こんにちは!4Iです
久しぶりの短編さんです
注意 irxs nmmn 青桃 バドエン
なんでも平気な方だけ、行ってらっしゃいませ!
※今回、あまり良くない描写がございます。気分を悪くされた方はすぐ閲覧をおやめ下さい。
今日は付き合っているまろと少しの時間だけ会うことが出来た日だった。
俺も今日のタスクは一応終わったから、ご飯でも食べようかという流れでそのまま手頃な店に入った。
最近デートも行けてないし、予定があったら行きたいなと思い、まろに質問を投げた。
桃
青
桃
桃
既に俺の脳内はどこに行こう、とか何をしよう、という考えで埋まっていた。
何せ、最近は両者とも忙しくデートはおろか2人でいる時間もあまり取れていなかったからだ。
しかし、まろは少し複雑そうな顔をして答えた。なにか、言いにくそうな雰囲気で。
青
なんだろう、と訝しげに次の言葉を待った。
青
…別れる?
付き合うのをやめるってこと?
青
青
何をどう考えたらそういう結論になる?好きな奴がいないなら俺と居ればいいじゃん。俺のことが嫌いになったらならそう言えばいいじゃん。
なんでそうやってはぐらかすの? 理由を教えてよ。冷めたなら冷めたって言ってよ
脳内でこれだけの考えが出ても、決して口には出さなかった。むしろ、真逆の言葉が出た。
桃
桃
別れたくないのに。
でも相手が嫌と言ったならそこまでだ。別にそのあと深追いしたい訳でもないし、ただのメンバーという関係に戻った方がお互い楽だろう。
青
桃
消したくない。 まろとの思い出をちょっとでも残しておきたい。 そっと非表示に入れとこうかなー。
桃
消しても多分復元しちゃうよなぁ。 結局まろのこと好きだし。
桃
青
桃
泣きそうだから早くここを去りたい。 まろの前で泣きたくない。
青
桃
なんで別れを切り出した方が止めるのだろうか?
かくいう俺は感情が爆発しそうで早く帰りたいのに。 引き止めるなんて、ちょっと期待しちゃうじゃんね?
青
…は?そっちが聞く?それ。
桃
振ったのそっちだよね。 なんで俺が悲しむ前提で話進んでんの?
桃
悲しいに決まってんじゃん。 辛いに決まってんじゃん。
桃
青
振られた側の気持ちぐらい考えてよ。 この鈍感男が。
桃
店を去る時、視界がぼやけたのは、きっと気のせいだろう。
頬に暖かい何かが伝ったのも、きっと全部、気のせい。
全部全部、気のせいだって、…そう思いたい
そう思ってもやはり視界はぼやけていて。 自分が泣いていると認識するにはそう遅くなかった。
いつしか頬に涙が伝っていて。 止まれ止まれと願っても意志を無視するかのように止まってくれない。
桃
苦しくて、逃げ出したいのに、歩みはどんどん遅くなっていく。 もしかしたら追いかけてくれるかも、ドッキリとか言ってくれるかも、なんて考えが頭から拭いきれない。
ちょっとだけ期待してしまっているから、来ないことを知って余計に苦しくなる。
桃
桃
最初から好きじゃなかったのかなぁ。 お情けで受け入れてくれたのかも。
そんな訳ないのに、こんな状況だとそんな考えも浮かんでくる。
まろがお情けで人と付き合うなんてことはしないってことぐらい、自分でもよく分かってる。
だから、苦しい。
まろの俺への気持ちが、「好き」から「好きじゃない」に変わったという事実が、俺の胸を深く深く傷付ける。
考えること全て、俺の胸を突き刺していく。
それも優しく刺していくから、余計に苦しくて。
そっと優しく、でも痛く、俺の胸を貫くから、どうしても苦しい。
でも俺はそんな気持ちに抗えない。
振られても、何があっても、俺がまろのことを好きって気持ちが変わらないってことがわかっているから。
たとえどれだけ拒絶されても、俺はきっと生涯まろのことが好きだから。
だから、だから、苦しい。
人目につくところを、それも成人男性がぼろぼろとみっともなく泣いているものだから、人々の視線がささる。
こんな街にも、今さっき起きた出来事も受け入れられなくて、ただまっすぐ走った。
どれくらい走っただろうか。
もういつもの景色とは違うところに来ていた。
それでもどこか見覚えがある。
そう、だってここは、
赤
りうらが住んでいる家がある街だから。
桃
泣いたあとだし、多分目が腫れていると思う。なにか勘ぐられてしまったらどうしよう。
いや、絶対に勘ぐられる。勘の鋭いりうらの事だ。
なんて言い訳をしようか。
赤
赤
桃
赤
赤
桃
まだなにもいっていないのに。
あぁ、恐らく気づかれている。
まろと"なにか"あったことが、気づかれている。
裏を返せば、なにがあったのかはりうらは知らないのだ。
なら、それなら、事実を言わなければ、そしたら、俺は。
…でも、それでいいのだろうか。
いや、いいだろう。関係ない。
今ぐらい、悪いことしたって。
桃
許されるでしょ、ね?
桃
赤
赤
桃
全部まろのせいだから。
赤
桃
赤
赤
桃
りうらは俺を家に入れるやいなや、すぐに台所へと姿を消した。
優しさに触れてまた泣きそうになる。 流石にりうらの前で泣けない、こんな情けない姿を見せたくない。
赤
そういって差し出されたのはホットココア。
赤
桃
あぁ、また泣きそう。
なんで俺にこんなに優しくしてくれるんだろう。
何かがあったことしか知らないのに。なんでここまでしてくれるんだろう。
どうしてまろから俺を遠ざけて話をさせようとしたのだろう。何かがあった、それも重大なことがあったと、俺の顔を見てすぐに分かったとでもいうのだろうか。
そんなに顔に出てたかな、俺。
赤
赤
嘘をついてしまおう。そう思っていた。
でも俺が望んでいるのはそうじゃない。そう気付いてしまった。
今全部打ち明けてしまいたい。ここで思いっきり感情を出したい。押さえ込んでたもの全てを吐き出したい。
辛い。悲しい。まだ付き合っていたかった。まだまろのことが好き。まだ離れる気なんてなかった。
桃
桃
1言目から涙が零れた。 ずっとずっと我慢してた。ずっと苦しかったから。
桃
桃
桃
桃
桃
赤
赤
赤
慰めの言葉が身に染みる。その優しさが嬉しくてまた涙が勢いを増す。
赤
そんなことない。そんなことないんだよ、りうら。
話を聞いてくれるだけでも十分力になってるんだよ。
別れる別れないは、まろの気持ち次第だから。
そう、だから、りうらは悪くないの。
…でも、俺はわるいのかも。
まろに"別れたい"と思わせてしまう原因を作ったのは俺だし、もしかしたら自業自得なのかも。
知らないうちに、まろに迷惑をかけていたのかも。
"好き"で補えないほど、嫌な思いをさせてしまったのかも。
もしそれが、全部本当だとしたら。
わるいの、結局、俺じゃん。
桃
もしかして、迷惑?
1度思考が沈んでしまえばもう上がっては来られない。
どんどん暗い方へと行ってしまう。上を見る余裕すらなくなって、下ばっかり見てしまう。
ネガティブな思考はゆっくりと俺の心を蝕んで行く。
沼にハマってしまうように、ゆっくり、ゆっくり。
少しづつ、周りが見えなくなる。少しづつ、下へ下へと沈んで行く。
桃
もう上がれない。
救われない。
桃
桃
桃
桃
にこ、と笑う。
あぁ、なんで君はいつもそうやって。
そうやって、無理をするんだろう。 いつも全部一人で抱え込もうとするのだろう。
何もできないことが苦しい。 助けになれないことが悔しい。
そうやって、取り繕った笑顔で。 そうやって、ずっとずっと笑っているのだろうか。 無理をするような、消えてしまいそうな、儚い笑顔で。
君は大丈夫だって、感謝だってしたけれど、そんなわけないのに。
1番大丈夫じゃないのは、君なはずなのに。
赤
そんな顔、しないでよ。
今日こそは別れを告げる。
そう意気込んで、ないこになにを言われようと引き止められようと、絶対に引き下がらないつもりでいた。
なのに、ないこは予想外のリアクションをしてきた。
てっきり理由ぐらいは聞いてくるかと思っていた。なのに、あっさりと別れを受け入れ、店を出てってしまった。
青
振ったのは俺だから、仕方は無いけれど、多少は引き止められるものだと思っていたから違和感がある。
青
こんなにあっさりと別れてしまうぐらいの、そんな浅い感情だったのだろうか。
自分で決断したことなのに、やっぱり一緒にいたかったなんて馬鹿みたいなことを考えてしまう。
…いや、一緒にいるつもりだった。 何も無ければ。
青
いずれ言うことにはなるけれど、余命付きの病気なら、ないこには早く俺以外の誰かを見つけて欲しい。
俺はあと少しで死んでしまうのだから。
いや、もしかしたら助かるという可能性もない訳では無い。 だがゼロに近い、限りなくゼロに近いということだけは言える。
だから自ら振ったのだ。 心から愛している相手を。
どうせなら俺の事など嫌いになってしまえばいい。 仲良く振る舞うのは活動上だけで十分だろう。
ずっと前の"普段通り"は、もう取り戻すことなどできないのだから。
家に帰り、上着はソファーに乱暴に投げ、そのまま寝室へと向かった。
精神的にも、身体的にもしんどかった。
青
最近は特に忙しい。 そのせいで十分に通院も出来ていない。
青
かといって今から行けるかといえばそうでは無いだろう。 もう既に体力は使い切った。
青
担当医にメールで連絡をする。 普段は電話だが、話せないほどの時はメールでも良いと説明を受けた。
話せない訳では無いが、担当医と長々と電話をして話す気力など残っていない。
たん、と送信ボタンを押し、スマホを片手に突っ伏した。
青
別れたくなかったな
青
…なんか、泣きそう
生暖かい枕の温度は無視して、静かに時を過ごした。
桃
元恋人からそんな言葉を聞いたのは、別れから数週間経った後だった。
青
青
青
桃
知らなかった。病気だなんて。
いや、知るはずもなかろう。言われていなかったのだから。
リーダーとしては、それは休息を取って少しでも良くしてこいという思いが強い。
まだ目標に達しているわけではないし、1人でもメンバーが欠けてしまえばそれはもう"いれいす"で無くなってしまう、と言っても過言ではないと思っている。
特に裏方で支えてくれている部分が大きいまろが居なくなってしまうと尚更だ。
…ここまではリーダーとしての意見。 だけど、もしないことして言うのであれば。
どうして伝えてくれなかったのだろう、とか、もしかしてそのために、とか、余計なことばかり考えてしまう。
その手術が失敗した時の為に、俺の事を考えて別れたの?
ねえ、どうして別れたの?病気のせいなの?
思ったとしても、口には出せなかった。
だって、よく考えれば答えは明確だ。 今まろが求めている返事は、「ないこ」としての考えではない。 「リーダー」としての考えだ。
桃
桃
青
まろはそう短く答え、じゃあ俺やる事あるからと、すぐ帰ってしまった。
桃
まろがいなくなった部屋にまた静寂が訪れる。
途端に涙が押し寄せてきた。
なに、なんなの。 別れたのは俺のせいなの?まろのせいなの?もうわかんないじゃん。
こんなの知らないよ。 なんで言ってくれなかったの? 俺恋人だったよね。ねえ。
悲しみはやがて怒りへと変わる。 そしてまた時が経てば、自責の念に駆られることになる。
ずっとその繰り返しだ。もう散々だ。
桃
全部忘れてしまいたくて、 全部全部投げ出したくて、 俺は声をあげて泣いた。
様々な感情を上手く消化出来ないまま、ただ日は過ぎていった。
そしていつのまにか、まろの入院期間の初日になってしまった。
青
赤
赤
青
いつも通りの光景。 いつも通りの会話。
水
青
水
いつもなら「はぁ!?あほじゃないんですけど!」と噛み付いていたであろうほとけも、心配故かしょぼんとしている。
白
白
水
心配しているほとけに安心させようと話しかける初兎。
黒
水
青
青
流石に、余命が近付いていて死ぬ、という所までは伝えられなかったらしい。
まぁ、失敗しても生きているという点では変わらないだろう。治らないだけで手術で死ぬ訳では無い。
赤
赤
青
怠惰のまろ、と謳われている彼だ。 薬を飲むことにまで面倒くささを感じるとは。 でもあの量を毎日飲むと思うと、考えただけで嫌気がした。
…さて、そろそろ出発の時間だろうか。
青
水
青
白
青
赤
青
黒
青
みんなに返事をし終えて、まろの目線がこちらに向いた。
やがて皆も、まろを追うように目線をこちらに向けた。
何一つ言葉を発することが出来なかった俺を、その濃紺は許すように笑いかけた。
青
桃
桃
絞り出した声は、震えているように感じた。
青
青
青
青
青
静かな病室内に、扉を閉める音が響き渡る。
青
わかりきっていたことだった。
成功確率が低い手術だけど、漫画の主人公みたいに上手くいくなんてそんなことはないって。
少し考えた。
少し考えて、俺はメッセージを打ち込んだ。
"出術成功しました!!!"
送信ボタンを押した。
少し空いた窓から、外を見やった。
星1つ見えない、曇り空だった。
ピロン、と携帯に通知が入った。
見慣れた青いアイコン。それでも通知が来るのは4日ぶりだった。
手術成功しました!!!
次々と既読が増えた。
メンバーが各々おめでとうだの良かっただのメッセージを送る。
一方俺は、指を動かせないでいた。
桃
桃
ここ数日、まろがもしいなくなってしまったら、という不安に駆られ、仕事もままならない状態だった。
メンバーにも心配されて、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ぴんと張り詰められていた糸がやっと解けた感覚だった。 安心で涙が零れてきた。
桃
あぁ、良かった。
また、まろと過ごせる。
白
青
まろが復活した記念として、(お酒は控えめにして)飲み会を行うことにした。
まだ体も完全には治っていないらしく、お酒は控えるように言われているそうだ。
赤
黒
水
赤
水
青
水
いつものいれいすがやっと戻ってきたようなうるささだった。
それが今では、随分と心地よく感じた。
そして、今日の目的はこれだけでは無い。 俺はこのあと、ちゃんとまろにもう一度想いを伝えるつもりで来たのだ。
病気が完全に治ったというのなら、きっとまた付き合える。
俺の事を嫌いになったわけでは無いはずだ。だからきっと大丈夫。
桃
赤
少しぼーっとしていると、りうらがこちらを見ているのがわかった。
心配しているような表情。 大丈夫だと笑って見せた。
少しは安心したかと思ったが、りうらはより1層心配そうにこちらを見つめてきた。
赤
その言葉が何に対してなのかは、俺には分からなかった。
桃
だから、笑ってそう答えた。
もう一度告白して、付き合う。
それがどれだけ勇気のいるものなのか、俺はまだ知らなかった。
桃
いざ呼び出してみたものの、もしかしたら好きじゃなくなってるかもとか色々不安になってしまっている。
また、振られてしまうかも。
いやいやいや、そんなこと考えて弱気になったらだめだ!と頭を振る。
そうこう考えていると、ついにインターホンが鳴った。
ピーンポーン
やけに驚いて、心臓がばくばくと音を立てた。だけど何故か早く会いたくて、急ぎ足で玄関へと向かった。
青
桃
青
桃
桃
青
言って、しまった。
返事がすごく怖い。今更ながら、告白したことを後悔した。
ああ、また振られるかもしれないのに、なんで告ってしまったのだろう。
青
青
顔は俯いたままだった。どうしてもまろの顔を見れなかった。
青
一瞬、幻聴かと思った。
でも、それは違うってすぐに分かった。だって、ばっと顔を上げて、まろの顔を見たら、まろが。
付き合ってたあの時と、同じぐらい愛おしそうに、こっちを見ていたから。
思わずまろに抱きついた。好きという感情と、嬉しいという感情が混ざって、一気に飛び出して、涙が堪えきれなかった。
桃
青
桃
青
青
桃
よしよし、と付き合っていた頃と同じふうに頭を優しく撫でられて、すごく嬉しくて、またまろと付き合えたっていう事実がほんとに嬉しくて。
しばらく、涙が止まらなかった。
再度付き合い初めて、二ヶ月ほど経った。
最近まろが風邪をひいて、少しの間活動を休んでいたのだが、すっかり元気になっていた。
青
黒
赤
青
桃
その時の俺は、まだ知る由もなかった。これからこの"普段通り"が崩れていくということに。
それから1週間経った頃だった。 まろが頻繁に体調を崩すようになった。
最初は疲れが溜まっていたんだと思ったが、あまりにも頻度が高くなっていたから、不安が増えていくばかりだった。
だから、俺からこんな提案をしたんだ。
青
桃
青
桃
桃
青
桃
青
何度か押して押して押しまくって、やっとまろは了承してくれた。
何かの病気とかそういう訳では無いと思うけど、こんなに頻繁に崩すのは流石に心配だ。
だから、ちょっとでも治っていくといいなと思っていた。
桃
青
数日後、俺の家に現れたまろが持ってきた荷物は思っていたよりも少なかった。
まあ、本人もそんなに泊まるつもりがないのだろう。俺もそんなには疑わず、リビングに通した。
そこからだった。 少しずつ、異変は多くなっていった。
まろは以前よりも体調を崩すことが増えた。
なんなら数日寝込むとかも結構あった。
秋の落ち着いた時期で、冬ツアーも特になかったからそれほど忙しくもなく、活動もゆるめにやれていたのだが、心配は膨らむばかりだった。
桃
青
日に日に、元気がなくなっていってるのがわかった。
体調も完全に回復する訳ではないっぽくて、一応元気になっても気怠そうにしている事が多々あった。
そして、唐突にこういう事が増えたのである。
青
桃
桃
青
そう、何気なく言うのならわかるけど、ご飯を食べてる時とか、なにかしてる時にふと言うのだ。
別に嫌というわけではない。 全然嬉しいけれど、その言葉を言う時になんだが違う雰囲気がして、落ち着かなかった。
そして、ついにはこんなことを言い出した。
青
桃
青
桃
まあそういう気分なのかな、と毎回受け流していた。
特に疑いもしなかったし、疑われるようなことをしていないってわかるから逆に嬉しかった。
後々その行動がなんの為だったのか、俺は知ることになる。
そろそろ、死ぬんだろうな。
ないこともう1回付き合って、二ヶ月ぐらいだったかな。そんぐらいの時、体調を崩すことが増えて。
あぁ、そろそろ死ぬんだなって分かってしまって、でもメンバーに言う訳にはいかなかったから、静かに死ぬ準備を始めていた。
汚かった自分の部屋を整理した。 買うものを必要最低限にした。
ないこが家に泊めると言った時はすごく焦った。だって、もしかしたらないこの目の前で死ぬことになるかもしれなかったから。
そもそもないこに告白されても断ろうとは思っていたのだ。だけど、断れなかった。
ないこに告白された時、やっぱり好きだなって、最期はこの人と一緒に居たいって思ってしまったから。
だから振らなかった。いや、振れなかった。
まさか半同棲状態になるとは思いもしなかったけれど。
ないこの家に泊まりに行った時も、荷物は必要最低限にした。
体調を崩すことは増えたけど、全部疲れのせいって最初は思ってくれていたし、それにもうすぐ死ぬなら、あんまり誤魔化さなくてもいいんじゃないかと思った。
青
今日は朝から過去最高に体調が悪かった。
もしかしたら今日死ぬのかもな、なんて呑気に考えた。
そういう時は決まってないこに愛を伝える。 最期に言う言葉は「愛してる」って決めていたから。
だから寝る前まで生きていた時は、ちゃんと寝る前に「愛してる」と言った。ふとした時でも、言った。
俺が死んだ時に困らないようにと、ないことスマホのパスワードをお揃いにした。
ある程度準備は整っていた。 いつ死んでも良かった。
メンバーと武道館に行けていないのが、1番の心残りかも。
青
一緒に、夢の舞台まで、立ってみたかったなぁ。
でも、こんな体じゃきっともうそこまで持たないのだろう。
ごめんな、みんな。
まさか予想が当たるなんて、思ってなかったから。
青
桃
青
桃
桃
そう言ってないこが扉を閉める。
…案外、まだ生きられるかも。
そう思った俺が馬鹿だった。
数時間後、呼吸がしづらくなってきた。
青
首元が苦しくて、1番上のボタンを外す。それでもなお違和感は拭えない。
なんならより一層苦しくなってきた。
ヒュ、と変な音がした。 あ、これダメなやつなのかも。
青
過呼吸、ってやつか。 頭は何故か冷静だった。
あー、もう死んじゃうのかも。
あーあ、もっとないこといちゃいちゃしてたかった。もっと愛してるって言えばよかったなぁ。
苦しんでいるうちに、左胸が激痛に襲われた。
あぁ、後悔しないように愛を伝えてたつもりだったのに。
青
まだ、武道館行ってないよ。
あと二ヶ月、生きていたかった。
青
苦しくて呼吸を整えたいのに、全く過呼吸は治らなくて。 一向に痛みは増すばかりで。
あぁ、嫌だなぁ。 死にたくない、なぁ。
青
みんなに、あいたい
段々と、頭がぼんやりしてくる。
青
しにたくない
運命には抗えないらしい。
青
ゆめのぶたい、たってみたかった
視界がどんどん狭くなっていく。 どんどん暗くなっていく。
青
ね、ないこ、さいごにいわせてよ
痛みがきえた。 でも、視界は閉じていった。 体は動かなかった。
青
青
青
ぷつりと、何かが消える音がした。
ピピピピ、ピピピピ、
アラームの音で目が覚めた。
桃
携帯を触る。 あれ、俺のじゃない。
桃
体調確認しに行かなきゃな。
眠い目を擦って、寝室まで向かう。
桃
ガチャ、と寝室のドアを開ける。
ピピピピッ、ピピピピッ
アラームはうるさいくらいに響いていた。
桃
そう言って、まろの体に触れた。
桃
桃
部屋に響いてるまろのアラームと、触った時のまろの体温が、やけに頭に残っていた。
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