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けぺ
けぺ
どのくらい眠っていたのか、部屋の家具はベッドとライトを残した全て取り払われていた
部屋の中央で窓を背に椅子に座らされ、麻縄で固定されている
そのため窓を見ることはできないがこの暗さから推察するに夜なのか、はたまた……窓は無くなったか
ギフン
首が酷く痛む
ギィ……
扉も金属製の重厚なものになっている
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
1歩、近付く
ヨンイル
そこから今までがどんなに大切にされていたかを嫌というほど理解することになった
……朝が来たらしい。ヨンイルさんに揺り起こされる
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
前提として、ご飯は全て流動食になった
喉に詰まらせて死ぬかもしれないと危惧した結果らしい
追加で最近、頭が回らなくなってきたような気がする
もしかしたら……この流動食にはキャビネットの薬が…考えすぎだ
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
恐怖で俯いたまま動けない。
ヨンイル
トレーに乗っていた水の入ったコップを拾い、それを目の前で飲み干した
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
頭を優しく撫でられる
ヨンイル
ヨンイル
目の前に紙が差し出される
何度目か分からない朗読に、紙を見なくても答えられるほどになっていた
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
そう言って背に回り、手の拘束が解かれた
それでもヨンイルさんは常に監視しているため、特段できることもない
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
再度手を拘束される
ヨンイル
ヨンイル
朦朧とする意識が焦りで覚醒する
ギフン
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
椅子の背もたれを引きずられ、部屋を出る
ギフン
「悪いこと」をしたら「再教育」される
それは当然のことだ
縛られたままクローゼットに閉じ込められ、30分経つまで出られない
これが「再教育」だった
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
クローゼットが開き、ヨンイルさんが頭を撫でる
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ず、と椅子が引きずられる
時計を盗み見ると、20:40だった
…先ほど朝ご飯を食べたはずだった
…最近ずっと眠っているような感覚だ
投与される薬が増やされたのか?
何も分からないし考えたくない
ただ漠然と、目の前の男からは逃げられないのだということだけを理解していた
もう……抵抗する気さえ起きない
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんに抱きしめられ、反射でその肩に頭を預ける
ヨンイル
ヨンイル
自分は何か喋っているような気がするが、何を言っているのか分からない
ただ、その言葉を聞いてヨンイルさんは嬉しかったようだ
ヨンイル
ギフン
「 」
ヨンイル
ヨンイルさんはハグをする形で手を後ろに回し、手の拘束をとってくれた
ヨンイル
ヨンイルさんが背後から何かを取りだし、跪いた
ギフン
ヨンイルさんの手に乗った小さい藍色の箱
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんの手が恭しくその箱を開ける
飾り気のない、小さな銀の指輪。
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんの息を飲む音が聞こえた
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
宙に浮いているような意識の奥底で、この指輪を受け取ってはいけないと叫んでいる
しかしその思考は、拒絶するに足らなかった……手も足も、何も動かない
ただ、ヨンイルさんの目……鋭く光る愛憎の瞳の前では頷くことしかできなかった
ヨンイル
ヨンイルさんが破顔した。それはここに監禁されて初めての「心からの笑顔」
そして、丁寧に、割れ物を扱うように、そっと指に輪をはめる
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんの温もりを全身で感じながら、はめられた指輪を眺めていた
その小さく鈍色に光る、所有物の証を。
けぺ
けぺ