桃赤
『花言葉』
俺には幼なじみがいる
小さい頃からよく遊んでて
俺の隣はずっとあいつだった
けど
中学生になり
それぞれ友達が出来て、
話す回数が減っていった
高校も一緒だったが
お互いに興味はないらしく
ほとんど話すことは無かった
そんな君が
交通事故にあった
居眠り運転だってらしい
一命は取り留めたが
今は意識不明で
ずっと病院のベッドで寝ている
俺は、
お見舞いには全く行っていなかった
もうあいつには興味なんてなかった、し
めんどくさかった
けど親にしつこく言われ
これから花を買いに行くところだ
カランコロン…
桃
桃
桃
桃
事故から1ヶ月
担当医がこう言った
「この一週間で、赤さんが起きなかったら」
「もう…、」
その時、目の前が真っ暗になった
あいつのことなんて、興味無いはずなのに
失いたくなかった
俺のたった1人の幼なじみ
生意気で
猫かぶりで
かまちょで
でも
かわいくて
人一倍頑張り屋で
すっごく優しくて
…
それから俺は
毎日赤の病室に通った
ベッドに横たわる赤を見ながら
ただ微笑んでいた
けれど
赤が微笑み返してくれることはなかった
ついに日曜日が来てしまった
赤の体はどんどん冷たくなってゆく
俺は赤の手をぎゅっと握り締め
泣きながら言った
桃
桃
桃
すると
赤がうっすらと目を開け
今にも消えそうな声で
俺の目を見て言った
赤
赤
ピーーーーー
静かな病室に響くのは
機械音だけだった
スイートピー
『私を忘れないで』
花言葉ハマった
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