司
…あっ、あったぞ!紙だ!

類
内容は?

司
えっーと…

司
「野球拳をしないと出られない部屋」…??

類
ほう…?

司
…野球拳って、あの野球拳だよな?

類
司くん、知っているのかい?

司
まあ…フワッとな

類
…けれど、どうしていきなり野球拳なんだろうか

司
知らん、順序を踏んでいるのだろう順序を

類
順序、ってことは、次は一体…

司
次…?

類
…

司
…えっ!?

司
い、いやあまさかなあ!?

司
なわけないだろなわけ!!

類
司くん、君は一体何を想像しているのかな?

司
お前だって一緒だろ!!!

類
さあ?それは僕にしか分からない事だからねえ

司
お前なぁ…

類
ま、後のことはいいんだ

類
今をどうするか、考えなければね

司
どうするって…

司
するしかないんだろ?野球拳

類
…そうだね

類
しようか…

司
…何だこの地獄

類
まあまあ、そんなこと言わないで…楽しもうじゃないか

司
お前それ自分に言い聞かせてるのも入ってるだろ?

類
さあ?

司
…それで、ジャンケンだったよな?確か

類
ああ、そうだね

司
…よし、するか

類
それじゃあいくよ

司
ポン!

類
ポン

司
…

類
…司くん、お先に1枚どうぞ

司
…いいだろう

オレは制服のカーディガンを1枚としてその場で脱いだ
類
よし、次だ

司
おし、次は負けん…!!

類
──まあ、これで同点ってところだ

司
お前もオレと同じだなあ、類!

司
このままお前を服1枚と残さず全裸にしてやる!

類
司くん、僕になんの恨みが…!?

司
日頃散々オレを実験台として扱っているだろう!

類
って…よくそこまでも言い切れるねぇ、司くん

類
もしかしたら自分がそうなるかもしれないというのに

司
いいや…オレは勝つぞ!

司
何としてもな!

類
…まあいい、君がその気なら僕だって本気でいこうじゃないか

司
よし、いくぞ…

司
ぽん!

類
ポン

──そんな感じで、オレと類の戦いは結構長く続いていたと思う
司
──類、次は下着1枚だぞ〜?

類
司くんだって、どうせ次はシャツが犠牲になるのだろう?

類
そうしたら僕と一緒だ

類
そう思えば…いや、そう思わなくてもどうて事ないさ

司
いいや、次犠牲になるのはお前のズボンだぞ類??

類
よし…いくよ

司
──ま、負けたーーッ…!?!?

類
フフッ、司くん

類
僕とお揃いだね

司
全く嬉しくないわ!!

類
ほら、いつでもどうぞ

司
…ってな!類!!

類
…ん?

司
実はオレも中にTシャツを着ているんだ!!!

類
なっ…そうか

類
そういえばそうだったね、君も…

司
更衣室で同じになるくせに、覚えていなかったのか?

類
くっ…僕とした事が…

司
ハーッハッハッハ!風はまだオレに吹いている!

司
このまま勝利を勝ち取ってやろう!

類
へぇ…いいのかい?
そんなこと言って

類
司くん、負けた事には変わりないのだよ?

司
それでも今!お前が負けている事には変わりはない!

司
ほら次!

類
──ハイ、司くん

類
君が上裸になる時がとうとうやってきたよ

司
な、何を…全然構わんよ、オレは…!!

司
というかそもそも、下着1枚のヤツに言われたくないなぁ…!?

類
ほらほら司くん

司
…ええいっ!

類
おーっ

司
…よし、次だ…次だぞー!

類
なあに司くん、もしかして照れているのかい??

司
なっ!?

司
そんなわけないだろ!

司
お前だぞ!?

司
見られて恥ずかしがるだなんて…オレがそんなこと…

類
そうだよねえ?君が恥ずかしがる事なんて今一切ないよねえ?

司
うぐっ…

司
あ、ああもちろんだとも!

司
何ひとつとしてないな!!

司
うむ、ああ!

類
(分かりやすいなぁ、司くん…)

司
ほ、ほら!次だ次!

司
こ、これじゃあまるでお前と同じではないかッ…!!

このラストチャンス、
負ける訳にはぜっったいにいかん…
類
とうとう終わりの時がやってきたねぇ、司くん

類
意外に早かったかな?

司
長かったな!!

類
おや、そうかい?

司
くうう…これで負けては無事帰れたとて、今後ふつうに生きていける自信が…

類
なんだ、大袈裟だなあ

類
たかが裸だよ

類
しかも僕たちの仲だ

類
だろう?司くん

類
修学旅行だって一緒にお風呂入ったじゃないか

司
いや、あれは…

司
実はものすごく恥ずかしかった…!!!

司
…のだ

類
…へぇ、そうだったんだね

類
気付かなかったなあ

司
…??

司
なんなんだそのニヤけ顔は…気持ち悪いぞ

類
司くんってば冗談が通じないなあ〜

類
ほら、ラスト勝負といこうじゃないか

司
くっ…!そ、そうだな…決着をつける時が、今、ついに…!!

司
…よぉーし

司
ポン!

類
ぽん

司
──絶対か??

類
ああ、絶対だ

司
やり直すのは…??

類
出来ないねぇ

類
ほら、どうぞお好きなタイミングで脱いでくれたまえ

司
う、うぅ…

司
このオレが…まさか負けるとは…!!

司
途中までは勝ちを確信していたというのに、なのに…なのにどうして負けるんだーっ…!?

類
それがルールだよ司くん

司
そ、それじゃあ類…後ろ向いてろ!後ろ!

類
全くもう…相手は僕だよ?恥ずかしいのかい?

司
お前だからだ!!!!

司
早く!!

類
ハイハイ…

司
…オイ、一応脱いだが

司
鍵はもう開いているのか…?

類
ええっーと…

類
…ああ、開いているよ

類
それじゃあ司くん、次に──

司
あっ

類
あっ

司
…な、何故

司
何故うしろを向くのだバカヤロウーッ!!!!!!!

類
ちょっと…枕を投げつけるのは流石に酷いだろう?

司
は!?!?お前、本当に言っているのか!?!?

司
アホか!オイ!早く後ろを向け!今すぐに!!!!!

類
ああ分かったよ…

類
(司くん、この調子でこの先やっていけるのかなぁ…)

司
…ったく

司
…オマエって本当に経験無いんだな!!!

類
なんだい急に…

司
いいや、無いんだなーと思ってな!

司
当たり前だろ!あるわけが無い!

類
全く…一体どういう意味だい?それ…

司
…ほら、オレは着替えたぞ!!

司
お前も、いつまで下着1枚でいる気だ!!変態か!?いいや、変態だな!

類
何を…ちょっと見てしまっただけじゃないか

司
ガッツリな!ガッツリ!

類
全く…気にしすぎだよ司くんは

類
僕達の仲だよ、これくらいでつまずいているようじゃ…

司
これくらいとはなんだこれくらいとは!

類
それじゃあ司くん、次の部屋が…もし存在するならば、それを君はクリアすることが出来るのかい?

司
次の部屋…?

司
ということは…これより…

司
…いや、無理だなあ

類
やるしかないのさ司くん

類
これからは僕に任せてくれたまえ

司
ハァ…??オマエに任せるなんて…そんな…

類
…僕は、少しでも早くここから出たいんだ

司
えっ?

類
司くん

類
僕は君と…君たちとまた、少しでも早く舞台に立てたらなと思ってる

類
いや…立ちたいんだ

司
類…

類
だから司くん、僕に協力してはくれないか…!?

司
…仕方あるまいな

司
オレも、その気持ちはお前とおなじだ

司
いいぞ、最後まで付き合ってやる
