テラーノベル
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若井滉斗side.
元貴が飛び降りてから、俺と涼ちゃんは毎日のように元貴のいる病院に向かった
面会開始時間から、面会終了時刻ギリギリまで、
涼ちゃんと二人で元貴に沢山話しかけた
電車から見えた不思議な雲の形のこと
涼ちゃんが通ると必ず吠える犬のこと
俺が何もない段差で転んだこと
スタッフさんがメールでものすごい誤字をしたこと
新しくできたイタリアンのお店のこと
いつのまにか咲いていた綺麗な花のこと
元貴が、楽しくなるような話題を振って
いつか、目を覚ましてくれるのを願って。
でも、
元貴は一向に意識を戻さなかった
飛び降りた時、頭を強く打っていたらしい
お医者さんからは 「もう一生このままかもしれない」 と告げられた
このまま死んでしまうか
一生意識が戻らないままか、と
そう真顔で告げるお医者さんに
「駄目だ!」 と泣き喚いたけれど、お医者さんは黙って首を横に振るだけだった
あの夜、元貴に何があったんだろう
なんであの時、俺に頼ってくれなかったんだろう
元貴、「大丈夫」て言ったじゃん
「大丈夫」って、言ったじゃん
ねえ、
何勝手に、飛び降りてんの
なんで、頼ってくれなかったの
ぽつぽつと、手のひらに涙が溢れてくる
タクシーに揺られながら、俺は手の甲で涙を拭いた
元貴、いい加減、目、覚ましてよ…
スタッフさんも、マネージャーさんも待ってるよ
毎日『大森さんの調子はどうですか』って、メッセージ、くれるよ
JAMSだって待ってるよ ミセスを好きでいてくれる人だって待ってるよ
まだ世間には元貴のこと、言ってないけど
『最近音沙汰ないから心配』 って、心配してくれてる
涼ちゃんだって待ってるよ
毎日毎日会うたびに目の隈は濃くなって
なのに目元は赤く腫らして。
でも元貴が不安にならないように笑顔で、
会いにきてくれてるよ
俺だって、待ってる
面会が終わっても元貴のことずっと考えてる
意識が早く戻れって、思ってる
元貴、待ってる人、沢山いる
元貴が今まで救ってきた人の分、
みんな、元貴を待ってる
だから、早く、目、覚まして
ーーー
いつものようにタクシーを降りて病院に入る
長い廊下を歩いて元貴のいる病室へ
今日こそ、元貴の意識が戻るといいな
Hrt.
そう言いながら病室のドアを開けると
Mtk.
ベットの上で首だけをこっちに向けている元貴が居た
Hrt.
声にならない掠れた声が俺の口から漏れ出る
あれだけ意識を取り戻さなかった元貴が、急に意識を取り戻すなんて
足がよろけながらも元貴の方へ一歩踏み出す
声にならない分
今まで抱きしめられなかった分
待ってたよと伝えたくて
力一杯抱きしめたくて
元貴の方へ駆け寄った
すると、元貴の顔が曇り、元貴の眉が顰められた
Mtk.
こんにちは
♡1000ありがとうございます 感想も…すっごい嬉しいです
この作品も♡&💬よろしくお願いします
それではまた、
コメント
8件
ぬぅー(泣)もっくん〜続きが気になりすぎる…。
うわぁぁぁ!!、ひろぱと涼ちゃんの喪失感が半端ない。 この先がまじ楽しみすぎる
大森さんが起きるように明るい話題を出してくれていた若井さんが儚く見える、、 記憶喪失…、誰も報われないのがまじで泣ける😭😭でも私にはとてもぶっ刺さりますヮ。