これは、いつもより悲しい雨が降っていた時のお話
早見 翔
なんで...葵ちゃん...
早見 翔
髪飾り...壊れてる
母
翔...
母
もうすぐで救急車が来るわ、離れておきなさい...
早見 翔
やだよ...
早見 翔
これからもずっと一緒だよって言われたんだもん...
母
その蝶々の髪飾りを葵ちゃんだと思いなさい
きっと会いに来てくれるわよ
きっと会いに来てくれるわよ
早見 翔
ほんとに会えるの??
母
えぇ...会えるわよ
早見 翔
分かった...離れる
俺は、轢き逃げしていったあの人を許しはしなかった 今でも許していない 不幸が訪れますようにと願ってばっかです
そして、何年も経ったある日の雨
早見 翔
はぁ...だる...雨とかしんどいだけだろ
早見 翔
早く帰ろ
独り言を言いながら走っていると
俺の肩に青色の蝶が飛んできた
早見 翔
ん??蝶??
その蝶を見た瞬間、小さい頃俺と離ればなれになった 初恋の子を思い出した
早見 翔
葵...ちゃん...??
その時、その子の声が耳元で聞こえた
蒼風 葵
ずっと側に居るよ、翔くん
早見 翔
...
早見 翔
う゛ぅ゛...
声が聞こえた瞬間、涙が溢れた
早見 翔
葵ちゃん...俺、髪飾りずっと持ってるよ...
早見 翔
俺の宝物だからね...
蒼風 葵
ふふっほんとに??
また声が囁いた 涙がもっと溢れた
早見 翔
葵ちゃん、俺の幻覚かなぁ...葵ちゃんが見えるよ
蒼風 葵
私も、翔くんの事見えてるよ
蒼風 葵
私よりおっきくなったね
早見 翔
そりゃあな...
早見 翔
俺さ、まだ葵ちゃんが好きなんだよ
早見 翔
葵ちゃんは??
蒼風 葵
私も好きだよ
蒼風 葵
雨の時しか会えないけど、こうやって会えて嬉しい
早見 翔
俺も嬉しい
早見 翔
この髪飾りのおかげかな
蒼風 葵
その髪飾りが壊れたら、私と会えなくなるよ
早見 翔
絶対大切にする
早見 翔
だから、俺の側から離れないで
蒼風 葵
離れるわけないじゃん...
早見 翔
青色の蝶...葵ちゃんにそっくりだね
蒼風 葵
ふふっそうかな
早見 翔
ほんとに綺麗な髪だし綺麗な瞳だよ
蒼風 葵
私そんな難しい言葉わかんないよー
早見 翔
ははっ...そっか
蒼風 葵
もうすぐ、魔法消えちゃうね
蒼風 葵
また雨の日に会おうね、翔くん
早見 翔
うん、また雨の日にね
蒼風 葵
ばいばい
早見 翔
またね
俺は、高1になっても好きなままだった 続く___。