また、この夢だ
暗い
何も見えない
怖い、暗闇が
小さい頃から暗闇が苦手だった
理由は特にないけど、本能的に恐怖を感じる
息が少し苦しくなる
???
ぐすっ、うっ……ひぐっ…
少し遠くで、誰かが泣いている
泣かないでって言っても、泣きやんでくれなくて
そばに寄り添おうとしたら、見えない壁に拒絶されてしまう
なんとも言えない気持ちになる
あの子に寄り添いたいのに、見えない壁が私を通してくれない
やえ
ねぇ、どうして泣いてるの?
………
???
知らなくていい…知ったらきっと、後悔するから。
やえ
後悔?それって一体─
トーマ
やえお嬢!目が覚めたんだね…
やえ
トーマお兄ちゃん、どうしたの?
トーマ
今日は旅人が来る日…もそうだけど!
すごく魘されてたから…
すごく魘されてたから…
試しに顔を触ってみると、汗がびっしょりついていた
やえ
……そうみたい
トーマ
ほら、タオル。それと、旅人は今こっちに向かってるらしいから準備もしておいて。
やえ
うん、ありがとう。
トーマお兄ちゃんはそう言うと、部屋から出て行った
たぶんいろいろ忙しいんだろうな
やえ
…それにしても、あの悪夢何なんだろう
トーマお兄ちゃんに貰ったタオルで顔を拭きながら考えた
やえ
あの泣いてる子は暗くてよく見えないし、それに…
あの吸い込まれそうな暗闇を思い出す
やえ
っ…
無意識に体が震えてしまった
やえ
楽しいことを考えよう…今日は待ちに待った旅人さんに会える日!しっかりしないとね。
そして数時間後…
やえ
いよいよだ…
私は、部屋の中で正座しながら旅人さんを待っていた
どんな人なのかを想像するうちに、足音が聞こえる
トーマ
やえお嬢、旅人が来てくれたよ。
息を少し吸って、吐く
パイモン
こんにちはー!
蛍
こんにちは。
二人の声に、私はゆっくりと振り返った
トーマ
じゃあ、三人でゆっくり話して。俺は外にいるから。
やえ
ありがとう、トーマお兄ちゃん。
改めて、姿勢を正して旅人さんとパイモンさんに向き直る
やえ
はじめまして、神里やえです。