第一章 ①前世
暗い、暗い。 寒い、寒い。
こわい。
助けて。誰か、戦争を
終わらせて。
大体の国民がそう思っているだろう。 これ以上、死人を増やしたくない。 ーだが、戦争を望むものもいた。 ある日、原子爆弾が広島に落ちた。 私は目を見開いた。それはもう、
地獄絵図のようだった。
血に染まったように赤い空。ヴーヴーとなる空襲のサイレン。 手や足さえもがドロドロになっていた。 私は唖然とした。手足がガクガクになっていた。 腕に火傷を負った。重症だ。 でも動ける。歩ける。走れる。 走った。走って、走って、走った。
あおい
と。 川を目指して。 10km以上は走っただろうか。 これ以上ないほどに血が溢れる。走っている間、色々な人を見た。 ー顔を火傷し、目もドロドロになっている人。 ー背中を抑えて、川に向かって走る人。 ー子供を抱いて守りながら走る人。 ー灰になって散った人。 ー木の下で影になってなくなった人。 私は、みんなよりは軽傷だった。 …いや、 他の人が重傷すぎるんだ。 なぜ、望んでもいないのに戦争をするの? なんのため?土地のため?権力のため?
ーそんなの、「国民のことを考えて行動している」とはそうそう思えないー
考えながら走っていると、足がもつれて、倒れてしまった。
あおい
あおい
そうして、意識は途絶えた。
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ううう!