前は着けた

ベル

どんなの?

ファルケ

イービル。ビレイアト・イービルだ。

イービルは、目を薄く開く

イービル

…ぅ…

ベル

あ、起きた?おはよ

イービル

……ここは…

ベル

拠点。庭はともかく外には出ない方が良いよ

イービル

そ、そうか…

ベル

うん。

ベル

……体調は大丈夫そ?

イービル

あぁ

ベル

良かったぁ…

イービル

…そう言えば。ファルケはどうした?

ベル

ファルケは、外に…庭に居るよ。会いに行ってみたら?

イービル

わかった…

ファルケ

………

ファルケは、ベンチに座っていた 何処か眠そうにしている

イービル

ファルケー?

ファルケ

ファルケ

ん?ど、どうした?

ファルケは一瞬息詰まる

イービル

ファルケ、お疲れ気味か?

ファルケ

……あ、あぁ

イービル

…大丈夫か?無理したんじゃ無いだろうな?

ファルケ

大丈夫だ……

イービル

…良かった。

イービル

………なぁ

ファルケ

ん?

イービル

なんだか、昔の事を思い出せないんだ。
思い出そうとすれば、頭にモヤがかかって……

イービル

私も、疲れてるのかもな

ファルケ

……

それは、ファルケが雫の記憶を無理に改変したからだ。

ファルケの能力は、「魂を取り出して使役…つまり従わせる事ができる」と言うだけで、記憶を司る脳までは上手く操れない

その為、時間が経てばファルケとベルの行いがイービルにバレてしまうのだ

…そうならない為、雫が思い出さない様に

ファルケ

一応、自分の頭を能力で抑えたらどうだ

イービル

抑える?

ファルケ

あぁ。否、切り捨てると言うのが良いか

ファルケ

モヤっとする所を全部切り落せば、楽になると思うぞ

イービル

ん……わかった

イービルはそのまま、一度目を瞑り、自信の手を頭に寄せた

イービル

…………

ファルケ

……………

イービル

…ありがとう。少し楽になったよ

ファルケ

…そうか

イービル

じゃあ、私はリフレッシュしに本でも読んでくるよ。

イービル

お前もゆっくり休むんだぞ

ファルケは、そう言って歩き去るイービルの後ろ姿を見ながら、小さな声で呟いた

ファルケ

……すまない。本当に
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