明日うちの夜が明けるまで

🐇ちゃん心情

効果音等

ピピピ　ピピピ

キーンコーンカーンコーン

タッタッタ

うちには悩みがある

それは幼馴染の悠佑、悠くんのことだ

彼は学校の人気者で、校外でバンド活動をしている

それゆえファンも多く、いつも周りに人がいる

対してうちは引っ込み思案で、友達も隣にいるいむちゃんくらい

だからそんなうちが悠くんの幼馴染というのを嫌がる人たちがいた

そしてそんな人たちの目線が嫌で、悠くんを避けるようになった

また堂々と話をしたいけど、自分の性格ゆえかそれができない

やから、そんな自分が嫌やった

うちの親友、いむちゃんは悠くんと一緒にバンドを組んでいる

そのためよくライブに誘われるが、そのたびにうちは断っている

理由は二つ、視線がこわいのと

キラキラしてる悠くんたちを見たくないからだ

自分があまり好きやないうちでも好きなことはある

それは好きな曲でオリジナルのラップを作ること

この時間だけは全てを忘れていられる

～翌日～

分かってる、いむちゃんに言われたことは正しい

うちは、悠くんに会いたくないんや

視線どうこうと言うより、キラキラしてる悠くんを見たくない

見たら今の暗い自分が、もっと嫌いになってまうから

完全に・・八つ当たりだ

「変わろうとしなきゃ、だめだよ」

また、断ってええの？

また、逃げるの？

また、変わろうとしないの？

・・・いやや

今の自分を変えるため・・・

～翌日　十二時　賽子通り～

その瞬間、明るくて重い音が響いた

すごかった

昔とは比べ物にならないくらいの歌唱力

楽器を弾きながら歌えること

おそらくアレンジしたであろう音、その余裕さ

全てがキラキラしているように思った

一度行ったら案外単純なもので

その日からうちは、よくライブに行くようになった

段々と、その曲が好きになって

歌詞を知りたがったり

あれほど関わらないでいた悠くんとも少しずつ会話していた

～何度目かのライブの日～

～翌日～

～放課後～

なにこれ・・

どうしよう・・

うち、舞台に立つとか無理や、絶対！

しかもラップやって・・うちより上手い人沢山おるし・・

できるわけ・・

・・・でも

うち・・場違いやない？

やっぱ・・うち場違いやない？！

みんなうますぎるやん！こんな中うちの拙いラップなんかできひんよ！

あ、次や・・

ええい！もうどうにでもなれ！

大好きなラップでダメ出しを喰らって

なかなかダメージが回復しない

楽器も弾けへんし、キャラも暗い

唯一できるのはラップだけやったのに・・

どうすれば嫌いにならずにいられるん？

分からん・・もう・・

～一週間後～

ガバッ

あぁ・・楽しいな

「わーわー！」

ざわざわ・・

「夜明けの歌！」

おしまい