俺は...喰種じゃない

董香ちゃんは俺の高校へ転入することになり、転入手続きで遅れてから行くらしい。

そうだった。みんなは俺が喰種だって知らないんだ。

食事もみんなと食べれないし。

喰種だって知られたら俺、みんなに嫌われるのかな。

大人しく、人間みたいに過ごさなきゃ。

俺は...喰種じゃない。

昼休み。

ｶﾞﾁｬｯ

そして放課後。

董香ちゃんがバレー部のマネージャーになった。

怖がってる？

そうだよね。人間ばっかだもん。

こんな暮らし、なんか久しぶりな感じする。

喰種でも人間みたいな生活出来るんだな。

良かった。

でも...こんなの食べてるところみんなに見られたら俺...。

みんなには見られたくない。

バレー部のみんなにも。

月島にも。影山にも。

みんな。

合宿当日。

ここにいるみんな、全員人間なんだ。

俺もバレないように人間にならなきゃ。

俺は人間だ。

喰種じゃない。

喰種じゃない。

喰種じゃない。

大人しく。人間らしく。

そして1日目は終了した。

月島だけは俺を気にかけてくれた。

月島、優しいな。

みんな、俺に優しい。

嬉しいな。

そして合宿はどんどん終わりに近付いてきた。

今回の合宿では何も無く、平和に過ごせた。

だいぶみんなと仲良くなった気がする。

みんな優しくて、楽しくて、色々してくれる。

仲間が出来た感じだった。

ﾑﾆｯ

可愛い...俺が？

何かの間違いなんじゃ？

喰種がみんなを殺すなら俺はその喰種を殺す。

何があっても。

みんなに、バレても。

嫌われても。

初めて出来た仲間だから。

董香ちゃん誰に連絡してるんだろう。

月島は俺とはぐれないようにと俺の手を繋いでいた。

ちょっと恥ずかしいけど嬉しいからいっかって思ってる。

本当に大丈夫なの？

戻らなきゃ。

みんなは？

どこ行ったの？

なんで置いてくの。

なんで？

ねぇ！なんで！

事故はあったもののみんなと散歩が出来た。

喰種とも会わずに出来たから良かった。

何も無くてよかっtｯ...。

なんで今！！

ダメ！ダメダメダメ！！

もう失いたくない！誰かを死なせたくない！！

ﾊﾞｯ

ﾀﾞｯ

董香ちゃんを助けに行かなきゃ。

死なせない。誰も死なせない。

研くんみたいに...もう誰も！！

元に戻ってきた時には喰種はもう居なくて。

董香ちゃん1人と何人ものの白鳩がいた。

大丈夫。

準備していたマスクと、ジャージからパーカーに着替える。

フードを被り、深呼吸をする。

大丈夫。

人間は殺さない。

みんな殺さない。

俺は喰種じゃないから。

大丈夫だ。

ﾀｯ

誰も。殺させないから。

誰かに似てる。

誰だろう。

会ったことある？

ﾊﾞｯ

研くん。なんで変わったの？

なんでそっち側にいるの？

なんで。なんで。

なんで片方だけ！

あの人もあの人もあの人も！

なんで！

先生がやったの？ねぇどうして！

なんで隻眼の喰種を作ったの！！

先生...なんで。

なんで。

なんで。

ねぇ研くん。どうしてそっち側にいるの？

どうして隻眼の喰種が捜査官になってるの？

ねぇ、教えてよ。研くん。

月島！？

殺させない！

ﾄﾞｯ

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

みんな、ごめん。

やっぱり人間になんかなれないよ。

人間みたいに俺たちは過ごせないよ。

バレー楽しかったよ。

人間みたいに過ごせてよかった。

ﾀｯ

もう...烏野になんか戻れないよね...。

ぁあ...騙したくなかった。このまま...知らないで人間みたいに過ごしたかった。