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時差コメ失礼します、! 終わった瞬間に叫んでしまうくらい素敵な作品でした!✨️ ブクマ失礼します🙇♀️ (コメントが重複してしまっていたらごめんなさい)
昔から絵を描くことが好きだった
自分が何かすらも忘れて、自然の一部になって
人と関わることなく、自然と僕だけの空間で
手元のスケッチブックにペンを走らせる
春、夏、秋、冬
四季それぞれで違う表情を見せるその森は、僕にとって何よりの宝物だった
ある夏の終わり、はしゃいで帰る小学生達を横目に赤信号を待ちながら、
いつものように、足は自然とあの森へ向かおうとしていた
今日はなんの絵を描こう、どんな絵の具を使って、どんな絵を描こう
なんて遠くを眺めながら思考を巡らせていたとき、
ふと視界にさらさらとした綺麗な桃色の髪が映った
桃
声に釣られてそちらを見れば、深い瑠璃色の目がこちらを覗き込んでいた
桃
そう微笑む顔は綺麗に整っていて、どこか子供のような無邪気さがあった
桃
桃
そう言って彼はもう一度微笑む
「見覚えがある」なんて言われたって、こっちからしたら全くの他人だ
そのタイミングで信号が青く点滅し、並んで歩き出す
桃
青
桃
青
桃
桃
青
桃
桃
青
桃
桃
僕の名前を知れてそんなに嬉しかったのか、
僕の名前を呟きながら、口角を緩めている
桃
青
桃
家はこっち方向では全くない。
むしろ正反対
もちろん目的はあの森だが、他人にあの場所を知られるのはあまり好かない
桃
青
僕が言わずとも察してくれたため、少し大袈裟に首を縦に振って見せる
桃
桃
桃
青
桃
僕が黙り込むと、さとみくんは眉を下げて急に弱気になる
分かりやす...w
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
謝ろうとすると、急にさとみくんにほっぺたを引っ張られる
あまりに突然のことで、頭が追いついていない
桃
青
同い年とはいえ初対面の相手だ
敬語を使うのが当たり前、じゃないの...?
とは言っても、
生まれてこの方、いわゆる「スケッチブックが友達」の生活をしてきたから
人間関係、友達関係の知識はほぼ全くない
桃
青
桃
そこから、さとみくんと色々な話をしながら進むと
ちょっとした住宅街のようなところに着いた
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
普段なら断るところだった
いや、そもそも一緒に帰るような友達なんていないんだけど。
だけど不思議と、この人なら、
さとみくんならいいや、なんて考えて、自然と口が動いていた
青
桃
桃
さとみくんの感嘆の声を耳に入れつつ、いつも通りはしごを登る
そして上で、カバンからスケッチブックを取り出し、開く
桃
青
桃
青
桃
桃
自然と声が漏れる
下から見回しても本当に綺麗だったが、上から見下ろすように目を動かすと、
下からの景色と比べて、いや、下の景色とは比べものにならないほど、
現実なんて思えないくらいに綺麗だった
青
青
そうころんは呟くと、愛おしそうに目元を緩めた
すごく儚くて、
触れたら、この場所ごと消えてしまいそうだった
青
そんなことを考えている内に、ころんはスケッチブックにペンを走らせる
鉛筆の滑る音が、不思議なくらいこの景色と溶け合っていた
桃
青
桃
青
俺が質問を投げかけると、昔を懐かしむように空を見上げた
青
青
青
桃
青
青
青
青
青
桃
桃
青
『はい、』と手渡されたスケッチブックを開いた瞬間、一気に視界が彩られた
1ページ目に乗っていたのは当たり前かのようにこの森。
一概にこの色、とは言えない複雑な色が折り混ざってできている
青
桃
青
気付かぬ内に、この絵に呑み込まれていたようだ
いや、この絵の世界に入り込んだ、の方がしっくりくるか
桃
青
青
ころんは顔を赤らめてそう呟く
青
桃
青
桃
青
青
桃
全く違和感があるようには見えない。
絵の具の良さを引き立てているいい色だと思うんだけど、
青
青
うん、うん...?ちょっと待て...
ころんが日本語を話してるのは分かるんだが、
呪文にしか聞こえねぇ...
桃
青
桃
青
青
青
俺が一旦話にストップをかけると、一瞬ぽかんとしたころんは、
次の瞬間、あんなに乗り出していた身を引き下を向いてしまう
忙しい奴だな
やっぱり表現性が豊かな人は表情、感情も豊かなんだろうか?
桃
青
桃
青
桃
青
桃
それからは、絵を描くころんの姿を眺めていた
お互いに口を開くことはなかったが、居心地の悪さは全く感じなかった
桃
青
桃
青
青
桃
桃
青
青
青
桃
青
青
桃
桃
青
彼と別れ、角を曲がったところで自分の頬に手を当て駆け出す
青
青
青
ふと何か引っかかった僕は、忙しく動いていた足を止める
青
青
青
昔から絵に没頭してきたから、人との関わり方をよく知らない
こういうとき、昔から人と関わっていればよかったと後悔する
青
さっきまであんなに元気だった足を引きずり、その日はとぼとぼと家に帰った
次の日の朝、いつも通りを過ごし学校に到着した
青
はずだったんだけど...
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
青
桃
桃
青
気付けば階段も上って、僕の教室の前だった
でも、なぜか教室に入りたくなくてその場に立ち尽くす
桃
青
桃
青
青
桃
青
自分の席につくと、ノートと問題集を広げペンを走らせる
放課後はずっと絵を描く時間に当てているし、これが唯一の自習時間
絵を描くときのように、自分の世界に入りきって無心で問題を解いていく
あまり勉強は好きな方ではないが、静かな教室で一人集中するのは
とても心地が良かった
< はよー!!!w
< お前今日来んのはええじゃん!!
しばらく経って、何人かの話し声で意識が引き戻される
ちらりと時計を見上げると8時ちょうど
段々と校舎に人が増えていく時間帯に差し掛かっていた
ノートと問題集を閉じ、カバンに戻す
そのまま、特にやることもないため机に突っ伏した
午前の授業が終わり昼休み
普段なら一人でぱぱっと昼食を済ませるところが、今日は客がいた
桃
朝とは違い、ねちっこい口調で僕の名前を呼びながら教室に入って来る
< おーさとみ!
桃
< きゃぁぁ!!さとみくん!!
誰かの声を合図に女子から黄色い声が上がる
さとみくんこんな人気者なのかよ...
まあ顔整っててかっこいいしなぁ...
青
なんか、...っ?
桃
ふと我にかえるとさとみくんの顔がすぐ近くにあった
青
桃
青
青
桃
青
桃
青
さとみくんが、急に子猫のような甘える目をする
これ断れる人いるのか...?
青
桃
桃
青
桃
青
屋上と聞くと陽キャが集う場所、みたいな偏見があって気が引ける
桃
青
ガチャッ
桃
黄
さとみくんがドアを開けると、3人ほどの人が目に入った
黄色い髪の人が、頬を膨らませやんわりとさとみくんを叱る
桃
赤
今度は赤い髪の可愛らしい子が声を上げる
青
赤
赤
そして僕の方に駆け寄ってくると名前を確認される
青
青
赤
赤
青
昨日出会ったばかりの人の...?
桃
赤
「りいぬ」と呼ばれたその子は、さとみくんを無視して笑う
青
赤
赤
青
僕が首を大袈裟に縦に振ると、莉犬くんはきゃははっと可愛い笑い声を上げる
赤
黄
黄
黄色い髪の子が、少したどたどしく自己紹介をする
声に聞き覚えがあると思ったらそういうことか
青
黄
赤
青
赤
青
赤
青
赤
莉犬くんの喜ぶ声をかき消す様に、ドアが乱暴に開く
ドアの前に立っていたのはオレンジ髪の背の高い人
橙
赤
黄
橙
青
黄
青
自己紹介のときから豹変したるぅとくんに動揺を隠せなかった
ぴんと張った大きな声
僕には出せそうもない
多分
青
橙
青
橙
青
橙
橙
青
赤
橙
赤
橙
桃
黄
赤
黄
桃
橙
青
誰かと弁当を食べるのは初めてだった
4人の色んな話を聞いた
今までにあったおもしろエピソードや、さとみくん暴露会
久々に声を上げて笑った
その日から、ほぼ毎日5人で食べるようになった
毎日話す内にどんどん仲良くなっていって、休日も遊びに行くようになった
それでも、毎日の放課後の特別な時間は絶対になくならなかった
桃
青
桃
青
赤
青
桃
赤
橙
どれだけ3人と仲良くなっても、僕とさとみくんだけの秘密の場所だった
さとみくん達と出会って約1年弱
夏の終わりが近付く涼しい日だった
その日も、いつものようにさとみくんの横で絵を描いていた
けれど、今日は居心地が良くない
さとみくんに伝えなければいけないことがあるから。
桃
青
桃
青
桃
桃
青
青
桃
青
青
桃
青
桃
桃
青
桃
青
青
桃
涙で顔をぼろぼろにしながら話す僕の背中を
さとみくんが強く優しく擦ってくれる
その日は飛行機雲が1本だけかかった綺麗な青空が広がっていて
神様は意地悪だ、なんて理不尽なことを考えた
その内学校でも、先生からの通告がなされた
僕自身、また涙が溢れた
想像もしていなかった
生まれてこの方、ずっとこの町で暮らしてきたのに
それから、さとみくんと話さなくなった
お互いにどう接したらいいのか分からなかったから。
いつものように、毎日莉犬君たちと昼休みを過ごしていたけれど、
そのいつも通りにさとみくんだけがいなかった
そんな状態のまま時が流れ、引っ越しの前日になってしまった
ぬいぐるみ、今までに使ってきたスケッチブック、写真...
色々なもので散らかっていた部屋は、いつの間にか物がなくなって
板の間の上に大量のダンボールが並ぶ殺風景へと一変した
それが自分の心を表しているようで、部屋にいるだけで目頭が熱くなった
足りない
何かが、いや、
何も足りない
絵を描くことが僕の全てだった
さとみくんの隣で、
いつもの森で、僕らだけの秘密基地で
他愛無い話をしながら、
時には静寂の中
空が暗くなるまで
コンコンッ
青
< ころん〜?お友達が来てるわよ?
ノック音に続くように、ドア越しにお母さんの声が聞こえる
友達...莉犬くんたちのことだろう
いや、むしろ友達と呼べる関係なんてあの4人しかいない
ガチャッ
青
赤
玄関の扉を開けると、まあ案の定そこに立っていたのは4人
莉犬くんを先頭にみんな僕のことを見ていた
"さとみくんを除いて"
青
青
赤
赤
赤・黄・橙
青
黄
青
橙
赤
橙
赤
青
赤
青
黄
赤
青
青
黄
橙
黄
赤
青
赤
青
橙
青
桃
みんなと話しつつ、ちらちらとさとみくんのことを見るが、
目を合わせるどころかこっちを見てくれる素振りすらない
それに気付いたのか、ジェルくんが軽くさとみくんの腕を叩いてくれたが、
ジェルくんに視線を向けるだけで、僕のことは見ようともしなかった
後半は、もう諦めた...というより
明日来れないからって、わざわざ今日来てくれた2人に申し訳ないと思って
さとみくんを見ることをやめた
しばらくして、玄関は静寂に包まれた
もう見えなくなったみんなの背中をずっと見つめていた
みんな、というよりさとみくん、の方が正しいんだろうか
彼が帰ってしまってから後悔した
僕から話しかければ、ちゃんと会話に入ってくれたんじゃないか
また毎日の昼休みのように愉快な笑い声を聞かせてくれたんじゃないか
放課後のように柔らかな優しい笑顔を見せてくれたんじゃないか
青
遅すぎた僕の声は、全てが真っ赤に染まった夕日の空に溶けていった
その後は後悔と自分自身への憎悪で頭がいっぱいで、
気付いたら寝袋の上で朝を迎えていた
鏡の前に立つと、さも当たり前かのように僕の目はぱんぱんに腫れていた
しかも、腫れた目の下に、毒々しい色をしたクマができていた
きっと、寝ずにずっと泣いていたんだろう
自分で見ても本当に酷過ぎる顔をしていた
そのままリビングに直行し、ソファに身を任せてボーッとしていると、
ピーンポーン
チャイムの音で意識を戻される
こんな顔で人と会いたくないが、今は家に僕しかいないため渋々立ち上がった
ガチャッ
青
玄関の扉を開けた途端、見慣れた瑠璃色の目と視線が交わった
グイッ
青
かと思えば、今度は急に腕を引っ張られる
特にこれといって腕を掴む手を振り払う理由もなく、大人しく足を動かす
が、手の主は普段の面影が全く無く、少し怖かった
引っ張られて歩くその道には見覚えがあった
見覚えがあるどころか、見慣れたいつもの風景だった
青
辿り着いた先は、もちろんあの森
前を歩く人も、僕も揃って足を止めた
僕はここまで来たらもういいだろう、と思って口を開く
青
青
桃
名前を呼ぶと、さとみくんは振り返って僕の目を見た
もう一度群青色の目が僕の目に映る
普段のさとみくんからは想像もつかない、感情を読み取れない顔をしている
...と思った途端、急にさとみくんの眉が下がる
困ったような表情をしていた
もしかして、
青
桃
さとみくんは一瞬目を見開くと、下を向いてしまった
青
桃
青
青
桃
桃
青
あぁ、やっぱり
青
"この人"はすごい
桃
青
桃
桃
青
青
桃
青
桃
青
桃
青
やっぱりこの時間が人生で一番好きだ
一番大切な場所で、一番大切な人と過ごすこの時間が
桃
青
桃
桃
青
さとみくんと、いつものような他愛の無い話をした
この一瞬だけ引っ越しのことなんて全部忘れて
青
桃
青
桃
青
青
桃
桃
ブロロロ...
しばらくして、遠くの方から車の音が聞こえてきた
おそらく引っ越し業者のトラックだろう
静まり返った田舎とはいえど、乗用車の音が聞こえてくるほどではない
青
桃
青
桃
青
桃
桃
青
桃
桃
青
青
桃
桃
青
桃
桃
青
赤
家に近寄ると、こちらに気付いた莉犬くんが駆け寄ってきた
青
桃
赤
桃
赤
青
桃
青母
3人で話していると、助手席の扉を開けながらの母に声をかけられる
青
青
青
赤
青
桃
青
青
桃
青
リュックから引っ張り出したそれを、さとみくんに突き出す
桃
赤
青
桃
青
桃
青
青
桃
桃
青
青
車のドアを開け、中に乗り込む
すぐに窓を下げて上を見ると、僕のことを見下ろす2人が目に入った
莉犬くんと、また5人で遊ぶ約束をした
さとみくんと、最後にまた笑い合えた
絶対にまた帰ってくるって、約束した
もう、悔いはない
青
桃
車が軽く縦に揺れ、少しずつさとみくんとの距離が開く
どんどん景色の動くスピードが速くなっていく
母に「危ないわよ」なんて言われながら、窓から身を乗り出し後ろに手を振る
もう小さくなった2人が手を振り返してくれているのが目に入った
...
青
夢かと思った
太陽の光に照らされて、さとみくんの目の端が光る
莉犬くんに突かれる彼のそれは、紛れもなく涙だった
さとみくんと出会ってこの方ずっと使ってきた、
僕達の物語をずっと見守ってきたスケッチブック
物語がもう一度動き出すまでは
物語の始まりだった君に持っていて欲しい
拝啓、瑠璃色の目の君へ
あれから4年の時が過ぎましたね
僕は都内の大学に進級して、プロへの道を歩み始めました
君のおかげで、人付き合いが上手くなったんじゃないかなと思います
君は今どこで何をしているんでしょう
今でも4人で遊びますか?
いつもの愉快な笑い声を響かせていますか?
僕のことを忘れないでいてくれていますか?
青
電車を降りて、無人改札を通り抜け、4年ぶりの地面に踏み込む
多少修復がなされているくらいで、これといって4年前と変わっていなかった
青
青
青
青
ここで君と出会ったんだっけ
同じ学年だよね?なんて突然話しかけてきて
今思えば、君はあのとき珍しく緊張してたね
あの頃の僕には素っ気ない返事しかできなかったけど
君に声をかけてもらえてとっても嬉しかったよ
最初は君の目の色の綺麗さに惹かれて
話していく内に優しさに惹かれて
気付いたら知らない感情が芽生えていたね
あぁ、変わっていない
新緑色の木々も、透き通った川も、
僕達が過ごした小屋も、小屋の木の匂いも
全てがあの頃のままだった
青
青
後1つだけ、残っている
あの頃と同じであって欲しいことが。
サクッ
青
草を踏む音が、静かな森の中に響いた──
拝啓、白群色の髪の君へ
日常から君がいなくなって4年くらいが経ちましたね
高校を卒業し、各々の目指した大学に進級した今でも、よく4人で集まります
4年が経った今も、君の名前はしょっちゅう話題に出てきます
君は向こうでも元気にやっていますか
また絵に没頭して独り、なんてことになっていませんか
あの森のこと、覚えていますか
俺のことを、忘れていませんか
その日も、いつも通りな生活を送っていた
桃
赤
橙
桃
赤
黄
橙
桃
赤
橙
桃
橙
赤
橙
黄
橙
桃
赤
橙
黄
赤
黄
橙
桃
君との出会いはここだったな
ここで赤信号を待つ度あの日のことを鮮明に思い出す
話したことはなかったが、髪色があまりにも綺麗で、強く印象に残っていた
あの日出会って、秘密を共有して
どんどん君に惹かれていった
俺にしか見たことがない、
俺しか知らない君が愛おしかった
大学の女子によく絡まれたり、好意を寄せられるが、
別に付き合う気もなければ興味すらもない
そんな理由なんて
簡単だよな
青
桃
桃
718タップ、38シーンお疲れ様でした
語彙力フル活用してめっっちゃくちゃ頑張ったので、 ハート沢山下さると嬉しいですモチベ上がりますᐢ ̥_ ̫ _ ̥ᐢ