チヤホヤBL

俺らはいつものように何十時間も電話をしていた。

いやここまできたら何も話すことが無くなってきて困る。俺も忙しいし。

通話相手は勿論コイツ。「チーやん」。

The・めんどくさいタイプの男。

なんてことを考えているとチーやんが突然大声を出した。

軽く鼓膜が破れるくらいにうるさい。

俺はチーやんのボケ？を適当にどんどん流していった。聞いてても意味ないし。

こいつ、好きな人とかいたんだ。 …まあ、俺はどうでもいいけど。

でも「いる」なんて言われたら少し気になって来たので色々質問してみた。

チーやんは少し間をおいてから俺の名前を呼んだ。

さっきとは打って変わって、落ち着いた声。この声を聞くのは初めてのようで、初めての感覚ではなかった。

チーやんは意味の分からないことを言ってきた。誰が？誰に？？

…俺が、チーやんに？？？

……そんなわけ、ないだろ。

…ない？

もしかしたら、無意識のうちにしていたのかもしれない。

ホーやんの好きな人が誰か気になった。 すごく、寂しかった気がした。

俺はほんとに微かな…今すぐにも消えそうな声で、そう伝えた。

まあ、声量が少なかったし、聞こえないとも思うけど。

そうやってチーやんは駄々をこね始めた。

まあそれはいつものことだから、どうでもいいんだけど…

今回は少し違う。

チーやんはさっきより少し声量を落としながらこういった。

いやそれどころじゃねぇ。

てか…え？

チーやんは平然としていた。

まるで当たり前かのようだった。

どうしてそんなに冷静でいられるのか分からない。

正直自分でも分からない。

チーやんのことは勿論信頼している。

俺の唯一の友達と言っても過言ではない。

でもチーやんは俺と違って「陽」側の人間だから…俺とは釣り合わないんじゃないか…？

しかも、俺、彼女いたことないぞ…。 初めて付き合う相手がチーやん…？

でもここで振ったとしても、もう前の関係には戻れない気がする… まあOKしたとしてもそうなるか。

危ない。完全にあいつのペースに飲み込まれるところだった…。

電話の奥から鼻をすする音が聞こえた。 相当…俺と付き合えて嬉しいのか。

なんか、変な感じ。

耳元で囁かれてるから…変にゾクゾクする。

…やっぱ。良く分からねー奴だな。こいつって。